飯盒は何であんな形なの?不思議な形の意味と歴史を徹底調査

最終更新日:2019/01/15

アウトドアの醍醐味と言ったら、料理ですよね。

そして、上級者の一歩と言えるのが、飯盒で炊く美味しいご飯です。

しかし、この飯盒の形の意味をご存じでしょうか?

上級者ともなれば、道具の知識も知っておいた方がいいでしょう。

そこで今回は、飯盒の歴史にまで遡り、形の意味をご紹介します。

また、上手に炊くための炊き方についてもお話していきます。

飯盒の歴史

飯盒は、もとはご飯を炊く道具でなく、弁当箱としての役割が多かったと言われています。

配給の食事を入れる容器替わりだったり、水を汲んだりしたり、調理と言ってもお湯を沸かす程度で、炊飯は想定されていませんでした。

そして、飯盒の起源はヨーロッパだと言われており、当時は現在のようなそら豆のような形でなく、楕円形が主流でした。

その後、明治31年、日清戦争が終結したころに、今のそら豆型の形が旧日本軍で正式採用され、兵式飯盒として一般化されていきます。

日清戦争以前の、兵隊の食事は当時のヨーロッパの国々を模範とし、クラッカーなどの保存食が多かったそうです。

しかし、食文化の違いから不満が多く沸き起こり、戦時下においても携帯でき、なおかつ炊飯に適した、今の形へと進化していった歴史があります。

その後、民間にも広まるようになり、今ではアウトドアでお米を炊く定番のアイテムとなりました。

飯盒の形の意味には、こういった経緯があったのです。

飯盒の形の意味 ①均等に炊ける

あの独特な飯盒の形の意味として1つ目の理由は「均等に炊ける」という点です。

「そんなの簡単だよ!」と思われている方もいるかもしれませんが、普段私たちが家でおこなっている電気炊飯器はお米を研いで、水の分量を量って、あとはスイッチオンで簡単にできます。

電気炊飯器は性能がよく、熱を均等に加え、いい具合に熱の調整もしてくれるのです。

しかし、アウトドアを一度でも経験したことがある方はわかるでしょうが、火を均一に安定させる、火加減をコントロールするのは非常に難しいですよね。

バーベキューでも火が強すぎて、真っ黒こげの肉を食べる羽目になった経験をお持ちの方もいることでしょう。

しかし、焚火の不安定な火でも、あの独特な形のため、飯盒の中で水の対流がおこり、うまく炊けるようになっています。

釜の中で水の対流が起きなければ、熱のムラが出てしまい、上手にご飯を炊くことができません。

一説では、釜や鍋で炊くよりも、簡単に炊けるともいるほどです。

飯盒の形の意味 ②携帯性

次にあの独特な飯盒の形の意味の理由としてあげられるのは「携帯性」です。

先の歴史でも述べたように、飯盒はもともと旧日本軍で使用されていました。

日本軍が行軍する際は、戦闘に使う銃や銃弾だけでなく、生活用品一式も背中の背嚢に背負って移動します。

その際に、なるべく軽く小さくしないと当然ですが、持ち運びができません。

そこで、あの形が非常に便利になってきます。

あの、絶妙に曲がった形が体にフィットして携帯しやすくなっているのです。

また、飯盒同士を並べた際も省スペースで並べることができます。

丸形なら、並べた際に無駄なスペースができてしまいますし、逆に四角ならスペース的にロスが少ないのですが、今度は先に述べたように米を炊くのが難しくなってきます。

そのため、あのそら豆型が絶妙に使いやすい形をしているのです。

飯盒の形の意味 ③並べやすさ

飯盒の形の意味の理由として3つ目にあげられるのが、「並べやすさ」です。

先の、携帯性のご説明の際、少し述べたのですが、あのくぼみが絶妙に並べやすいのです。

また、携帯するための並べやすさだけでなく、実際に炊飯をする際にもあの並べやすさが利点となります。

飯盒を一つだけ使って調理する場合はあまり関係ありませんが、飯盒を複数使用して使用する場合に効果が現れます。

それは、それぞれを互い違いに並べることによって、できた隙間に風の通り道ができ、燃焼効率が上がり、火の熱が飯盒にまんべんなく伝わるのです。

軍隊で利用することが前提であるのならば、当然食事をする際は、一斉に行うので、非常に便利です。

また、もし丸形の飯盒であったら、並べるのにスペースもいりますし、飯盒と飯盒の間の隙間が広すぎて、その隙間から熱が逃げてしまいます。

外で調理する際、火の調整自体も非常に難しいのですが、その当時は、この原理を使い火の強さの調整も比較的容易にできたようです。

飯盒の真ん中の蓋の意味

飯盒の中の蓋の意味を、皆さんご存知でしょうか?

意外と知らないのではないでしょうか?

まず、ご飯を炊くだけなら、中蓋はあってもなくても一緒です。

洗い物が一つ増えるので、使わない方がいいかもしれません。

中蓋を使う場合は、お米と同時に、他のおかずを調理する場合に使用することができるのです。

中蓋を利用し、みそ汁や野菜をゆでることも可能です。

また、ホイル焼きやレトルト食品も調理することができます。

その他に、中蓋の使用目的としては、お米を計量することができます。

中蓋にお米を摺り切りいっぱい入れることで、2合分になると言われています。

計量カップを携帯してない場合は、それを利用しましょう。

また、真ん中の蓋はご飯を食べるときの取り皿としても利用できます。

ただし、アツアツの飯盒から直接食べるとやけどの恐れがあるのでお気をつけ下さい。

取り皿に取りわけて、食事するのをおすすめします。

「変な形の中蓋いるの?」って思っていた方もいるかと思いますが、是非有効に活用してみましょう。

飯盒の上手な炊き方

最後に飯盒の上手な炊き方をご紹介します。

まずは、米と水の分量をしっかり図りましょう。

失敗する原因の半分はこれにあります。

そもそも、最初の段階でミスをしていることが多くあるのです。

お米は計量カップがあるのが理想ですが、なければ中蓋を利用して、しっかり擦切って計量しましょう。

お水も、指で測る方法などがありますが、飯盒に書いてある、ラインをしっかり見ましょう。

この際、飯盒に斜めになってたりするといけないので、しっかりと平行なところにおいて、水の分量を量りましょう。

お米と水の割合は、1:1.1程度です。

古米を使用する場合は、もう少し多くするといいでしょう。

しっかり分量が量れて、次に注意するのは火加減です。

最初は強火です。

飯盒の底だけでなく、飯盒の側面までもしっかりと火があたる程度の強火で構いません。

ぷつぷつと、吹きこぼれが出てきたら、火を弱火のところへ移動し、ぷつぷつが収まるまでじっくり待ちましょう。

ぷつぷつが収まったら、火からおろしてしばらく蒸らします。

この際、ひっくり返してはいけません。

ひっくり返すと、そこに残っている水分が、上の方に移ってきて、全体的にべちゃべちゃのお米に仕上がってしまいます。

また、火加減の調整が難しい場合は、強火の火加減のところと弱火の火加減のところ、両方を用意してから、調理を始めればいいでしょう。

このときに、どうしてもできあがりが不安な人は、蓋を開けて中身を確認しましょう。

その際にあまり頻繁に開け閉めをしてしまうと、飯盒の中の圧力が抜けてしまい、うまく炊けないことがあるので注意しましょう。

以上のことを注意すれば、美味しいご飯が炊きあがりますよ。

何回か実際に体験すると、この形の意味が理解できると思います。

飯盒の不思議な形の意味はなるべくしてなった

飯盒を初めて見た時、誰しもが経験する、「何だこの形?」という気持ちを解消することはできたでしょうか?
この飯盒の形の意味の1つ目は、お米を上手に炊くために飯盒内に水流が起き、均等に炊けるという点です。

2つ目に、携帯性です。

もとは旧日本軍で使用されており、持ち運びに非常に便利な形態をしていると言えますね。

3つ目に、あの形が並べやすいという点です。

携帯するときだけでなく、ご飯を炊くときも、並べやすく調理もしやすいというメリットがありました。

このように飯盒は、長い歴史を通して、なるべくしてなった形なのです。

あのへんな形は非常に理にかなっており、意味があるということもわかりましたね。

こちらも合わせてご覧ください。