アウトドア用のバックパックの素材を見ていると、「コーデュラナイロン」や「バリスティックナイロン」といった材質を見ることがあるかもしれません。
しかし、これらがどのような素材なのか、あまりなじみが無い方も多いと思います。
そこで、これらのナイロン素材の違いについてご説明していきます。
また、コーデュラナイロンやバリスティックナイロンが使われている商品もご紹介します。
コーデュラナイロンとバリスティックナイロンの違いは?
アウトドア用のバックパックについて調べていると、「コーデュラナイロン」や「バリスティックナイロン」といった素材を目にすることがあるかもしれません。
普段見かけない素材ですから、それぞれにどういった特性や違いがあるのかや、購入に迷った時にどちらを選べばいいかの判断がつきませんよね。
そこでまず、それぞれの素材について簡単に押さえておきましょう。
初めに、両者に共通して言えることは、どちらも海外で作られた非常に頑丈なナイロン生地の一種ということです。
コーデュラナイロンは、過酷なアウトドア環境や作業現場に、バリスティックナイロンは軍事用途にも耐えられるように開発されたという経緯があります。
どちらもしっかりとした厚みがあり、1000デニールを超える生地も珍しくありません。
ここで、デニールというとストッキングなどを連想する方も多いでしょうが、糸の太さを表す単位です。
この単位は、糸の長さ9000mあたりの重さが何グラムかによって定められており、例えば500デニールなら9000mで500g、1000デニールなら9000mで1000gとなる太さであることがわかります。
つまり、同じ面積の布であっても糸が太ければ密度が上がりますから、より頑丈になるという事ですね。
続いて次の項では、コーデュラナイロンとバリスティックナイロンそれぞれについて詳しく見ていきます。
コーデュラナイロンの特徴!デニール違いのラインナップ!
コーデュラナイロン(CORDURA nylon)は、ナイロンの7倍の強度を持つといわれている生地です。
インビスタ社によって開発され、商標登録がされています。
コーデュラナイロンは、生地の元になっている糸の太さ(デニール)の違いごとに、500D、1000D、1680Dと生地のラインナップがあります。
数字が大きいほど糸が太くなるため頑丈な生地になりますが、その反面ゴワついて重くなってしまうというデメリットもあります。
また、素材にナイロンではなくポリエステルの糸を使った610Pという生地もあります。
こちらは軽くてしなやかなため、普段使いするアイテムの素材としておすすめです。
コーデュラは、作業着のように強度が必要な衣服の生地として使われることが多いです。
特徴としては、耐久性が高く、何もせずともそれなりの耐水性があるため、あらゆる環境での使用が可能という事です。
また、比較的縫いやすいため、様々な場所で使われます。
最近では、コーデュラが混紡された生地で作られた「コーデュラTシャツ」なんて製品までありますよ。
コーデュラナイロンについてご説明しましたので、次はバリスティックナイロンについてご説明していきます。
バリスティックナイロンは軍用の生地!
バリスティックナイロンは、デュポン社によって開発された生地で、ナイロンの5倍の強度があるとされています。
バリスティック(ballistic)とは英語で「衝撃」を意味する単語ですから、衝撃に強いという生地の特性から名づけられたのでしょう。
その名の通り、衝撃に強くてはならない軍事関係の衣服などに使用されることが多く、防弾チョッキやフライトジャケットの生地に使われています。
生地は1050デニールのものがポピュラーですが、840デニールや1680デニールの他に、軍用では2520デニールなんて生地も使われているようです。
非常に頑丈な生地であるために縫い合わせたりするような加工が難しく、バリスティックナイロンが使われている製品は比較的高価であることが多いです。
バリスティックナイロンの強度がナイロンの5倍というお話をしましたが、コーデュラナイロンの強度がナイロンの7倍というお話もしましたので、なんだか見劣りすると思われている方もいるのではないでしょうか。
しかし、実際に生地に触れてみた感覚とは違いがあるようで、バリスティックナイロンの1050Dとコーデュラナイロンの1680Dが同じくらいの強度という意見もあるようですよ。
コーデュラ・バリスティックどちらを選べばいい?使い心地に違いは?
ここまでの説明で、どちらも非常に頑丈な生地であることが伝わったかと思います。
しかし、もしコーデュラナイロンとバリスティックナイロンのアウトドアグッズがあったとして、どちらを購入するか迷ってしまった場合、どちらを選ぶのがいいのでしょうか。
コーデュラとバリスティックを比較してみると、メーカーが公表しているナイロンとの強度の差は、コーデュラの方が上です。
しかし実際に触ってみると、バリスティックナイロンの方がしっかりとしているというインプレも多いです。
そのため、性能の違いはほとんど僅差であると言えるでしょう。
どちらも日常生活で使用するうえで必要十分な強度を持っていますから、性能が僅差なのであれば、デザインの好みで決めてしまっても問題はなさそうです。
とはいえ、見た目を比較してみてもどちらも同じ斜子織ですから、生地にほとんど違いはありません。
そこで、比較するべきなのは軽さです。
バリスティックは1050Dのものがポピュラーですが、コーデュラは比較的色々な厚さの生地が出回っているため、デニールの違いによって重さが違います。
生地の頑丈さと軽さはトレードオフですから、頑丈さをとるか、軽さを取るか、天秤にかけたうえで使い勝手の良いものを選びましょう。
コーデュラナイロンを使った製品
最後に、アウトドアに最適なコーデュラナイロンやバリスティックナイロンを使ったグッズをご紹介します。
まずこの項では、コーデュラナイロンを使った製品を取り上げていきます。
■MYSTERY RANCH(ミステリーランチ):ジャバ
米国で消防士やハンターなど、過酷な環境に赴く人たちに愛用されているのがミステリーランチのデイパックです。
普通のデイパックとは違い、過酷な環境でも使いやすい機能性があることが愛用される理由でしょう。
その中でも特におすすめなのが、ジャバです。
500デニールのコーデュラナイロンが使われており、容量も17Lと非常に普段使いがしやすいスケールです。
■アウトドアプロダクツ:デイパック
使っている人も多いアウトドアのデイパックですが、実はコーデュラ1000Dが使用されていることをご存知でしたか?
安価に手に入って頑丈ですから、通学などに便利です。
バリスティックナイロンを使った製品
さきほどはコーデュラナイロンを使ったアウトドアグッズをご紹介したので、この項ではバリスティックナイロンを使った製品をご紹介します。
■アークテリクス:アロー22
アウトドアグッズで有名なアークテリクス製のデイパックです。
バリスティックナイロンそのものの耐水性に加え、ジッパーにも止水ジッパーを使っていますから、屋外で突然の雨に見舞われても安心ですね。
また、長時間背負っていても安心な背面パッドやドリンクチューブを通す穴なども備わっているため、実用性も非常に高いです。
■吉田カバン:ヒート バックパック
ポーターで有名な吉田カバンから販売されている、バリスティックナイロンを使ったバックパックです。
この製品の違いは、カバンの上部の三重構造の蓋にあります。
ひどい雨に降られても荷物が濡れる心配は不要でしょう。
他にもたくさんのポケットがあり、カメラやガイドブックを必要な時にすぐに手に取ることができるのもアウトドアでは嬉しい機能ですよね。
コーデュラもバリスティックも頑丈!機能や軽さの好みで選ぼう!
以上、コーデュラナイロンとバリスティックナイロンの違いについてまとめてきました。
どちらもハードな環境下で十分安心して使える頑丈さがあることがわかっていただけたかと思います。
もし購入時にこれらの素材で迷った場合には、どちらも十分に信頼できる生地ですから、デニールの違いによる重さの違いや単純な外見の好みで選んでしまいましょう。