キャンプの必需品!ガス缶の知識と正しい廃棄法

最終更新日:2019/01/15

キャンプやアウトドアライフに欠かせないガス缶は、手軽で便利で入手のしやすい燃料として、今や日常生活においても、また防災グッズとしての需要も高まっています。

手軽で便利なガス缶ですが、やはり可燃性の液化ガスが詰まった危険物であり、取り扱いを間違うと取り返しのつかない事故につながります。

ここでは、キャンプを始め、アウトドアシーンの必需品ガス缶の取り扱いや安全な廃棄方法についてご紹介します。

今やキャンプの主流はガス缶

キャンプを始め、アウトドアを楽しむアイテムでガスを燃料とする製品は、今では当たり前になっています。

しかし、筆者がアウトドアを楽しみ始めた当時は、キャンプと言えばホワイトガソリンを燃料とするランタンやバーナーなどのアイテムが主流でした。

ポンピングなど独特の儀式とも言える取り扱い方法は、キャンプの非日常感を演出し、なんとも言えない場の良い雰囲気を醸し出します。

現在でも、この雰囲気を大切にし、キャンプを楽しんでいるベテランもまだまだ多くいることでしょう。

しかし今では、アウトドアデザインのカセットコンロも多くあり、需要も増えてきました。

それだけでなくツーバーナー、ランタン、BBQの炭を起こすバーナーだけでなくBBQコンロですらガス缶をセットするタイプが販売されています。

もはや、ホワイトガソリンと比較して、入手しやすく取り扱いも楽なガス缶が燃料として主流となってきていると言っても過言ではないでしょう。

しかし、扱いが楽と言っても、ガス缶の取り扱いと廃棄には注意が必要です。

キャンプに使うガス缶の種類と成分

もはや、キャンプでごく当たり前に使われているガス缶ですが、缶の形状によって2種類に分類されます。

それは、CB缶とOD缶の2種類です。

家庭でも出番の多いカセットコンロに使われている縦長のCB缶は、カセットボンベ缶の略でスーパーやコンビニでも取り扱っているので、入手しやすくコストが安いのが長所です。

ガス缶は始め、阪神淡路大震災で防災グッズとしての役割が注目されました。

それまでメーカーによってバラバラだった規格が、1998年にJIS規格の改正で統一され、汎用性が抜群に良くなりました。

短所としては、外気の温度が低いとパフォーマンスが落ちて火力が弱くなることや、まだCB缶を使用できるランタンが少なく、バーナーとの燃料の共有がしにくいといったことも挙げられます。

一方、OD缶は、OUTDOOR缶の略で、もともとアウトドアでの使用を前提として開発されており、火力が強く、寒冷地でも性能が低下しにくいのが特徴です。

OD缶専用の高品質なアイテムも多く、ランタンとバーナーで燃料の共有しやすいのですが、CB缶に比べるとコストが高く、アウトドア用品を取り扱っている店で入手しなければなりません。

どちらのタイプのガス缶も充填されているガスは、石油を高圧下で液体化させた液化石油ガス(LPG)です。

また、LPGの中でも成分は大きく2つに分けられ、1つは「ブタン」、もう1つが「イソブタン」になります。

ブタンは、0.5度まで対応することができるといわれていますが、気温が10度以下になると火力が落ち始めます。

一方、イソブタンは、マイナス11度まで対応しているため、標高の高い山でも安定して使用することができます。

一般的に、CB缶にはブタンが主成分となりますが、OD缶は低温にも対応できるよう、イソブタンが主成分となっていることが多く、さらに高級なガス缶にはプロパンが充填されていることもあります。

これらを使用後、廃棄することになりますが、販売店で引き取ってはくれませんので、後の章で詳しくご説明していきます。

キャンプ中のガス缶の取り扱い

便利で手軽なガス缶ですが、中身は危険な可燃物であるため取り扱いには注意が必要です。

念には念を入れて 安全のためにあえてご説明しておきましょう。

・使用するときは換気が必要

必ず風通しの良い場所で使って下さい。

キャンプ中のテントや車内などの密閉された空間で使うと不完全燃焼を起こし、一酸化炭素が発生します。

そうなると、一酸化中毒で死亡することもあります。

ドームテントなどの中は、特に危険ですので絶対に使用しないで下さい。

・使用中ガス缶を高温にしない

複数のコンロを密集して使用したり、バーナーを覆うような鉄板やスモーカーの長時間の使用では、燃焼器具が高温になり、セットされたガス缶も熱せられ、中の液化ガスの圧力が急激に高くなり爆発する恐れがあります。

センサーでガスの供給が止まり、大事に至るのを防ぐ機能がついた製品もありますが、くれぐれもご注意下さい。

・高温になる場所で保管しない

車内のような高温になる場所での保管や、炭焼きBBQコンロのそばなどには絶対においてはダメです。

またガス漏れや接合部の劣化を防ぐために使わないときは、ガス缶を燃焼器具から外しておきましょう。

・使い切ったガス缶も要注意

使い切ったと思っていても、すぐに廃棄しないで下さい。

まだ内部にガスは残っている可能性があります。

油断してBBQコンロのそばに置いたり、キャンプ場のゴミ焼却炉のそばや中に入れたりしては絶対にいけません。

余談かもしれませんが、ガス缶の爆発だけでなく、アウトドアでの事故は飲酒が絡むことが多く見受けられます。

注意力が散漫になることのないよう、キャンプ中のお酒は、ほどほどにしておきましょう。

キャンプで使ったガス缶を廃棄する前に

入手しやすく扱いやすいガス缶ですが、廃棄する前に必ずしておかなければならないことがあります。

ガス缶は、「使い終わった」からと言って、通常の燃えないゴミと同じように考えてはいけません。

なぜならば、キャンプ場のゴミ置き場やゴミ収集車の中でガスが漏れて引火する恐れや、焼却炉で爆発することもありえるからです。

キャンプ場の火災や清掃局員が死傷する危険もありますし、焼却炉が損傷する可能性もあります。

まずは、使用したガス缶を廃棄する前に必ず振ってみて、液体がさらさらと動くような音がしないか確認して下さい。

音がするということは、ガス缶の中にある液体が動いたということで、内容物が残っていることを示します。

残っていれば、再度燃焼器具にセットして残っているガスを使い切りましょう。

そして、あらためてガス缶を振って音がならないのを確認したら、いよいよ廃棄となります。

廃棄方法は、その地域の自治体によって扱い方が違います。

必ず、現場のキャンプ場で引き取ってもらえるならキャンプ場で、持ち帰って廃棄する場合は自宅近くの自治体で確認してから行って下さい。

ガス缶に穴を開けずに廃棄する自治体が増加中

これまで、ガス缶の廃棄の方法は、ガス缶に穴を開けて、中のガスを完全に抜いてから燃えないゴミとして回収を行うというのが、常識でした。

しかし、最近では、穴を開けずに回収する自治体が増えてきています。

筆者が住む自治体でも、以前は各家庭にガス缶に穴を開ける道具が配布されていました。

しかし、昨年から危険ゴミ回収日を設けられ、穴を開けずに廃棄することになりました。

原因は、全国各地でガスを抜く穴開け作業での火災や死亡事故が相次いだからです。

そのため、ガス缶などの危険ゴミは、穴を開けずに回収日に集められ廃棄されることが多くなってきています。

ゴミ処理施設のある自治体では、施設に持ち込めば無料で引き取ってくれます。

また、問題になるのが、未使用や少ししか使わずに長年放置されたままになった古いガス缶の廃棄です。

子供が小さい頃は、家族でキャンプを楽しんでいたけれど、子供の成長と共にキャンプに行く機会が減り、ガス缶を使い切らずに長年放置していたのが出てきた、ということはよくあるパターンです。

ガス自体は劣化しないのですが、ガス缶自体にサビが出たり、パッキンが劣化している可能性があり、破棄にも注意が必要になります。

自治体のゴミ処理施設や販売店が回収してくれるなら良いのですが、そうでない場合は、メーカーのお客様相談口で相談してみて下さい。

メーカーが不明な場合は、一般社団法人「日本ガス石油機器工業会」に問い合わせてみましょう。

民間の資源回収業者に有料で廃棄処理を依頼することもできますが、不法投棄をするような悪質業者でないことを会社のHPなどで確認してからにしましょう。

ガス缶に穴を開けての一般的な廃棄

ガス缶をそのまま回収して廃棄する自治体が増えてきましたが、全国一斉ではありません。

まだまだ、穴を開けてから回収する自治体やキャンプ場もあるので、安全に穴開け作業をするため、詳しくご説明していきます。

使い切ったと思ったガス缶でも、安全を確保するため念には念を入れてガスの残存量を減らしておきます。

作業は火の気のない、風通しの良い屋外の広い場所で行って下さい。

キャンプ場で行う場合は、必ず周囲を確認して、火を使っている場所から離れて風下で行います。

CB缶の場合は、缶を逆さまにして、缶の先端の穴出部を石やコンクリートなどの硬いものに押しつけると気化したガスが出ます。

OD缶の場合は、シングルバーナーなどの器具に装着してバルブを開くとガスが出ます。

器具がない場合は、バケツなどに水を張り水中に沈めて接合部の凹型バルブを釘など硬い棒状のもので押すとバルブが開きます。

振ってみてサラサラと液体が動く音が出ないことを確認して、専用の穴開け道具や缶切り、釘などで穴を開けます。

このとき、穴を開ける位置が自分の方に向かない角度を保ちましょう。

また、ガスが一気に飛び出ないよう、一度で大きな穴を開けないで下さい。

複数のガス缶を処理する場合は、一度に何本もせずに、数日、数回に分けて行います。

作業時は、ゴム手袋を装着して下さい。

燃えないゴミとして廃棄するのか、危険ゴミで廃棄するのかは、自治体により違いますので必ず確認しましょう。

安心してキャンプを楽しみために

燃料としてガス缶の普及は、様々なアウトドアシーンの利便性を向上させてきました。

キャンプに入門するハードルを下げ、多くの人々が手軽にキャンプを楽しむことができるようになったのは、ガス缶の功績と言っても過言ではないでしょう。

しかし、あまりにも手軽ゆえに、なおざりにされてきた安全への意識を、この記事を読むことで高めていただければ幸いです。

キャンプを安心して楽しんでいただくために、ガス缶の知識は必ず役に立つと確信しております。

それでは、素晴らしいアウトドアライフをお過ごし下さい。

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