バックカントリーをスノーボードで楽しむ際の靴問題について

最終更新日:2019/01/15

バックカントリーとは、自然のままの状態の雪山を登山する面白さと、滑り降りる気持ち良さ、両方の楽しみを兼ね備えています。

以前は、バックカントリーといえばスキーがメインでしたが、近年は後に詳しくご説明する「靴問題」も解消され、スノーボードで楽しむ方も増えてきました。

この靴問題は、スノーボードでは、スキーのように履いたまま登山することができないことに端を発しています。

では、どのように靴問題を解決すれば良いのか、対応策をチェックしていきましょう。

バックカントリーをスノーボードでハイクする時の靴

冒頭で触れた「バックカントリーのスノーボードの靴問題」とは、「スノーボードのブーツでは雪山が登れない」ということです。

まず、スノーボードから降りて、ボードはバックパックに背負わなければいけません。

スキー板のように、それ自体が登山用具の役割を果たしてはくれないのです。

では、「ライディングしているスノーブーツでハイクすれば良いのでは?」と思われるかもしれませんが、バックカントリーの深雪は未圧雪のため、スノーブーツでは沈んでしまいます。

そこで、スノーボードでバックカントリーを楽しむ方の多くは、スノーシューとよばれる、かんじきを装着したり、登山用の靴にアイゼンを付けたり、進化したスノーブーツを履いてハイクしています。

以下では、そんなハイク時の靴についてや、それぞれのメリットやデメリットをご紹介します。

バックカントリーの靴にこだわる方の中には、滑ることよりも登山することに重きを置いている方もいらっしゃるくらいです。

ハイクの楽しみがそれだけ大きい、ということですね。

そんな、さまざまなニーズに応えるべく、進化したバックカントリー用スノーボードの登山靴事情をみていきましょう。

スノーボードブーツにスノーシューを付けて登る

バックカントリーで最もポピュラーな靴のスタイルは、スノーボードのブーツにスノーシューを装着するスタイルです。

このスノーシューとは、柔らかい雪面でも沈み込まないように、面積を広くとって荷重を分散させるつくりになっている、昔のかんじきのようなものです。

従って、岩場を登るなどのクライミングハイクには向きませんが、重量も軽く、長時間のハイクでも疲れにくい上に、バックパックに固定して持ち運べるので便利です。

さらに、スノーブーツへの装着方法も簡単で、スノーシューのベースプレート中央に足を乗せ、踵のストラップでブーツを固定し、締めるためのダイヤルを回して調整するだけです。

慣れると、数分掛からずに両足に装着できます。

また、スノーシューは裏側に金属製の歯があり、しっかりと雪面をグリップするので、深雪だけでなく、凍結した斜面にも有効なタイプもあります。

他にも、スノーシューと一緒に使われるアイテムが、ポールといわれるストックです。

思っているより、雪山のハイクは体力を使いバランスが取りづらく、深雪は柔らかすぎて一度転ぶとなかなか立ち上がりづらいものです。

まさに、「転ばぬ先の杖」ということで、収納にも便利な、短く縮められるポールを使用すると良いですね。

バックカントリー用スノーブーツ

最近では、先ほどご紹介した通常のスノーブーツではなく、バックカントリー専用のスノーシュー不要なスノーブーツも人気です。

まず、スノーブーツには、通常タイプと同じソフトタイプと、スキー靴のような素材のハードブーツがあります。

アイゼンを使ってハイクするような山岳地帯では、ハードブーツが推奨されますが、ハードブーツはハイク時にふくらはぎがブーツに当たって痛くなりますし、滑走時のコントロールが難しいのです。

そこで、各スノーボードブランドがバックカントリーに適した靴を研究し、開発したソフトタイプのスノーブーツが注目を集めています。

例えば、ふくらはぎ部分のストラップを緩めることができたり、背面に伸縮性のある素材を使用し、ふくらはぎの痛みを軽減することに成功しました。

他にも、つま先部分の防水防寒にこだわったり、保温性をアップさせたりといった工夫が見られます。

歩きやすくライディングしやすい、グリップ力に優れた登山靴のようなソールも目を引きます。

また、足首だけを固定する機能や、踵の出っ張りにワンタッチアイゼンの装着が可能なタイプなどもあり、今までのソフトブーツの、バックカントリー用としてのデメリットをカバーしています。

登山靴にアイゼンを付けて登る

ここでは、意外と使用者が多い、「バックカントリーのスノーボード用の靴」として用いられている登山靴について、ご紹介します。

こちらは、通常の雪山用登山靴でハイクし、スノーブーツに履き替えて滑る、というスタイルです。

この場合、アイゼンをつけてハイクするため、ハードな岩場も難なく登れます。

しかし、寒中での登山靴からスノーブーツへの履き替えは大変で、脱いだ登山靴をバックに収納する手間や、嵩ばり、重量などのデメリットは拭いきれません。

そこで、「雪山用登山靴でハイクし、そのまま登山靴で滑れないか」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり危険を伴うためNGです。

登山靴はスノーブーツに比べて柔らかく、滑走時に荷重してエッジを立てることができませんし、足首が固定できずに転倒して、怪我をする恐れがあります。

先ほどご紹介したバックカントリー用スノーブーツは、この登山靴の滑りにくい靴底や、疲れにくい柔軟性などの、良いとこ取りでつくられています。

とはいっても、ライディング時のフィーリングが合わない方もいらっしゃいますし、アイゼンをつけた登山靴の使用感に慣れている方もいらっしゃいますので、人それぞれといえるでしょう。

バックカントリーに最適!スプリットボードとは?

他にも、靴問題を一気に解消するアイテムとして注目されているのが、スプリットボードです。

バックカントリーにスノーボードで、スキーヤーと同行すると、スノーシューを付けた靴では深い雪面を前に進めず、スキーでしかハイクできない場面で、悔しい思いをしたことがある方もいらっしゃるでしょう。

そんな時にも、このスプリットボードを使えば、ハイクで登ることができるのです。

なんと、スプリットボードとは、1枚のスノーボードが2枚のスキー板に分かれるという、画期的なアイテムなのです。

最近では、スノーボードからスキーにも、またその反対のフォームの変更も、簡単にできるようになりました。

例えばスキーからスノーボードに変形する場合、板の表面のシールを剥がし、クリップやフックで2枚のスキー板をくっつけ、ビンディングの向きを付け替えれば完成です。

簡単なものでは、パーツの組み立て動作がそれぞれほぼワンタッチで、慣れれば数分かからずにできるタイプもあります。

このように、ほぼ同じパーツでトランスフォームできるスプリットボードは、スキーでのハイクも、スノーボードでの滑走も楽しめる、バックカントリーに最適なボードといえるのではないでしょうか。

スノーボードブーツと登山靴とスプリットボードの比較

ここまで、バックカントリーで使用されているスノーボードブーツや登山靴、スプリットボードについてご紹介してきましたが、今までご説明してきた長所や、それぞれの短所を比較してみました。

【スノーブーツ+スノーシュー】

・メリット:小回りが利き、固い雪面も可

・デメリット:板を背負って登るため重く、岩場には向かない

【スノーシュー不要スノーブーツ】

・メリット:スノーシュー不要、直線移動も可

・デメリット:板を背負って登るため重い

【登山靴+アイゼン】

・メリット:どんな雪面もハイク可

・デメリット:板と登山靴で荷物が重い

【スプリットボード】

・メリット:ハイクが楽で荷物が軽い

・デメリット:小回りが利かず、凍った雪面には向かない

このように、それぞれのアイテムにはメリット、デメリットがあります。

個人の感覚は違いますので、実際に使用してみなければなんともいえないところはありますが、雪山の傾斜や雪面、ご自分のお好みやこだわりに合わせて、ご参考になさってください。

バックカントリーの靴問題の答え

スノーボードでバックカントリーを楽しむ際の靴問題ですが、岩場などでない限り、スノーブーツにスノーシューで、十分ではないかと考えられます。

逆に、岩場などのハイクをメインに楽しむ雪山登山愛好家や、雪面が固くて斜度がある山岳地帯では、登山靴にアイゼンを付けた靴が有効ですね。

そして、新しいスノーシュー不要のスノーブーツやスプリットボードなど、身軽なバックカントリー専用アイテムを使用するのも良いでしょう。

好みや場面に合わせて靴を選び、最高のハイクとライディングをお楽しみください!

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