ペトロマックス・hk500はドイツ製のランタンで、キャンパーの間でも人気が高まっているアイテムです。
しかし、扱いが難しくトラブルの多いランタンでもあります。
せっかく手に入れた憧れのペトロマックスランタンを、長く使っていくためにも取り扱い方やトラブルの対処方法について学んでおきましょう。
ペトロマックスhk500の特徴
hk500はペトロマックスを代表するランタンです。
光沢のある美しいデザインと点灯時の抜群の明るさは誕生から現在まで、多くのランタンファンを魅了してきました。
一方で、点灯までの手順が多いことや時間のかかる作業が含まれることもあり、なかなか手が出ないという方も少なくありません。
実際に、hk500を構成するパーツは200以上あり、分解して組み直すだけでも大変な作業になります。
さらに、燃料に灯油を使用するため使うたびにススが付着します。
このススをそのままにしておくと、さまざまな不具合の原因になってしまいますので定期的なクリーニングが必要です。
こういったメンテナンスの面でも、取り扱いの難しさを感じてしまうユーザーが多いようです。
しかし、基本的な使い方をきちんと理解し、点灯するときに起こり得るトラブルについて対処方法を知っていれば、自信を持って取り扱うことができます。
hk500のトラブルと対処法を知ろう①
ペトロマックスのランタンは、ユーザーの間で「前日よい調子でも翌日までうまくいくかどうかはわからない」というようなことを言われています。
それほどまでに、デリケートなランタンであるということです。
構成パーツが多く、なかなか手が出にくいアイテムかもしれませんが、前項でも述べたように取り扱い方やトラブルについて正しく理解すれば、上手に使いこなすことができます。
ここからは、ペトロマックスのhk500について、主だったトラブルとその対処法をご紹介していきますので参考にしてみて下さい。
●ポンプが動かない、もしくは加圧ができない
原因としてはポンピング関係のパーツの摩耗、潤滑油の不足、空気漏れなどが挙げられます。
対処方法としては、パーツの交換や潤滑油の注入、各バルブの緩みがないかを確認します。
また、ポンプバルブが固着してしまっている場合には、キャブレタークリーナーを使って固着部分の古いグリスなどを取り除きます。
●ポンプからの燃料漏れ
ポンプバルブの緩みや摩耗、破損が原因です。
バルブが緩んでいる場合にはマイナスドライバーで締めなおします。
バルブが破損や摩耗しているのを見つけたらパーツごと交換することを検討しましょう。
●点灯時に大きな炎を上げて炎上する
まずは、プレヒート(予熱)不足を疑いましょう。
しっかりとポンピングをして加圧をし、バーナーでの予熱時間を長めにし、しっかりとプレヒートを行います。
そのほかに、セラミックノズル内にススが溜まっていることも考えられますので使用前にはクリーニングを忘れずに行います。
hk500のトラブルと対処法を知ろう②
引き続き、ペトロマックスhk500のトラブル対処方法についてご紹介します。
●点灯時の明るさを保てない
燃料タンク内の圧力が低下すると、このような状態に陥ります。
光が弱くなったと感じたら燃料の残量と圧力計を確認し、必要に応じて給油と追ポンピングを行いましょう。
加圧するときは、圧力計の赤いラインにメモリが届くよう調整します。
また、過度なポンピングをし、タンク内の圧力が強すぎると、また別の問題が起きてしまいますので既定のラインを超えないよう注意しましょう。
●光にムラができている
マントルの炭化が不十分なことが原因です。
十分なプレヒートを行い、マントルをムラなくしっかりと炭化させます。
マントル自体に破損を発見した時には、すぐに消化して新しいマントルと交換しましょう。
亀裂が入ったり破損したマントルを使い続けるとホヤが割れるなど、別のトラブルの原因となってしまいます。
ここにご紹介したトラブルのほかにも、使用しているとさまざまなトラブルが起きてくるでしょう。
hk500は個体差の激しいランタンでもあり、同じランタンでもトラブルがほとんど起きないものもあります。
こればかりは運としか言いようがありませんので、どのようなトラブルにあっても対処できるようにしておきましょう。
ペトロマックスの扱いにくさには灯油ランタンならではの理由があった
hk500の燃料は灯油です。
灯油は、ガソリンランタンで使用するホワイトガソリンよりもずっと安価なので、燃料代を抑えようとガソリンランタンに切り替えるキャンパーもいるようです。
また、家庭でも日常的に使用する燃料であることが、ペトロマックスランタンのような灯油ランタンの親しみやすさに繋がり、キャンプで使う照明用火器を灯油を使うものを選ぶという方も少なからず存在します。
しかし、一般的に灯油を燃料にするランタンは扱いにくいとされています。
なぜなのでしょうか。
その理由は、ポンピングの回数とプレヒートの難しさにあります。
灯油ランタンはガソリンランタンと違い、プレヒート(予熱)の工程があります。
この予熱に失敗してしまうと、既にご紹介したような明るさにムラが出るなどのトラブルにつながってしまいます。
およそ90秒間、バーナーでランタン内部をしっかりと予熱します。
この予熱時間は目安ですので、季節やランタンの状態によって調整しましょう。
ポンピングついては、点灯のためとプレヒートの工程のために多くの回数をする必要があります。
一度の点灯に少なくとも50から60回は必要と言われていますから、必然的に明かりが付くまでに時間がかかってしまうのです。
このポンピングの回数を省略するために、ポンプアダプターを取り付けるとタンク内の内圧をより早く高めることができます。
扱いが難しいアイテムですが、工夫次第では点灯までの工程がスムーズになりそうです。
トラブルを回避するために…ペトロマックスランタンのメンテナンス方法
ペトロマックスのhk500には多くのトラブルが起きやすいことをお伝えしてきました。
これらのトラブルは、突然起きているわけではなく調べていけばほとんどの場合、原因を特定することができます。
とはいえ、トラブルが起きてから慌てて対処することになるととても大変ですよね。
出かけた先で起きたトラブルが起きてしまったとしたら、焦ってしまい正しく修理することがさらに難しくる可能性があります。
ランタンの不具合を起こりにくくするためには、普段からのメンテナンスがとても重要になってきます。
hk500のメンテナンスは、基本的には分解し各パーツを清掃することが主です。
以下に、特にチェックしておく必要のある個所について挙げておきます。
●予熱バーナーの噴射口
ここが詰まるとバーナーに点火せず、ランタン内部の予熱をすることができません。
付属の掃除針を使って詰まりを取り除いておきましょう。
●ポンプロッド周辺
ポンピングをしていて、空気が抜けるような感覚やタンクの内圧がなかなか上がらない場合には、ポンプロッドの先についているパッキンの状態をチェックします。
劣化し硬くなったり、収縮していると、加圧がうまくいきません。
パッキンが乾いている場合は、潤滑油をよく揉みこみ柔らかくします。
裂けたり収縮が激しいときには、新しいものと交換しておきます。
●注油口
注油口のパッキンが劣化するとタンク内の空気が漏れ出し、圧力が下がってしまいます。
注油口のキャップ裏にあるゴムパッキンの状態を確認し、必要があれば交換しましょう。
根気よくメンテナンスや修理をしてペトロマックスランタンを一生モノに
メンテナンスをしていくと、自然とランタンを分解して見直す作業の繰り返しであることに気づきます。
日常的にメンテナンスをし、構造を理解することでトラブルが起きた時も慌てずに対処することができます。
ペトロマックス hk500には、製品と一緒にリペアセットが同梱されています。
【hk500リペアセット】
・専用スパナ
・注油キャップ用ゴムパッキン
・ニップル
・クリーニングニードル
・ニードルキー
・掃除針
これらのキットを使って、メンテナンスやある程度の修理ができます。
使う頻度が少なくても、組み込まれているパーツによっては時間とともに徐々に劣化していきます。
それらの劣化を見逃さず、使いたいときに最良の状態にしておくためにも自分でメンテナンスができることは大きな利点になります。
せっかく手に入れたランタンですから、自分の手で直しながら大切に使っていきたいですね。
日常のメンテナンスが一番のトラブル対処法
hk500のような、加圧式灯油ランタンは他の灯火火器に比べて手間のかかる道具です。
たびたびトラブルが起きてしまうものも少なくありません。
しかし、メンテナンスを怠らなければ回避できるものも多くあります。
長く使っていくために、ランタンの構造を理解し欠かさずメンテナンスを続けていきましょう。