キャンプでの大きな楽しみの一つでもある食事。キャンプでも白いご飯や、お米を使った料理を食べたいという方も多いでしょう。キャンプで電気炊飯器が使えない場合、どのようにすればおいしくご飯を炊くことができるのでしょうか。
この記事では、電源のないキャンプサイトでもおいしく簡単にお米を炊く方法や、便利な炊飯アイテムなどについてご紹介します。
キャンプで米炊きに使える便利な道具5つ
電源のないキャンプ場などでも、おいしいご飯を炊くための道具はいろいろあります。それぞれのアイテムにより使い方や炊き上がりの特徴が異なりますので、用途や状況、目的に応じて使い分けることがおすすめです。
その1 鍋
電源のないキャンプ場では、土鍋やダッチオーブンなどの鍋を使ってご飯を炊くことができます。鍋の種類別に、それぞれの特徴をご紹介します。
土鍋
土鍋はその素材上、加熱すると鍋全体に温度がゆっくりと上がっていくことが特徴です。じわじわと熱が伝わることにより、お米の一粒一粒まで熱が通って炊き上がりがふんわりもちもちになります。また、そのふっくらしたおいしいご飯に、香ばしいおこげがつくことがあるのも最高ですね。
ダッチオーブン
蓋と持ち手がついた鋳鉄鍋、ダッチオーブンは、煮る・焼く・蒸す・炒める・揚げるなど、さまざまな調理に対応できることが特徴です。お米を炊く以外の調理にも使えるので、キャンプ道具を減らしたい時などにも便利でしょう。
小さいサイズのダッチオーブンを使うと、少ないお米でもおいしく炊くことができます。
鉄でできているので、焚き火などの直火にかけることも可能です。
その2 メスティン(飯ごう)
メスティンとは、アルミでできた四角い飯ごうのことです。もともとは炊飯器具として販売されていましたが、現在では米炊きはもちろん、茹でる・焼く・蒸す・炒めると幅広い調理に使えるため、キャンパーのみならず家庭でも便利に使える万能クッカーとして人気があります。
アルミ製で軽量な上、収納できるハンドルがついているので持ち運びにも便利です。熱伝導率も高いので、スピーディーに調理できることも魅力でしょう。
メスティンはサイズ展開も豊富なので、シーンに合わせて選びやすいアイテムです。
3合や4合まで対応できるラージサイズなどもあり、用途に応じて使い分けることもできます。
慣れるまで火加減の調整を難しく感じることがあるかもしれませんので、初めは固形燃料を使用した自動炊飯をおすすめします。固形燃料の火が自然に消える頃には、メスティンの中でほかほかのご飯が炊きあがっているでしょう。
その3 ライスクッカー
アウトドア用の調理器具の中で、炊飯専用に販売されているのがライスクッカーと呼ばれるものです。厚みと重さがあるのため吹きこぼれしにくく、お米にむらなく熱が伝わりおいしいご飯を炊くことができます。ライスクッカーには、電気炊飯器のようにお米や水を入れるラインが刻まれており、水加減で失敗しないという利点もあります。炊飯で失敗したくないキャンプビギナーさんにもおすすめです。
ライスクッカーは、各アウトドアメーカーからさまざまなタイプのものが販売されています。コンパクトタイプなら2合以下、大容量タイプなら5合まで対応しているライスクッカーもありますので、必要な容量を考えて購入すると良いでしょう。
その4 フライパン
フライパンでもおいしいご飯が炊けます。1.5合までなら、20cmのフライパンで十分です。
フライパンは底面が広く面積が大きいので、お米が対流しやすく、むらなく加熱できるというメリットがあります。炊きあがりの最後を強火にすればおいしいおこげを作ることもできますので、お好みの炊き加減を探してみてはいかがでしょうか。
その5 シェラカップ
直火に対応できるシェラカップでも、お米を炊くことができます。300ccのシェラカップなら半合の炊飯が可能です。お茶碗一杯分のご飯を炊く時にちょうど良いので、ソロキャンプなどにもおすすめです。シェラカップにはステンレスやチタンなどの素材が多いですが、炊飯に使うなら熱伝導率が良く、焦げ付きにくいステンレス製のものが良いでしょう。
キャンプにお米を簡便に持って行く方法3つ
キャンプにお米を持って行く時は、あらかじめ小袋や入れ物に小分けしておくと良いでしょう。 100均などで手軽に用意できる袋や、米びつとしても家庭で使えるような便利なアイテムを利用した方法をご紹介します。
その1 ジッパー付き保存袋やフリーザーバッグに入れて持って行く
冷凍や湯煎もできるジッパー付き保存袋やフリーザーバッグは、密閉性に優れ耐久性が高い上に開け口が広いので、シェラカップやメスティンの蓋などでお米をすくい取りやすい入れ物です。サイズもいろいろあるので、必要な分量に合わせて小分けして持っていくことができます。
その2 ペットボトルに入れて持って行く
容量があらかじめ決まっているペットボトルは、その都度お米を計量することなく使えるので大変便利なアイテムと言えるでしょう。500mlのペットボトルには約2.5合分のお米を入れることができますが、2合入れておけばキャンプ場でも計量せずにすぐに使うことができます。容器に目盛りをつけておくと、一目で残量を把握することができて便利です。
その3 ナルゲンボトルに入れて持って行く
ナルゲンボトルとは、アメリカのナルゲン社が販売する蓋付きのプラスチック製のボトルです。透明で強度が高く軽量な素材と、密封性が高いことが特徴で、世界中で幅広いシーンで用いられている容器です。ナルゲンボトルには目盛りがついているため、お米をあらかじめ計って持って行くことができます。1合は約180mlと覚えておくと便利でしょう。
ナルゲンボトルは、ゴムパッキンを使用していないため衛生面でも優れており、家庭での米びつとしての使用もおすすめです。
キャンプ場でも簡単-お米の計り方と洗い方
おいしいお米を炊くには、お米を計って、糠を落とすために洗う必要がありますよね。
道具が少ないキャンプでも簡単に行える、失敗しないお米の計り方と、おいしく炊くための洗い方のコツをお伝えします。
代用品を使ったお米1合の計り方
1合は約180ml(cc)、重さでは約150gです。このことを覚えておくと、キャンプなどのアウトドアで計量カップがない時でも簡単に計量することができます。
以下に、お米1合を計ることができる代用品をご紹介します。
- 300ml・500mlペットボトル
- 紙コップ
- 計量スプーンの大さじ
300mlのペットボトルには、一合の米を入れることができ、500mlのものには約2.5合分のお米を入れることができます。外側から目盛りなどをつけておくと便利です。
紙コップは容量が200mlのものが多いので、この特徴を利用しましょう。紙コップの上の縁から約1cm下までがおよそ180ml(1合)になります。
料理に使う計量スプーンの一番大きいものは約15mlですので、12杯で1合になります。
お米と水の比率で計る
お米を計りたいと思っても、入れ物の容量がわからないこともあるかもしれません。そのような時は、お米に対する水の量の比率でご飯を炊くことができます。
その比率とは、お米と水の量が、1:1.2になるようにすることです。マグカップなどにすりきり1杯のお米を入れたとすると、それに対して水の量は、カップ1杯とカップ2割分の水を足したものになります。
おいしく炊けるお米の洗い方
突然ですが、お米は「研ぐ」ものでしょうか、あるいは「洗う」ものでしょうか?
結論から言うと、お米は軽く「洗う」だけで十分な食材です。精米技術が向上し、昔と違い現在ではお米には肌糠がうっすら表面についているだけに処理されています。
そのため、しっかり力を入れてお米をこすり合わせて研ぐよりも、軽く洗い流すだけで良いのです。
では、どのような洗い方がお米のおいしさを損なわないのでしょうか。
お米をおいしくする洗い方のコツについてご紹介します。
- 良質な水で洗う
- 最初のすすぎはスピードが命
- 洗米はやさしく
- 力を入れて洗わない
- 水の取替は3回くらい
お米は乾物なので、最初の水は特によく吸収します。ミネラルウォーターや、浄水器を通した水などが良いでしょう。
最初のすすぎで水を捨てる時は、素早く行いましょう。これは、糠の匂いがお米に吸収されないようにするためです。お米を水に浸けて、卵を軽く握ったような手にして3〜4回ほど回転させて混ぜたらすぐに水は捨てましょう。
水を捨てた後の、ほとんど水のない状態のお米をやさしくかき回します。卵を握ったような形の手で、一定の速さで同じ方向に20回くらいかき回します。
お米はギュウギュウと力を入れて押し付けて研ぐようにすると、割れてしまいます。ゴシゴシと力を入れて、お米をこすり合わせて洗うのはやめましょう。
水の取替は2〜3回で十分です。水が透明になるまですすぐ必要はありません。うっすらと水に濁りのある状態が目安です。お米に関しては良質の水を使用するのがベストではありますが、このすすぎの行程では、ミネラルウォーターでなくても水道水でOKです。
キャンプでおいしいお米を炊く方法
家庭なら電気炊飯器があり、細かい温度調整なども自動的に行ってくれますよね。機械がしてくれていた炊飯の行程を、電源のないキャンプサイトで行うのは難しく感じるかもしれません。
しかし、水加減と火加減という2つのポイントをおさえれば、簡単にアウトドアでもお米を炊くことができます。
以下に、キャンプでおいしいお米を炊く方法をご紹介します。
水加減が大切-お米と水の割合について
お米を洗い終わったら、お米を浸す水を準備します。お米と水の分量は、1:1.2がベストでしたね。1合(180ml)のお米に対して、200ml程の水を用意すると良いでしょう。
おいしくご飯を炊くには水の量を計量するのがおすすめですが、ソロキャンプで有名なヒロシさんなどは、人さし指の第一関節までを目安にして水加減を調整しているようです。ヒロシさんによると、水は多めのほうが失敗しにくいとのことですので、参考にしてみても良いかもしれません。
お米に吸水させよう!ヒロシも必ず実践
洗ったお米は水に浸け、吸水させましょう。ヒロシさんも、お米は必ず浸水させるようにし、この行程を絶対に忘れないようにしているそうです。
ヒロシさんは15分くらいなようですが、一般的には夏は30分から1時間、冬は1時間から1時間半が浸水時間の目安と言われています。
お米に十分に吸水させることで、芯が残らずふっくらしたご飯に炊きあがります。
冬キャンプなどで水温が低い場合は、お米を2時間くらい浸水させても良いでしょう。
火加減の基本を守る
電気炊飯器を使わず、バーナーやガスコンロ、焚き火などでお米を炊くには、水加減のほかに火加減も大切です。
キャンプでの炊飯は、「始めは沸騰させ、その後は弱火で15分」が基本と考えて良いでしょう。最初は強火にしてすぐに沸騰させ、吹きこぼれたら弱火にして約15分加熱します。
最後は蒸らすのがおいしくなるコツ
お米が炊きあがったら、蓋を閉めた状態で10〜15分ほど蒸らしましょう。炊きあがりのご飯は水分が多いのですが、蒸らすことで水分が均一になりおいしいご飯になります。蒸らす時間が短いと、水っぽいご飯になることがあるでしょう。好みの蒸らし加減を見つけて、おいしいご飯を炊いてみてくださいね。
キャンプでの炊飯がより楽になるアイテム
手間をかけるのもアウトドアの醍醐味ではありますが、キャンプ飯は時間をかけずに用意したいという方も多いでしょう。
お米を炊く時も、手軽に準備できるのに越したことはありませんね。
以下に、炊飯がより楽に行えるアイテムをご紹介します。
米研ぎいらずの無洗米
無洗米とは1991年に登場した、研ぎ洗いしなくてもよいお米です。
肌糠がすでに除去されているので、水を加えるだけで炊飯することができます。
ヒロシさんがソロキャンプで炊飯に使っているのも、無洗米だそうです。無洗米は水も節約できますし、手間がかからずアウトドア向けのお米だと言えます。
無洗米をおいしく炊くには、一般的な精白米よりも少し多めに水を入れるようにすることがコツです。
冷凍ご飯
家で炊いたご飯を冷凍して持っていけば、キャンプの時に炊飯の手間を掛けなくて済みます。凍っている冷凍ご飯は、溶けるまで保冷剤のように使うこともできますよ。
冷凍ご飯を煮込み料理などで使いたい時は、あらかじめ解凍しておくと煮込むのに時間がかかりません。冷凍ご飯を活用する時間から逆算して、ある程度解凍しておくと調理時間や燃料を節約できます。
洗い米
日帰りキャンプや1泊程度の短期間のキャンプでしたら、お米を洗って持って行くこともおすすめです。自宅で必要分の米を洗い、袋などに小分けして入れておけば、キャンプ場での洗米や浸水の手間が省けます。洗ったお米を持参する場合は、よく水を切ってクーラーボックスに入れていきましょう。
湯煎でOK-レトルトのお米
レトルトパックのお米は、家庭では電子レンジで加熱するのが一般的ですが、電源のないキャンプ場では、湯煎すればおいしくいただくことができます。
湯煎する時は、中のお米をジッパー付き保存袋などに入れ替えると、サイズもコンパクトになり扱いやすくなる上に、芯まで加熱しやすくなります。加熱時間は10分以上は必要です。
キャンプでチャレンジしたい炊かない米料理
キャンプでおいしいお米を食べたいけれど、一から炊飯するのは少し大変と感じる方は、炊かない米料理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
アウトドアで大活躍する、レトルトのパックご飯を使った炊かないレシピをご紹介します。
パックご飯で作るクリーミーチーズリゾット
【材料 1人分】
- レトルトのパックご飯…1パック
- 玉ねぎ…1/4個
- ベーコン…2枚
- オリーブオイル…小さじ1
- 塩・コショウ…適量
- ピザ用とろけるチーズ…20g
- ■固形コンソメスープの素…1個
- ■牛乳…半カップ
- ■水…半カップ
【作り方】
- 玉ねぎを薄くスライスし、ベーコンを短冊切りにする
- クッカーにオリーブオイルを入れて熱し、①を炒める
- ■を入れてひと煮立ちする
- パックご飯を小さく割って入れ、ほぐしながら混ぜる
- とろみが出てきたら、とろけるチーズを入れる
- 塩、コショウで味を整える
まとめ
鍋やメスティン(飯ごう)、ライスクッカーやフライパン、ソロキャンプなどではシェラカップでもご飯が炊けました。おいしいご飯を炊くには、お米をやさしく洗い、水加減や火加減に注意して最後は蒸らすことがコツでしたね。電源のないキャンプサイトでもおいしいご飯を食べたいという方は、気に入ったアイテムを使ってお米を炊いてみてはいかがでしょうか。