寒い2月ともなると、外に出るのは億劫になる方も多いのではないでしょうか。
特に海釣りとなれば、冷えた潮風にさらされることになり、足が遠のくこともあるでしょう。
しかし、2月はターゲットとなる魚が豊富なのはご存知ですか?
2月は、寒さを我慢してでも釣りたくなるようなターゲットが盛りだくさんです。
今回は、2月の海で釣って楽しい魚や、食べて美味しい魚をご紹介します。
「春を告げる魚」と書く海水魚「メバル」は2月の定番釣り物
2月の海釣りでオススメのターゲット1種類目は、「メバル」です。
一年を通して釣れる魚ですが、特に冬から春先ハイシーズンです。
「春告魚」と書かれることもある魚で、春先の釣り物の定番です。
岩礁帯や海藻の生い茂る地域を好み、港湾部にも多く生息しています。
成長に長い歳月がかかることで有名で、20cmまで成長するのに5年を要するとされています。
そのため、30cmを超える大型の個体は「尺メバル」と呼ばれ、大型個体として一つの基準となっています。
近年では、このメバルを小型ルアーで狙う「メバリング」の人気が高く、専用タックルも増加しています。
その名の通り目が大きく張っており、非常に視力が高いことが特徴です。
夜行性の性質を活かし、メバリングでは夜間に釣行することが主流ですが、海底の障害物の周辺では昼間にも釣れることもあります。
メバリングで使用するタックルは、7~8ftほどの長さのロッド、2000番~2500番を用いるのが一般的で、軽いルアーを操作し易い硬さを選ぶのがベストです。
各釣り具メーカーからもメバリング専用品が発売されていますが、ブラックバスタックルでも充分対応できます。
使用するルアーは、0.5g~2.5g程度のジグヘッドと2インチ程度のソフトルアーの組み合わせが主流ですが、5g以下の小型プラグやジグを用いることもあります。
このメバルの身は白身で淡泊です。
煮付けや塩焼きが定番の食べ方ですが、鮮度がよければ造りで味わうことも可能です。
春告魚を食べて、春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。
ゲームフィッシングの定番釣り物~バチ抜けが始まる2月の「シーバス」~
「シーバス」という魚をご存知でしょうか。
おそらく、「スズキ」という呼び名のほうが馴染みがあるでしょう。
この「シーバス」は、成長するにつれて呼び名が変わる「出世魚」です。
関東では「セイゴ」「フッコ」と呼び名が変化し、60cmを超える大きさになり「スズキ」と呼ばれるようになります。
時には1mを超える大きさに成長することもあり、強い引きが楽しめることも人気の要因でしょう。
北海道から九州まで幅広く分布しており、湾内や河口、砂浜などあらゆる場所で狙うことができる釣り物です。
海釣りのイメージの強いシーバスですが、実は河川を遡上することもあり、時には河口から数十kmもの上流で釣れることもあります。
都心を流れる多摩川や隅田川でも狙えることは、知らない方も多いのではないでしょうか。
さらに、隅田川から分岐した水路や運河にも生息する魚種なので、摩天楼が立ち並ぶ都会の真ん中で釣ることもできます。
時には「こんなところで」と思うような意外な場所で釣っている姿を見ることもあります。
このシーバスは、一年を通して狙える釣り物ですが、東京湾では2月下旬から始まる「バチ抜け」のシーズンは非常に盛り上がります。
「バチ抜け」とは、「バチ(=イソメやゴカイの多毛類)」が産卵のために一斉に海底の地中から抜け出してくる現象です。
この時期のシーバスは活発にバチを食べ泳ぐため、シーバスフィッシングが非常に盛り上がる時期です。
この時期になると、「バチパターン」と呼ばれる、バチを模したルアーを用いバチの動きを再現する釣り方が一般的です。
洋食の食材としても定番のシーバスは、洗いをはじめとする生食、フライ、焼き物など、どんな食べ方をしても絶品です。
身近な河川でお手軽に大型魚を狙ってみましょう。
2月の寒さにも負けない釣り物「アイナメ」
スーパーではなかなかお目にかかれないアイナメは他の魚種よりも冷たい海水を好む習性があり、2月の海水温が低い時期にもよく釣れる魚です。
日本では、北海道から九州南部、瀬戸内海まで幅広い海域ですることができます。
高級魚として有名なアイナメは淡泊な身をしており、鮮度がよければお造りにすることもできるほか、天ぷら、塩焼きといった調理とも相性がよいです。
気になる釣り方ですが、「ブラクリ」と呼ばれる仕掛けを用いた釣り方が主流でしょう。
ブラクリとは錘と針が一体になった仕掛けで、これにイソメや魚の切り身をつけ浅瀬の岩場やテトラポットを探るように狙います。
釣り場が岩場なので、岩の裏に潜られてしまわないように魚をいなすテックニックや駆け引きも要します。
使用する糸も、フロロカーボンのようにこすれに強い素材のものを選ぶとよいでしょう。
平均して30cm前後のものがよく釣れますが大型のものになると60cmを超えることもあり、強烈な引きも魅力の一つです。
なお、アイナメを狙っているとカサゴやソイといった魚がかかることもあり、どちらも美味しく食べることができます。
さまざまな魚種を狙える点も、ブラクリ釣りのよいところです。
スーパーなどでは滅多に手に入らないアイナメ釣りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
アイナメの親戚「ホッケ」は寒い時期の寒い海で狙おう
「ホッケ」と言えば、居酒屋で提供される開きのイメージが強いかと思います。
ホッケの開きはスーパーでも販売されており、多くの家庭でも消費されている魚種でしょう。
そんな庶民派のホッケ、実は前の項で紹介した高級魚「アイナメ」と近縁の種類で、見た目も非常によく似ています。
見分けるポイントとしては、尻ヒレが二股に分かれていればホッケ、分かれていなければアイナメです。
また、北海道から九州まで生息するアイナメに対し、ホッケは茨城県より北の海域のみに生息しています。
特に北海道は、ホッケ釣りの盛んな地域として知られています。
冷たい海水を好むという点でも、両者はよく似ています。
ホッケは12月~5月ころまでは岸から狙うこともでき、2月ごろは特に大きさ、数ともに期待できる時期です。
釣り方はフカセやルアーで狙うこともできますが、オススメはサビキ釣りです。
サビキ釣りとは、コマセと呼ばれる撒餌さで魚をおびき寄せ、その撒餌さを模した疑似餌付きの針を食わせる釣り方です。
深場に沈みがちなホッケの群れをコマセでおびき寄せることで、大漁も期待できます。
ポイントは、群れが集まるまでは惜しまずにコマセを撒くことです。
平均して30cm前後ですが、良型のものでは50cmほどまで成長し、食べ応えも抜群です。
ホッケもアイナメと同様に身は淡泊で、焼き物との相性がよいです。
冬は脂がのり、焼いているとしたたる脂が食欲をそそります。
定番の開き干しも、味が引き締まって絶品なのはいわずもがなでしょう。
北海道へ行く際は、ぜひホッケ釣りにチャレンジしてみてください。
「オニカサゴ」は美味しいけど、要注意の海水魚
「オニカサゴ」という魚をご存知でしょうか。
実は、学術的にはオニカサゴという魚種は存在しておらず、イズカサゴやフサカサゴといったよく似た海水魚の総称として、釣り人の間で呼ばれている魚です。
オニカサゴが市場に出回ることは少なく、一部の高級店で提供されている程度で、食卓に出ることはほとんどないのではないでしょうか。
食べたことがなくとも、水族館やバラエティ番組で見かけることならあるかもしれません。
オニカサゴはごつごつとした体つきをしており、背びれや胸びれにはトゲがあります。
実は、このトゲには毒があります。
刺されると幹部が赤黒く腫れ上がり、数時間から数日は激しい痛みに苦しめられることになります。
オニカサゴ釣りのハイシーズンは冬で、2月もよく釣れます。
千葉県より南の比較的温暖な海域に生息しており、水深80~200mほどの深場に生息しています。
沖合で深場を狙う釣りなので、船釣りになります。
片テンビンという錘を用いた釣り方が一般的で、肉食性の強い性質を利用して魚の切り身を餌にします。
深場に仕掛けを沈めることや深場から引き上げることを考え、電動リールが必須になります。
電動リースを用いれば魚がいる深度を正確に狙うこともできるため、釣果が伸びることもあります。
オニカサゴは揚げ物や焼き物などどんな食べ方でも美味しい魚ですが、やはり煮付けが絶品です。
滅多に食べることのできない貴重な魚ですが、強力な毒を持っていることだけは忘れずに楽しみましょう。
釣り物は魚だけじゃない!「ヤリイカ」
2月の海で釣れるのは、魚だけではありません。
「ヤリイカ」はその名の通り槍のように細長い体形をしたイカの一種です。
柔らかい歯ごたえで甘みのある非常に美味しいイカです。
造りにして食べるのが一番定番ですが、肝と一緒に煮付けるのも味わい深いです。
なお、イカにはアニサキスという寄生虫がいることがあるので、生食する際は注意が必要です。
ヤリイカは冬から春にかけてハイシーズンを迎えます。
王道の釣り方は、エギと呼ばれる疑似餌を用いた釣りです。
エギを用いた釣りは「エギング」と呼ばれ、ヤリイカ以外にもアオリイカやタコ類が釣れることもあります。
そのほか、ツノやスッテと呼ばれる疑似餌を用いた釣り方もあるので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
なお、イカやタコが釣れた際は吐き出す墨に注意が必要です。
衣類に着くと簡単には落とせませんので覚えておきましょう。
寒くても楽しみはたくさん!2月の海へ釣りに出かけよう!
今回ご紹介した釣り物は、冬に楽しめる釣りのほんの一部に過ぎません。
2月は寒くてもさまざまな魚が釣れる時期であり、多くの魚に脂がのって旬を迎え、美味しくなる時期でもあります。
寒くて外へ出るのが億劫でも、釣りに出向く価値は充分にあるのではないでしょうか。
釣りを楽しんだ後は、釣った魚を美味しく味わえるとよいですね。
万全の寒さ対策をして、冬の海へ釣りへ出かけてみませんか?