カヤックにお乗りの方にとって、カヤックで海に漕ぎ出す前に、海へと運ぶ作業が負担になっていることは多いのではないでしょうか。
軽くても20~30kgはあるカヤックを、乗り付けた自動車から海に運ぶまで、結構な距離がある場所も多いと思います。
そこで、カヤックを楽に運べるように、カートを自作してみましょう。
この記事では、カヤックカートを自作する際に押さえるべきポイントをご紹介します。
カヤックカートの自作にあたって準備するもの
今回は、ポピュラーな自作方法として、「イレクターパイプ」を使用してのカヤックカート自作をご紹介していきたいと思います。
イレクターパイプとは、各種ホームセンター等で取り扱われている、樹脂コートがなされた鉄パイプです。
このパイプと、専用のコネクターを組み合わせることで、強度があり自由度も高いDIYをすることができます。
それでは、以下、必要なものを列挙していきます。
【材料&道具】
・イレクターパイプ
・イレクタージョイント
・車軸用パイプ(イレクターパイプの内径であるφ24以下で、タイヤの軸穴に合うもの)
・パイプカッター(百円均一等でも取り扱いがあります)
・ドリル
・タイヤ
・割りピン
・ウレタンマット
ジョイントがプラスチックの場合
・接着剤(プラスチック対応のものをお使いください)
ジョイントがメタルの場合
・六角棒スパナ(5mmのもの)
イレクターパイプは、一見樹脂のように見えますが、金属の芯が入っています。
金属用のパイプカッターを利用して、寸法通りに切り出しましょう。
ジョイントはメタルのものですと強度が期待できますし、接着剤での接着が不要のため、位置の微調整が楽になるというメリットがあります。
しかしその一方で、材質が鉄のため、メッキがはがれた箇所から錆びる恐れがあるというデメリットもあります。
どちらのメリットを取るかで、ジョイントの材質を選びましょう。
カヤックをカートにどう固定しようか
まず、カートを自作するにあたって、どのようにカートとカヤックを固定するか、その方法を考えましょう。
固定には様々な方法が考えられるとは思いますが、オススメしたいのは、スカッパーホールにカート側から突き出したピンをはめ込み、さらにバンドで縛る方法です。
二つの固定方法を併用することで、もしピンが外れてしまったり、バンドが取れてしまった場合にも、もう一方が無事ならばカートとカヤックが分離することがありません。
また、こうすることで、長手方向にも横方向にもぶれることなく、カヤックとカートを固定することができます。
カヤックに安定感があれば、カヤックの上に荷物を積んで運ぶこともできるので、いつも車と海とを2~3往復していた方は1往復ですんでしまうかもしれません。
短縮できた移動時間分もカヤックを楽しめますよ。
タイヤはどうする?自作だからできるタイヤ選定の極意
次に、カートに使用するタイヤの選定です。
カヤックカートは砂浜での使用が想定されるため、タイヤの選び方にポイントがあります。
そのポイントとは「タイヤの幅」です。
タイヤは幅が広いほど砂地でスタックしにくいため、幅広のものを選ぶようにしましょう。
もし幅広のタイヤが手に入らなかった場合は、幅が狭いタイヤを同軸の両側に2~3本ずつ取り付けることで、実質的なタイヤ幅を増やすことができますので、参考にしてみてください。
タイヤがスタックしにくくなるだけで、カヤックを運ぶ際に身体にかかる負担が、大幅に変わってきますよ。
もし既製品のカートを探して購入するとなると、あまりタイヤの選択肢がないのですが、ここは自作のメリットを活かして、砂地もドンドン進めるカートを作りましょう。
自作の味方!イレクターパイプを使いこなして車軸を作ろう!
それでは、実際にイレクターパイプを使って、カヤックカートの自作を行っていきましょう。
まずは、タイヤを取り付ける、車軸周りから作っていきます。
車軸の長さですが、カヤックの幅と同じか、少し狭いくらいをオススメします。
その理由は、車軸がカヤックの幅よりも長いと、移動中にタイヤをうっかり何かに引っ掛けてしまう可能性が高くなり、短いとカートの安定感がなくなってしまうためです。
車軸の長さが決まったら、その長さで車軸用パイプを切断し、タイヤの取り付け位置を決めて、パイプの両端に割りピンを通す穴をあけます。
後々、この穴に割りピンを通して、タイヤが車軸から抜けないようにします。
次に、車軸受けの役割をするイレクターパイプを加工していきます。
車軸受けのイレクターパイプは、車軸用パイプにタイヤを取り付けた状態で、タイヤとタイヤの間に取り付けても干渉しない長さにします。
その後、丁字のジョイントを2つ、車軸受けのイレクターパイプに取り付けていきます。
この丁字ジョイントを基部として、車軸に垂直に、イレクターパイプを取り付けます。
このイレクターパイプを延長した先が、カヤックのスカッパーホールを通って、カートとカヤックを固定するようになります。
ですから、お持ちのカヤックのスカッパーホールの間の幅を調べてから、丁字ジョイントの間隔をその幅に合わせて、固定してしまいましょう。
そして、ジョイントにそれぞれイレクターパイプを取り付け、その端に、L字ジョイントを取り付けます。
最後に、車軸用パイプを車軸受けのイレクターパイプに通し、タイヤを取り付ければ車軸ユニットの完成です。
部品を組み付けてカヤックカート完成まで!
次に、カヤックのスカッパーホールに差し込むピンユニットを自作します。
まず、2本の同じ長さのイレクターパイプを用意して、それぞれにL字ジョイントを取り付けます。
この2本がちょうどスカッパーホールに入る幅になるように、ジョイントの間をイレクターパイプで接続して、「コの字」にします。
そうしたら、両端の2本の中ほどまで、それぞれ丁字ジョイントを通します。
これが、カヤックのスカッパーホールに差し込むピンユニットになります。
ピンユニットができたら、車軸ユニットに取り付けましょう。
まず、ピンユニットと車軸ユニットの取り付け位置を決めます。
カヤックをカートに乗せているとき、タイヤがカヤックの重心に近いほど、引っ張るのに必要な力は軽くなります。
一方、カヤックを引っ張るときにはカヤックの頭を持つ形になるので、カヤックが斜めになってしまい、タイヤがカヤックのお尻から離れていると、お尻を引きずってしまいます。
以上のことを踏まえると、斜めになってもカヤックのお尻を引きずらなそうな位置で、かつ、なるべく重心に近いところにタイヤを設置するのがベストという事がわかります。
そこで、実際にカヤックを持ってみて、タイヤを設置するのに適した場所を探しましょう。
タイヤを設置したい場所が見つかったら、ピンユニットを取り付ける予定のスカッパーホールからタイヤを取り付けたい位置までの距離を測り、その長さのイレクターパイプを2本用意します。
イレクターパイプの用意ができたら、車軸ユニットのL字コネクタと、ピンユニットの丁字コネクタを、用意したイレクターパイプでつなぎます。
最後に取り付けたイレクターパイプは、カートとカヤックをベルト固定するときのベースになるので、しっかりと固定しましょう。
また、このパイプが、カートを使用している最中にカヤックの底を受けるようになります。
そのため、カヤックに傷がつかないように、パイプにはウレタンマットを巻き付けておくといいでしょう。
以上でカートの完成です。
カヤックにカートを取り付けて海へ行こう!
ここまでで、カートを自作することができたと思います。
早速、カヤックのスカッパーホールにピンユニットを差し込んで、その上からベルトで固定し、カヤックを運んでみてください。
うまく、カヤックのお尻を引きずらないで運ぶことができれば自作は成功です。
もし引きずる場合には、タイヤがカヤックのお尻側に来るように、カートの微調整をしてください。
イレクターパイプは拡張性の高さがウリなので、カヤックの他にも、車と海を行き来して運ぶものがあれば、取り付けられる場所を増設するとより便利になりますよ。
車から海に向かう時は良いですが、海から帰るときはもうへとへとで、「荷物なんて運びたくない」という気持ちの方が多いのではないでしょうか。
そんな時に助けてくれる相棒として、自分だけの便利なカヤックカートを作りましょう。
便利なカヤックカートは自作できる!
以上、カヤックカートを自作するうえでの考え方や、作り方、活用方法をご紹介してまいりました。
参考になりましたでしょうか。
カヤックは、大がかりな荷物を運ばなければならない趣味になります。
しかし、お気に入りのカヤックを運ぶカートをご自分の手で作るということで、便利な道具が完成するだけでなく、大変な持ち運びが簡単にできるようになるのです。
今までのカヤック生活をより楽しんでいただけたら嬉しいです。