キャンプ用品で使用する燃料の「ホワイトガソリン」と「白灯油」。
共に「白」や「ホワイト」と付いた名前のために混同しやすく紛らわしいのですが、実は全くの別物です。
そこで、ホワイトガソリンと白灯油(灯油)の違いと取り扱う際の注意点をご紹介していきます。
灯油と白灯油の違いは?
まず、ホワイトガソリンと灯油が混同しやすい理由として、同じ白(ホワイト)が付いているために違いが判らずに混同してしまう人がいるようです。
そもそも、灯油は日本工業規格(JIS)で精製度が高く、不純物の少ない灯油を「1号灯油」、精製度が低く、不純物の多い灯油を「2号灯油」に分類されます。
そして、1号灯油は不純物が少ないため透明で、その色から「白灯油」、2号灯油は不純物が多く黄色みがかっていたため、その色から「茶灯油」と呼ばれるようになりました。
昔はこの2種類が流通していて、暖房器具など一般的な使用では白灯油を、発電機などの使用では茶灯油を使用してました。
しかし、今では石油精製技術の発達や茶灯油の需要低下によって、茶灯油の流通はほとんどなくなりましたが、過去の名残として現在でも白灯油という呼び名が使われています。
つまり、現在茶灯油が流通していない以上、灯油=白灯油ということになるのです。
ホワイトガソリンと普通のガソリンの違いは?~色による判別~
白灯油と呼ばれるようになった由来は、その色によるものでしたが、ホワイトガソリンもイメージ的には同じです。
ガソリンも種類があり、その中でもホワイトガソリンは白灯油同様に透明の液体です。
しかし、灯油のように他の種類のガソリンは不純物によって色が異なっているのではなく、あえて着色をして違いが分かるようにしています。
色の違いですが、通常自動車に使用するレギュラーガソリンやハイオクガソリンはオレンジの着色、航空機に使われる有鉛ガソリンは鉛の添加量や等級によって赤や青、緑に着色されています。
なお、ホワイトガソリンは透明で一般的なガソリンは着色されているとご説明しましたが、ホワイトガソリンでも一部のものには着色されている場合もあります。
代表的なものは、コールマンのホワイトガソリンで色は青色です。
これは、さび止めとして添加している成分が青いためです。
ホワイトガソリンと普通のガソリンの違いは?~特徴や性質~
普通のガソリンとホワイトガソリンの特徴や性質をご説明します。
灯油は精製度による違いでしたが、ホワイトガソリンと一般的なガソリンは精製度の違いはほとんどなく、原料は共に原油から蒸留・精製されるナフサです。
ホワイトガソリンと一般的なガソリンは、この原料であるナフサに添加するもので違いが出てきます。
まず、ホワイトガソリンの成分はほとんどナフサで、メーカーによってはさび止めなどの添加物を加えることがありますが、燃焼に影響を及ぼすような添加物は含まれていません。
一方で、自動車用に販売されているガソリンは、エンジン内で適切なタイミングで燃焼されるように(自然発火しないように)添加剤で燃えにくくしてます。
ただし、エンジン内の高温・高圧化での自然発火を防止しているだけで、火を点ければホワイトガソリン同様に激しく燃焼します。
燃えにくいのと、火が点きにくいというのは、全く意味が異なるので絶対に試したりはしないでください。
ホワイトガソリン用製品に一般的なガソリンや灯油は使用できる?
ホワイトガソリン用製品に一般的なガソリンは、結論から言ってしまうと使用できます。
しかし、ホワイトガソリン用製品に灯油は使用できません。
一般的なガソリンの原料は、ホワイトガソリンと同じナフサであるため、同様に燃焼させることができ、灯油の原料はケロシンでガソリンと違いがあるため使用でないのです。
しかし、一般的なガソリンはキャンプ用品の部品が添加剤によって詰まってしまうことがあり、使用中に破損する場合があります。
また、破損など起きなかったとしても、その添加剤が燃えることによって煤や異臭が発生することもあります。
せっかくのキャンプが台無しになってしまわないよう、ホワイトガソリン用製品には、必ずホワイトガソリンを使用しましょう。
ただし、キャンプ用品の中には自動車用のガソリン対応製品もありますので、その場合はホワイトガソリンでなくても問題ありません。
なお、余ったホワイトガソリンをもったいないからと自動車に給油するのは絶対にやめてください。
ホワイトガソリンを自動車に使用すると、適切なタイミングでガソリンに点火することができなくなるため、エンジンが故障してしまいます。
ホワイトガソリンと灯油、購入場所の違い
ホワイトガソリンと灯油は全くの別物というのは前述のご説明の通りですが、色は共に透明で見分けがつきません。
ただ、分かりやすい違いとして一つ挙げるとすれば、その購入場所です。
灯油はガソリンスタンドで販売されていますが、ホワイトガソリンはほとんどのガソリンスタンドで販売していません。
ホワイトガソリンはホームセンターやキャンプ用品店で販売されています。
ただ、ホームセンターやキャンプ用品店で販売しているホワイトガソリンは値段が高いため、燃料費の安さからホワイトガソリン用のランタンなどを改造して、灯油でも使えるようにしている上級キャンパーもいるようです。
しかし、キャンプ用品の改造はリスクが高く、おすすめはできません。
そこでおすすめしたいのが、ENEOS系のガソリンスタンドでのみ売っているホワイトガソリンです。
金属洗浄用溶剤のホワイトガソリンとして販売してますが、キャンプ用品店などで販売している純正のものと成分はほとんど変わりません。
純正ではないため保障の対象外になるなど使用は自己責任になりますが、多くの人が問題なく使えているようです。
一部のENEOSスタンドでは取り扱っていない場合もあるため、詳しくはスタンドスタッフにお尋ねください。
ホワイトガソリンと灯油の保管方法の違い
灯油は家庭用の暖房でも使用されることが多いので、知っている方も多いと思いますがプラスチック製の容器で保管ができます。
しかし、ホワイトガソリンの場合はプラスチック製の容器で保管することができず、消防法令に適合したガソリン携行缶やガソリン用金属缶での保管が義務付けられています。
保管方法に違いがある理由は、それぞれの引火点に違いがあるためです。
灯油の引火点は40℃以上のため、静電気などによる引火が常温ではあまりないと考えられます。
しかし、ガソリンの引火点は-40℃以下で、真冬であったとしても静電気などで引火する恐れがあるのです。
プラスチック製の容器は電気を通さないために、静電気を逃がすことができずに放電することがあり、引火点の低いガソリンをプラスチック容器で保管した場合、容器内で静電気が放電した際に引火してしまいます。
なお、金属製の容器は電気を通すので静電気を逃がすことができるため、放電による引火を防ぐことができます。
正しい燃料で夜のキャンプを楽しくしよう
キャンプの夜は、昼とはまた一味違う楽しみがあります。
その夜のキャンプを、より楽しむためのアイテムの一つが燃料です。
最近は、電気式のキャンプ用品が増えてきていますが、やはり火の灯りや揺らぎは心を癒します。
ただ、火というものは一歩間違えるととても危険なものにもなります。
キャンプ用品に合った正しい燃料を適切に使用して、よりキャンプの夜を充実させましょう。