アメリカのバッグブランド・グレゴリーは、1977年の設立から現在まで、日常から登山まであらゆるシーンでの用途に応じた商品を製造してきました。
それらの商品に付けられるタグにもグレゴリーの歴史の変遷が見て取れます。
中には「青タグ」と呼ばれる短い期間にしか使われなかったものも存在します。
しかし豊富なアイテムを販売していくにつれ、偽物が増えてしまっているのも事実です。
ここではグレゴリーのタグの変遷をたどり、さらに偽のアイテムを見分ける方法をご紹介します。
茶タグ、青タグ、銀タグに代表されるグレゴリーのタグの歴史
アウトドアに精通しているならもちろん、そうでなくてもグレゴリーのアイテムを知っている、持っているという人は大勢いるでしょう。
デザイン性、耐久性と、体へのフィット感に拘ったグレゴリーのバッグは、多くの人気を集めています。
そんなグレゴリーのバッグに付けられているタグが、これまで様々な変化をしてきていることをご存知ですか?
よく見かけるのは「銀タグ」と呼ばれる、「GREGORY」の文字が銀色の糸で刺繍されたものですが、設立当時のタグは今のものとは全く違ったデザインでした。
中には紫タグ、青タグのように短期間でしか採用されなかったものもあります。
銀タグや青タグは特に商品が豊富な一方で、偽のアイテムが出回ってもいます。
グレゴリーバッグの真偽については記事の後半で触れていきます。
まずは、設立から40年経つ、グレゴリーのロゴの移り変わりを見ていきましょう。
【グレゴリーロゴの変遷】
■ファーストタグ(1977~1982)
設立した土地、カリフォルニアのホイットニー山がデザインされた最初のタグです。
このころのバックパック業界では主要なパーツが金属からプラスチックに変わっていく過渡期でもありました。
当時製造されたグレゴリーのバッグにも多くのディテール変化がみられるほか、生地のほつれを防ぐため、縫い代の先端をテープで縫い合わせるなど、縫製にとても気を配っていたことが分かります。
■茶タグ(1983~1990)
ファーストタグを受け継ぎつつ、洗練されたデザインとカラーが人気を集めました。
銀タグに次いで長く使われたタイプでもあります。
この時期には、「ランパールーム」「ツーデイ」「テールメイト」など、今でも人気の商品が発表されています。
■紫タグ(1990~1993)
茶タグの紫バージョンで、わずか3年しか採用されず、当時からこのタグが付いたバッグはレアなアイテムでした。
この紫色のタグは、デイパックなどのカラーバリエーションが豊富になり鮮やかなカラーに合わせたものだといわれています。
青タグ、銀タグに見るグレゴリーロゴの変遷
引き続きグレゴリーロゴの変遷をご紹介します。
ここからは、現在もよく目にするタイプのタグについて取り上げます。
■青タグ(1993~1997)
この時期からトレードマークだったホイットニー山のデザインが角ばったものから流線形のものへと一新されます。
このデザインは長く採用されることになりますが、文字の部分が青い、「青タグ」はわずか4年間だけ使われたデザインでした。
紫タグの時と同様に、扱うアイテムのカラーバリエーションが増え、特に若者の間で人気が高まります。
アウトドアメインで展開してきたグレゴリーの人気は若者からの支持を受け、タウンユースでの絶対的地位を獲得しました。
■銀タグ(1998~2015)
最も採用期間が長いタイプです。
グレゴリーと言えば、このタグを連想する方も多いでしょう。
バッグのバリエーションの広がりは留まらず、新しい柄や素材などを積極的に取り入れており、他のタグの時期の商品量とは比べ物にならない量を発売しています。
■新生タグ(2016~)
創設当時の茶タグや紫タグを彷彿とさせる角のあるデザインになっています。
山を描く独特のラインは、グレゴリーのルーツである登山から未来のアウトドアアクティビティへ繋がる道を表現しています。
2項にわたり、ロゴの移り変わりを見てきましたが、いかがでしたか?
ブランドのたどる歴史に触れると、みなれたグレゴリーのロゴや商品にさらに愛着が沸くことでしょう。
次項からはグレゴリーバッグの偽物について詳しくご説明していきます。
偽物は青タグや銀タグに多い?柄やタイプの偏りがある
バッグブランドとしての人気を不動のものにしたグレゴリーですが、偽物も出てきてしまっています。
とくにタグを一新してからの「青タグ」「銀タグ」期のものに多くみられます。
そして、偽物として出回ることが多い商品や柄なども偏りがあるようです。
偽物が多いといわれるのは「テイルメイト」という、ウエストポーチ型バッグ、柄物のバックパックなどです。
柄物の中でもウッドランドカモ、ワイルドフラワー、タペストリーなどを使ったバッグが偽物として店頭やネットショップなどで販売されています。
人気が出てくると商品の数が減るため、偽物が出回ることがままあります。
グレゴリーにもそのような時期があったのだといわれています。
現在は商品が品切れるということは無く、販売店に赴けば欲しいバッグを手に入れることができますが、購入する場所によっては注意が必要です。
グレゴリーの偽物を見分ける方法・タグ偏
せっかく手に入れたバッグが偽物だったとしたら、とても悔しいですよね。
ネットなどで販売されているものは手に取って細部を確認することはできませんが、本物と偽物の違いを知ることで偽物の購入を防ぐことができます。
【グレゴリーのバッグの真偽を見極める】
●ロゴタグ
特に青タグや銀タグに見られる点で、「GREGORY」の字体の形が違う、太さが違うなど、よく見ると本物とは違う部分があります。
ロゴが刺繍されているのが本物のタグですが、偽のタグは印刷されたものが使われていることもあります。
また、偽タグには、生地ギリギリにロゴが収まっている、ステッチが粗いなどの特徴があります。
●「MADE IN USA」タグ
本物は生地に印刷されているため、織目の凹凸が分かるタグになっています。
偽物は生地ではないものに印刷されていることが多く、一目見てわかるポイントです。
グレゴリーの偽物を見分ける方法・パーツ偏
前項に続き、グレゴリーバッグの真偽を見極めるポイントをご紹介します。
ここでは、金具やハーネスなどの細部パーツに注目してみていきます。
●8の字金具
全てのバッグに付いているわけではありませんが、バッグによっては数字の8を平たくしたような金具が付いていることがあります。
この金具の太さに差があるものが本物です。
偽物の金具は同じ幅になっていて、金属板を打ち抜いたような形状をしています。
●ショルダーハーネス
背負うために両肩にかかるショルダーハーネスにも、本物と偽物では作りの差が出ます。
本物は体にフィットし肩への負担が軽減されるよう、分厚くしっかりした作りになっています。
パッドを触って、薄く感じる、頼りない作りになっているという時は偽物である可能性が高いです。
またショルダーハーネスとスターナムストラップ(胸部のベルト)との結合部分にプラスチックのパーツが付いていたりする場合も偽物の疑いがあります。
●ジッパーの刻印
ジッパーの引手に「YKK」の刻印があるものが本物です。
偽物には「GREGORY」またはロゴマークが打刻されていることが多いです。
また、ジッパーの台座にも刻印があります。
片側に「YKK」もう一方に「USA」と記されているものが多いですが、青タグ以前の旧タグ時代のバッグの場合はこの限りでないので注意が必要です。
このほかにも見分けるポイントはありますが、ここに記した点を知っているだけでも十分真偽を見極めることができます。
偽物を手にしないために…購入場所に注意する
昔はアウトドアグッズを扱う店舗も少なく、手に入れるのに苦労することも多かったグレゴリーのバッグですが、近年ではスポーツ用品店やデパートでもグレゴリーショップを見かけます。
また、インターネットでも手に入れられるオンラインショップも開設されていますので、購入を考えるのであればそういった正規の店舗を利用しましょう。
しかし、新しいものではなく古いタイプのデザインのものを手に入れたい、紫タグや青タグといった特定のタグの付いたものが欲しい場合にはネットオークションを利用することも手段のひとつです。
ただし、直接手に取れないオークションサイトなどを利用する時には、十分注意しておかなければなりません。
ネットでの情報は限られますし、出品する側が情報の量や種類を制限することも考えられます。
さらに現物を見て購入する時や、正規ショップ以外のフリーマーケット・露店での購入をする時も、偽物を手にしないために慎重に見極める必要があります。
グレゴリーの変遷を知って良いものを手に入れる
古いものも新しいものも、それぞれの良さがあります。
気に入ったアイテムを手にできることは何より嬉しいことですが、偽物が存在しそれを手にしてしまう可能性もゼロではありません。
本当に良いものを手に入れるために、十分な知識を得ておきたいものです。