初めてキャンピングカーを所有したときには、わからないことだらけです。
また、最近はキャンピングカーを自作する人も増えてきていますが、キャンピングカーは普通の車とは違い、必要な要件が決まっています。
その要件を満たしていない場合は、車検を通すことができませんので、最低限の要件を覚えておきましょう!
キャンピングカーのナンバー
自動車のナンバープレートは、地域名の横に書かれている数字で車の種類が分類されています。
キャンピングカーは8ナンバーと思われていることが多いのですが、8ナンバーをもっている車は特種用途自動車に分類され、以下の種類があります。
1.緊急自動車
パトカー、消防車、救急車、警察車、自衛隊車、護送車など
2.法令特定事業で使用される自動車
給水車、郵便車、採血車、図書館車、霊柩車など
3.特種な用途に使用するその他の自動車
タンクローリー、現金輸送車、ゴミ収集車、寝台車、車いす移動車、ボイラー車、ハシゴ車、レッカー車、キャンピングカー、移動販売車など
8ナンバーに分類されるキャンピングカーですが、キャンピングカーは8ナンバーの他に、3ナンバーに分類される車種もあります。
3ナンバーと8ナンバーにはそれぞれ要件があり、その要件を満たしているナンバーが割り振られます。
簡単に分類すると、3ナンバーは人を乗せることを主にしたワゴン車ですが、8ナンバーは細かな要件があり、それを満たしていることが車検を通すための項目でもあります。
それでは、以降8ナンバーのキャンピングカーで車検に必要なものについてご説明していきます。
8ナンバーのキャンピングカーの基本的な車検費用
自家用車の車検は、新車の場合初回は3年ですが、8ナンバーのキャンピングカーは新車、中古車に問わず全て2年毎の実施が義務付けられています。
車検時の手数料は、車検を受ける場所にもよるところがありますが、大抵は自家用車でもキャンピングカーでもさほどかわらない場合が多いようです。
異なるのは、車検時に支払う自賠責保険と重量税に違いがあります。
1.自賠責保険(2年分)
・キャンピングカー(8ナンバー) 30,210円
・自家用乗用車 25,830円
2.重量税(2年分)
・キャンピングカー 16,400円
・自家用乗用車 24,600円
上記は2018年度のものです。
自賠責保険は変動することがありますので、その年に合った金額を確認してください。
また、自家用乗用車の重量税は、エコカー減税のない1.5t車の場合を例に挙げています。
自家用乗用車の場合は、車種によって重量税が大幅に変わってきますが、一般的な金額でみると、8ナンバーのキャンピングカーと自家用乗用車では税金面に大きな違いはありません。
その他にかかる費用としては、オイルやベルトなどの消耗品、長く乗っていると劣化により部品交換も発生してきます。
これはキャンピングカーも自家用車も発生する項目ですが、キャンピングカーの要件の一つでもある水道設備や炊事設備は、故障した場合の修繕費が別途必要となってきます。
もし故障した際には、予想外の出費もかかりますので、購入前にはしっかり調べておきましょう。
これがないと車検が通らない!?8ナンバーに必要な要件
車検の検査項目は、一般の自家用乗用車と同じく、以下のチェックポイントがあります。
・灯火装置
自動車の外観についている全ての灯火装置が点灯しているか
・タイヤ
溝の残量、亀裂、ひび割れの確認
・ガラス
ガラスにヒビや損傷がないか
・内装
シートベルトやシフトレバーP、R、N、Dなどのマークがあるか、発炎筒の有無
・メーターまわり
警告灯が点灯していないか
その他にワイパーが正常に機能しているか、マフラーの排気漏れやドライブシャフト、ステアリングラックブーツの破損がないかなど、自家用乗用車と同じくキャンピングカーでも確認されます。
それとは別に、8ナンバーのキャンピングカーとして要件を満たさなければいけない箇所があります。
8ナンバーの要件には主に以下のチェック項目があります。
1.就寝設備を車室内に有すること。
2.水道設備及び炊事設備を有すること。
3.脱着式の設備は、走行中の振動等により移動することがないよう所定の場所に確実に収納、または固定することができるものであること。
4.物品積載設備を有していないこと。
これらは主なチェック項目ですが、以下でもう少し詳しく知っておきましょう。
キャンピングカーの要件をもう少し詳しく知っておこう!
なんだかややこしそうなキャンピングカーの要件ですが、しっかりと守っていないと、思わぬ事故や怪我にも繋がりますので、車検時以外でも覚えておくことをおすすめします。
1.就寝設備を車室内に有することについて
乗車定員の3分の1以上の大人用就寝設備が必要です。
子供用設備2人分で大人1人分とみなすことができます。
また、この設備の寸法には細かい指定があり、就寝部位は1人につき、長さ1.8m以上、幅0.5m以上の連続した平面を有する必要があります。
そして就寝設備は、乗車装置の座席と兼用でないことが必要です。
2.水道設備及び炊事設備を有することについて
10リットル以上の水を貯蔵できるタンク及び洗面台などを有し、タンクから洗面台に水を供給できる構造であることが必要です。
また、10リットル以上の排水を貯蔵できるタンクも必要です。
洗面台などは、車室内において簡単に使用することができる位置にある必要があります。
例えば、人と洗面台の間に何らかの設備があるなどの場合は、要件を満たさないこととなります。
炊事設備として、調理台等調理に使用する場所は0.3m以上×0.2m以上の平面を有し、コンロなどにより炊事を行うことができる必要があります。
火気が発生する場所の付近には、火災が起こらないよう耐熱性が必要で、換気が行える換気扇なども必要です。
また、調理台も洗面台と同じく、間に設備などがないように配置されている必要があります。
これらのことは、国土交通省のホームページでも更に詳しく記載がされていますので、車検前にはチェックするようにしましょう。
要件さえ満たせば乗用車を8ナンバーに変更できる!?
8ナンバーは昔、車検時に支払う税金面でメリットがあったため、不正に改造して8ナンバーを取得する行為が増加しました。
典型的な不正内容は、8ナンバーの要件を満たすためだけに、一時的に設備をつけ、ナンバー取得後に取り外すという方法です。
ではなぜ、8ナンバーの税金が優遇されていたかというと、キャンピングカーなどの特殊車両は一般の道路を走る頻度が少ないのに、自家用乗用車と同じ税率では不公平であるという理由で軽減されていました。
8ナンバーは税金が安い上、取得の審査も甘かったため、不正取得が増加したことから、2001年の法改正でキャンピングカーの構造要件が厳格化されました。
もちろん、キャンピングカーの構造要件をしっかりと満たし、検査を受ければ8ナンバーを取得することはできますので、必要に応じてナンバーの取得をするようにしましょう。
ただし、今では8ナンバーを取得することにメリットはなく、無理な取得はあまりおすすめできません。
場合によっては、8ナンバーの取得により税金が高くついてしまうこともあります。
無理な改造をして8ナンバーを取得するよりも、きちんとしたキャンピングカーを所有して、8ナンバーを所得しましょう。
車検費用を安く済ませたい!ユーザー車検は自分でもできる?
ユーザー車検とは、自分で車検を通すことですが、キャンピングカーに限らず、自家用乗用車でもユーザー車検は費用面で大変お得です。
特にディーラー車検の費用と比較すると、倍近くの金額の開きとなることもあります。
ただし、ユーザー車検にはデメリットもありますので、良い面と悪い面の両方を知っておきましょう。
●メリット
・費用をおさえることができる
・車の知識がつく
●デメリット
・キャンピングカー特有の要件があり、専門的な技術や知識が必要
・陸運局に車を持っていく手間がかかる
・平日しかできない
一番の問題は、専門的な技術や知識が必要となることです。
車検を通すために、一時的に問題がなく整備できたとしても、後々のトラブルに悩まされる可能性があります。
ディーラーで車検をとる場合は、細かいメンテナンスもしてくれて、次回の車検までもたないような箇所の指摘もしてくれます。
もし、ユーザー車検を通すことができたとしても、次回の車検まで安全に乗ることができる保証は得られないでしょう。
しかし、自分の車の状態を詳しく知ることもできるので、一度はユーザー車検を経験しておくのも良いかもしれませんね。
知識の少ない人は、ユーザー車検を通せたとしても、そのあとにしっかりとしたメンテナンスは受けておくことをおすすめします。
要件を満たしていないと、とんでもないことになることも!?
キャンピングカーの要件を満たしていない場合は、車検が通らないだけではなく、事故を起こしたときに保険が効かなくなってしまう場合があります。
キャンピングカーを購入したままの状態が保てれば良いのですが、自作や改造した場合には、要件から外れてしまっている可能性もあります。
万が一のためにも、最低限の要件だけは頭にいれておきましょう!