登山のコースタイムを知っておこう!遅いのはいけないこと?

最終更新日:2019/01/15

登山の計画を立てるときに、コース踏破にかかる時間の目安にするのが、地図に記載されたコースタイムです。

しかし、登山初心者は体力や経験が少なく、どうしても登る速度が遅い場合があります。

同伴者や周りの人に遅れると時間を気にしてしまいがちですが、登る速度が遅いことは良くないことなのでしょうか。

ここでは、初心者登山のコツやグループ登山のルールにも触れながら、登山におけるコースタイムについて考えていきます。

登山におけるコースタイムとは

登山でのコースタイムとは、一般的な登山者がコースを踏破するまでにかかる、おおよその所要時間のことを指します。

登山計画を立てるときには、コースタイムを目安として、その日のコンディションやパーティメンバーの経験値を鑑みて登山のペースを決めていくことになります。

特に、メンバーに初心者がいる場合には、登るスピードがコースタイムよりも遅いことを考慮して、計画を立てなければなりません。

登山マップにはコースタイムが記載されていものが多いため、そのコースタイム参考に登山の計画を立てる方もいるでしょう。

しかし、コースタイムが記載されたマップが無くても、地形の高度が分かる地図さえあれば、コースタイムを算出することができますので、その方法をご紹介します。

【コースタイムの求め方】

一般的な登山道では、1時間で300mの高度を登るとされます。

この数字をもとに、コースが普通よりも険しいか、それとも緩やかかで所要時間を加減して、コースタイムを概算することができます。

また、より正確なコースタイムが知りたい場合には、登山コースの水平距離と等高線から読み取れる高低差をもとに、「水平方向に進む所要時間」と「高さ方向に進む所要時間」に分けて計算して、これらの和から求める方法もあります。

その際、それぞれの方向に進む速度を以下の表のように換算するといいでしょう。

水平方向:15(分/㎞)
上り(緩):15分/100m=0.15(分/m)
上り(急):20分/100m=0.2(分/m)
下り:15分/100m=0.15(分/m)

仮に、往復8㎞の距離で、上りの高低差が720m(急:500m、緩:220m)、下りの高低差が720mのコースを想定すると、コースタイムは以下のようになります。

●登り

・水平距離:4(㎞)×15(分/km)=60分
・高低差(急):500(m)×0.2(分/m)=100分
・高低差(緩):220(m)×0.15(分/m)=33分

●下り

・水平距離:4(㎞)×15(分/km)=60分
・高低差:720m×0.15(分/m)=108分

全ての時間を合計すると361分となり、およそ6時間の登山コースであることが分かります。

遅い?早い?コースタイムの見極め方

登山マップに記載されたコースタイムを参考にする時に注意しなければならないことがあります。

それは、あくまでも目安の所要時間であるということを忘れないことです。

多くのマップブックでは、コースタイムとは

「通常天候時、一般的な登山者が行動する実際の時間に少しの余裕を持たせたもの」

であるとしています。

計画を立てるために参考にはなりますが、ただの目安であることを念頭におかなければなりません。

なぜならその日の天候や体調、グループであればメンバーそれぞれの経験値によって、登山にかかる時間が変わるからです。

コースタイムより早く登れるからいいとか、遅いことはいけないことだという認識を持っているのなら、すぐに改めましょう。

また、ルートを確認するのに地図の等高線を利用しますが、初期の頃のものとは違い、最新の地形図や地図の等高線はとても正確です。

コース距離を見るよりも高度差を把握し、より綿密なタイムを予測し把握する方が合理的です。

コースの中に急な部分があれば時間がかかりますし、グループ登山で経験値が浅いメンバーがいれば、そういった個所の攻略に時間がかかることも考えられます。

印刷されたタイムを鵜呑みにせず、地形図や地図からの情報をしっかりと得て登山計画を立てましょう。

他の登山者のコースタイムを参考にする時の注意点

いまでは登山者が増え、自分のブログなどで登山レポートを紹介する方も多くみられます。

登山を始めたばかりのころは、やはり他の登山者が気になりますので、参考にすることもあるでしょう。

しかし、これらの登山レポートだけを目安に山登りすることはおすすめできません。

なぜなら、他人のレポートはどこまで行っても他人のものだからです。

自分の体調やスタミナ、足の早さにも個人差がありますので、参考にしたタイムとの差が出てしまうことが多いのです。

他の人の登山レポートを参考にするなら以下のようなことに注意しておきましょう。

●レポートでコースタイムを公開している人は健脚である場合が多い
●同性の人のレポートを参考にする
●トレイルランニングか登山者かを見極める
●レポート時の山の状態や天候を確認する
●日帰りか宿泊かを見極める
●登山スタイルを確認する

特に単身で登山している人のコースタイムは、足腰に自信があり健脚の自負があって公開していることがあるので、特に山登りをし始めた初心者の参考にはならないことがあります。

また、レポートの一日の工程をよく見て登山者であることを確認しましょう。

歩行スピードが速いトレイルランニングのレポートの場合は、一日の歩行距離が長いことが特徴です。

純粋に山を楽しみたい、じっくり登りたい人、または歩行スピードが遅い人にとっては、このような速度の速いコースタイムは参考になりません。

更に、レポートを書いた登山者が宿泊の日程で行動した場合には持ち物が増え、おのずと歩行のスピードにも影響がでますので、書かれた日程から、装備の様子まで読み取りができるかが重要です。

登山スタイルが同じかどうかも確かめておきましょう。

山に登ることは同じでも、目的が違うことは大いにあり得ます。

自分がしたい登山と同じスタイルのレポートを参考にしましょう。

ペースが遅いことを気にしない!初心者登山のコツ

登山初心者は経験者に同伴してもらうことで、より安全に登ることができます。

不安があるうちは初心者のみでの登山は避けましょう。

山に登るためのペース配分が分からず、登山への高揚感も手伝い、最初からハイペースで登ってしまうことが多く、予想以上に疲れてしまいます。

はじめての登山でこうなってしまうと「やっぱり登山はきつい」「自分には合わない」と思ってしまいその後の登山をあきらめてしまいがちです。

身近に登山経験者がいない場合には、山登りのイベントや登山教室などに参加して、経験者から知識を学ぶ機会をつくりましょう。

山登りで気を付けることはペース配分です。

先述のようにペース配分がうまくできないと、疲れが早く出てしまい、せっかくの山を楽しむことができません。

初めての登山では、実際の自分の歩行スピードが把握しきれていませんので、コースタイムを参考にしてしまうと辛くなってしまう場合があります。

そのため、あまりコースタイムを気にせず無理のないペースで登ることをおすすめします。

歩行スピードの目安は「おしゃべりができる程度」です。

息切れしてきたら少しペースを緩めます。

立ち止まることが無ければ、遅いペースで登っていく方が体への負担が少なくて済みます。

また、登り始めの30分でゆっくりと体を慣らすように歩くことで、身体が無酸素運動から有酸素運動のモードに移り、呼吸や体の動きが楽になります。

歩きはじめて1時間程度は休憩せずゆっくり歩き続けて、有酸素運動の状態で山を登るのが理想的です。

登山では、会話しながら歩き、50分ごとに10分程度休憩するのが疲れずに長く登れるペースです。

休憩時は体に溜まった疲労を取るため、ザックを下して深呼吸したり、肩を回したりしてリフレッシュしましょう。

下るときには登りよりも注意が必要です。

脚の筋肉が弱いと下っていく間のブレーキが利かず、足が勝手に進んでしまうため、膝に負担がかかります。

登りと同様に下りでもゆっくりと慎重に進むことが大切です。

グループ登山のルール・遅いメンバーに合わせる

単身での登山は、自分のペースを守り登ることが鉄則です。

このことは、自身の状態を知り、安全に登って帰ってくるために必要なことです。

一方、サークルや気心の知れた仲間とのグループ登山にも守るべきルールがあります。

複数人での登山になるため、綿密な登山計画を立て、コースタイムを決めて計画的に工程を進める必要があります。

集団での行動になるため、一人の勝手な判断で全体を乱すことは、参加したメンバーを危険にさらしてしまうこともあります。

全員が同じ経験や知識を持っていることは稀ですから、基本的なことだけでも共有して楽しい登山にしましょう。

【グループ登山のルール】

●隊列を崩さず一列に並んで歩く

グループ登山での並び順は

リーダー
負傷者もしくはペースの遅い人、
登山経験者
負傷者
サブリーダーもしくは体力のある人

というように並びます。

山道の幅が狭いところもあるので横並びにはならず、縦一列で進みましょう。

●遅いメンバーに合わせる

早い人に全員がペースを合わせることはできません。

メンバーがばらばらになることで遭難などの危険もありますので、グループ登山ではペースの遅い人に全体のペースを合わせましょう。

●トラブルは全員で協力して解決する

途中でメンバーが体調を崩したり怪我をした時には、参加したメンバー全員で協力して解決していかなければなりません。

5人以下のグループの場合には、登山を続行する場合も下山する場合にも、全員が一緒に行動するようにしましょう。

6人以上の時に体調不良や負傷者が出た時には2人が付いて安全に休める場所まで移動をし、後のメンバーは頂上を目指す、または程度によっては救助の要請をするという選択もあります。

コースタイムを知るためのツール

現在、コースタイムを知るための手段はアプリ、地図、インターネットでのルート検索など様々な方法があります。

状況によって使い分け、登山計画を立てるのに役立てましょう。

そこで、コースタイムを知ることができる便利な手段をいくつかご紹介します。

●登山のルート検索「YAMAKEI ONLINE(ヤマケイオンライン)」

山の雑誌を長年作ってきた山と渓谷社が2010年に始めた登山情報サイトです。

サイト内の「日本の山&登山ルート検索」で、行程や登山最適期などの情報が得られます。

●アプリ「ジオグラフィカ」

大きな地図を持ち歩かず、スマートフォンのアプリでコースタイムや登山のログを行うこともできます。

ジオグラフィカは5年以上のフィールドテストを行っており、より正確な情報が得られます。

●登山地図「山と高原地図」

スマートフォンやインターネットサイトは便利ですが、バッテリーが無くなってしまった時には役立ちません。
もしもに備え、従来の紙の地図も持っていると安心です。

特に昭文社の「山と高原地図」は登山ルート、コースタイムの他、難路や作業道、廃道まで網羅した登山地図です。

以上、登山に役立つ3つの情報源をご紹介しました。

山の中では電波が届かなかったり微弱だったりして、サイトの動作が遅い、または情報がすぐに得られないこともあります。

また、登山では突然の事故や遭難してしまう可能性もゼロではないため、通信機器のバッテリーはできるだけ温存しておきたいところです。

情報サイトやアプリは事前の計画を立てるときに使い、登山中は紙の地図で確認するといった方法がおすすめです。

自分でコースタイムを計算して登山計画を立てる

登山地図には山に関する様々な情報が載せられています。

すべて覚える必要はありませんが、登山の計画を立てるときにはじっくりと調べて万全の状態にして出かけましょう。

また印刷されているコースタイムは平均的な目安の数字ですので、現在の自分のコンディションや天候、季節なども盛り込んで自分で計算してみると、より現実的で確実な計画を立てることができます。

決して難しい式ではないので、ぜひ自分でコースタイムの計算をしてみましょう。

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