大自然での夜を楽しむためには、明かりが必要です。
キャンプ地は夜ともなれば真っ暗闇になり、明かりなしでは身動きが取れません。
そんなキャンプの夜になくてはならないアイテムが、ランタンです。
近年では軽くてコンパクトなLEDランタンが人気ですが、キャンプで使うのならば趣のあるガスランタンやガソリンランタンも人気があります。
ここでは、ランタンの選び方や使い方と長く使うために必要になる、ホヤ部分をはじめとする各パーツの掃除法・メンテナンス方法を紹介します。
ベストなランタンとは?その種類と使いやすさ
ランタンには大きく分けると、LEDランタン、ガス・ガソリンランタン、キャンドルランタンの3つのタイプがあります。
それぞれ、どんなものを燃料にしているかによって、扱い方や形に良し悪しがあります。
●LEDランタン
壊れにくく、光源が明るいうえに軽量・コンパクトなランタンです。
LEDを使用しているため電池の持ちがよく、災害・防災用としても人気の高いランタンです。
また燃料を使用しないため、一酸化炭素中毒の心配がなくメンテナンスもほとんど不要です。
ただ、コンパクトではありますが「ランタン」の形をしていないものも多く、雰囲気重視のキャンプシーンでは、メインとして使うには向かないかもしれません。
●ガスランタン・ガソリンランタン
3つのタイプの中でもっとも明るいランタンです。
ガソリンランタンなら、小さなものでも100W程度の明るさがあるのでキャンプの際、屋外のメイン灯に向いています。
また光の色味や広がり方に柔らかさがあるため、雰囲気もでます。
しかし、ホヤと呼ばれるガラス部分が汚れやすいので掃除が欠かせません。
手入れの手間を惜しまなければ、長く使えるランタンです。
●キャンドルランタン
ろうそくをつかった、比較的コンパクトなランタンです。
構造がシンプルなため扱いやすく、壊れにくいところがメリットです。
ただ、光量が弱めなので細かい作業には向きません。
ランタンの構造を覚えてホヤ掃除から各パーツの手入れまでこなす!
ここからは、前の項目で紹介したタイプの中から、ガスランタン・ガソリンランタンに注目していきます。
趣があり、メインの明かりとしてキャンプサイト全体を照らすほどの光量があるため、キャンプの雰囲気をぐっと高めるアイテムです。
明かりを点けるときやメンテナンスをするときにスムーズに行えるよう、各部品の名前を覚えておきましょう。
どちらのランタンも形が似ていて共通の働きをするパーツが多いのですが、なかにはそれぞれ特有のものもあります。
・ポールナット
ベンチレーターを固定するナットです。
・ベンチレーター
排気する部分です。
・マントル
発光体となるものです。
・ジェネレーター
液状の燃料を気化させるパーツです。
燃料が通る管のことです。
・グローブ
ホヤとも呼ばれる、マントルを風や衝撃から守るガラス製のカバーです、
・火力調整ノブ
着火・消化のときに火力を調整するつまみのことです。
・ポンププランジャー
ガソリンランタンについたタンク内の圧力を上げるためのパーツです。
これをつかってポンピングし、タンク内の圧力を上げます。
・自動着火装置
ランタンに火を付けるためのスイッチです。
・燃料タンク
燃料がはいっています。
ガスランタンではカートリッジと呼ばれる脱着式の容器になります。
LEDランタンやキャンドルランタンと比べると、パーツの数がとても多く複雑です。
そのため着火作業やメンテナンスにも手順や手間が掛かります。
ホヤ部分も煤で汚れるため、こまめな掃除が欠かせません。
しかしこれらの手間も「キャンプをする上での味わいになる」と、好んでガスランタンやガソリンランタンを使う方もいます。
しっかり覚えて炎を楽しむ!ガス・ガソリンランタンの使い方
ガスランタン・ガソリンランタンは似た形をしていますが、使用する燃料がそれぞれ違うため、着火の手順が変わります。
●ガスランタン
①ランタン本体にカートリッジを取り付けます。
本体とカートリッジ接続部はメーカーにより異なるので、カートリッジ購入する際はよく確認しましょう。
②ランタンのグローブを外します。
ガラス製のグローブを使用している場合は割ってしまわないよう注意します。
③マントルを装着します。
マントルを、バーナーチューブの上から覆うように装着し、マントルが丸くなるように整えます。
④マントルを空焼きします。
柄の長いライターがあると安全です。
全体が白くなるまで焼きます。
⑤グローブを装着しましょう。
マントルが均一に空焼きできたらグローブを装着します。
空焼き後のマントルは壊れやすいので触れないよう注意します。
⑥ランタンを点火します。
ランタンの燃料調整バルブを開き、ガスが出ている音がしたら自動点火装置を押します。
点火装置がない場合はライターで点火します。
●ガソリンランタン
①燃料を入れます。
燃料タンクのキャップを外し漏斗などを使って、タンクの8割ほどまでホワイトガソリンを注ぎます。
②ポンピングをします。
燃料バルブがオフになっていることを確認してポンプノブを左に2回まわしてからポンピングします。
このとき、親指でポンプノブの穴を押さえながらしっかり押し込むようにしましょう。
50回~80回くらいが目安です。
最後にポンプノブを押し込み右に回してしっかり閉じます。
③マントルを取り付けます。
ポールナットを外しベンチレーターとグローブを取り外します。
バーナーキャップ(上からさがっているパイプの先端)の溝にマントルを結び付け、余った糸を切り取ってから取り付けたマントルを広げておきます。
④マントルの空焼きをします。
マントルの下側からライターなどで火を付け、まんべんなく灰状になるまで空焼きをします。
空焼きしたマントルは壊れやすいので指などで触れないようにしましょう。
⑤点火します。
取り外しておいたベンチレーターとグローブ(ホヤ)を取り付けます。
燃料バルブを開け「シュー」という音から燃料のでる「ジッジッ」という音に変わったら一度燃料バルブをオフにします。
10秒ほどしてから再び燃料バルブを開きライターなどで点火します。
はじめは炎が上がりますが、これは燃料が液体まじりになっているためです。
追加で20回~30回ほどポンピングすると安定していきます。
大きな炎をそのままにしておくとホヤ部分に煤が付く原因になります。
炎の付きが悪い場合はジェネレーター部分に汚れがたまっていることがあるので、ランタンが冷めるのを待って掃除をします。
●消し方
どちらのランタンも燃料バルブを閉じればゆっくりと消えていきます。
火は消えた後でもランタン自体は熱を持っているので、十分冷めるまでは直接手で触れないようにしましょう。
汚れが目立つホヤ部分!こまめな掃除が大切
ランタンの汚れで目立つのはグローブ(ホヤ)についた煤です。
これは、一度の使用でも多少はついてしまうものですが、煤を落とさずそのままにしておくと、せっかくの光が遮られてしまいます。
収納時に拭き取っておく癖を付けましょう。
この煤が毎回付けるたびに多量につくときには、ジェネレーター部分の詰まりや吸気口にゴミや虫が付着して詰まっていることが考えられます。
煤が付くということは空気と燃料のバランスが悪く、不完全燃焼を起こして煙がたくさん出ていることが原因です。
吸気口の詰まりの場合は、分解してエアスプレーなどで付着物を取り除き様子を見ます。
ジェネレーター部分が詰まっている場合は、ジェネレーターを取り出して掃除をします。
その原因を取り除くためにも、使う度に掃除やメンテナンスをしておくことが大切です。
ランタンを長持ちさせるには?ホヤをはじめ各パーツの掃除方法
ランタンは使用するたびに少しずつ汚れていってしまいます。
少しの汚れだからと次に使うときまで放っておかずに、できるだけ掃除をしてから仕舞います。
ランタンのパーツごとに掃除の方法が違いますので詳しく見ていきましょう。
●グローブ(ホヤ)
グローブ(ホヤ)を割らないよう注意しながら取り外し、内側に付いた煤を布で優しく拭き取ります。
汚れがひどいときには水で洗い流します。
グローブ(ホヤ)はガラス製で熱に敏感です。
必ず完全に冷めてから水洗いしてください。
冷めないまま水につけてしまうと温度差によってヒビが入ったり割れてしまうことがあります。
●ポンピングノブ
空気を送り込むポンピングノブ軸を取り外し、硬く絞った布で油分の汚れを拭き取ります。
ここが汚れているとポンピングの動作を妨げてしまい、燃料を気化することが難しくなってしまいます。
●吸気口
バナー本体の空気孔はバーナー本体を外した裏側にあるのでワイヤーブラシやエアスプレーでたまったゴミや虫の死骸などを取り除きます。
もうひとつはバーナーヘッド部分です。
マントルを取り付ける部分に網目状になった空気孔がありますので、こちらもエアスプレーで掃除をします。
●ジェネレーター
ジェネレーターに付いた煤を落とします。
ジェネレーターを直接ガストーチであぶったり、サンドペーパーでこすると簡単に取り除くことができます。
ランタンを長く使っていくために…掃除と同時に行う有効なメンテナンス法
ランタン各部の掃除と併せてしておきたいのが、各パーツのメンテナンスです。
メンテナンスを丁寧にしておくことで、ランタンを愛着を持って長く使うことができます。
●メンテナンスに必要な道具
・リュブリカント(潤滑油)
・レンチ
・ドライバー
・鉄ブラシ
・雑巾
・軍手
●メンテナンス
上記の工具を使いながらランタンを分解していき、各パーツの状態をチェックしながらそれぞれに合ったメンテナンスをしていきます。
・グローブ(ホヤ)
内側の掃除をした後でヒビや割れがないか確認します。
一ヶ所でも白くなったり焦げたりしていた場合、次に使うときに割れてしまう可能性があるためマントルとともにグローブ(ホヤ)も交換しておきます。
・ジェネレーター
使用中、マントルに点火するものの炎が不安定になるときには、ジェネレーターの手入れが必要です。
ジェネレーターを取り出して確認し、煤を落とします。
ニードルが折れてしまうなどのジェネレーター本体の故障の場合は、新しいものを用意して交換しましょう。
・燃料バルブ
ポンピングでタンク内の圧力が高まったとき、燃料バルブ内の鉛製のリングが緩んでいたりすると燃料漏れを引き起こします。
燃料バルブを取り外し、リングを締め込んでおきましょう。
このとき、あまり強い力で締めてしまうとリングがつぶれてしまうので適度な加減で締め付けることが大切です。
日々のメンテナンスや自力での修理でも直らないような故障の場合には、メーカーリペアを検討しましょう。
ランタンを自分だけの相棒に育てよう!
ランタンの中でも、ガスランタンやガソリンランタンは、その明るさだけでなく、着火時の手間や音を楽しむアイテムです。
繰り返し使っていくことで味わいや愛着が増していくのも、このランタンのいいところです。
ランタンを手に入れたなら、正しい使い方と定期的なメンテナンスを楽しみながら、ゆっくりと自分のものにしていってください。
きっと、アウトドアの相棒として欠かせない存在となっていくことでしょう。