バーベキューなどの料理はキャンプでの楽しみの一つですが、使用後の食器や油汚れのついた鉄板などはどのように洗っているでしょうか。キャンプ場では、自然環境を汚染しない洗剤を使うことが大切です。
この記事では、環境に優しい洗剤の選び方や、おすすめの洗剤などについてご紹介します。洗剤やスポンジなどを持ち運ぶ時に液漏れしない便利な収納方法についてもお伝えしていますので、キャンプで洗い物をする際のご参考になれば幸いです。
キャンプでは合成洗剤は使用禁止
キャンプ場では、家庭用洗剤の使用を禁止しているところが多いことをご存知でしょうか。下水道に繋がっていない山奥や川辺などのキャンプ場では、浄水設備も十分に整っていないことが多く、排水は河川や地中に流すケースもあるようです。
浄水設備があるとしても、キャンプ場では簡易的な設備のことが多いので、炊事場での油や洗剤などを含んだ汚水がそのまま河川や地中に流れ込み、自然環境を汚染する可能性があります。
そのため多くのキャンプ場では、自然環境を守るため合成洗剤の使用を禁止にしています。キャンプ場の中には、使用する洗剤を指定している場合もありますので規定の確認も必要です。
キャンプで使用したい環境保護を考えた洗剤について
キャンプで使いたい環境保護を考えた洗剤とは、環境に負担が少なく、成分が自然分解されるものです。
具体的には、微生物によって分解されやすい天然成分を使用した洗剤や、石鹸成分を使用した洗剤ということになるでしょう。
一般的に家庭によく使われている合成洗剤の主成分は、化学合成されてできる合成界面活性剤です。この合成界面活性剤は、バクテリアなどの微生物によって分解されることはありません。そのため合成洗剤は分解性が低く、いつまでも残留することになるのです。
自然に還りにくいため食物連鎖の流れから、人体への悪影響が懸念される成分と言われています。
では、川や土壌が汚染されない自然環境にやさしい洗剤を、どのように選べば良いのでしょうか。以下に、キャンプで使いたい洗剤の選び方についてご紹介します。
キャンプで使いたい洗剤の選び方
合成界面活性剤から作られている合成洗剤は、微生物に分解されにくくいつまでも自然界に残留するとご紹介しました。
界面活性剤には2種類あり、石油系の合成界面活性剤と、植物由来の天然の界面活性剤があります。
キャンプでは石油系の合成界面活性剤を使用しておらず、洗浄成分が自然に分解される洗剤を選びましょう。
速やかに分解される天然成分を使用した洗剤や、石鹸成分を使用した洗剤がおすすめです。洗剤を選ぶ際は、成分表示を確かめると安心ですね。
天然成分の洗剤を選ぶ
天然成分でつくられた洗剤は、微生物によって分解されますので、河川や土壌に流れ込んでも環境汚染の心配がありません。
石鹸成分の洗剤を選ぶ
石鹸は、動植物から採れる天然油脂や脂肪酸が原料なので、微生物により自然に分解されます。品名表示で「石けん」と表記があれば石鹸成分の洗剤ですが、中には石けんと合成洗剤が合わさった「複合石けん」という表示もあるので注意しましょう。
キャンプにおすすめの自然に還るエコな洗剤
市販されており、入手しやすい環境にやさしいエコな洗剤をご紹介します。
排水後は微生物により自然に還る天然由来の洗浄成分なので、キャンプのみならずご家庭での使用にもおすすめです。
ドイツ生まれの【フロッシュ】
「フロッシュ」とは、ドイツ語でカエルのこと。カエルのマークが印象的なフロッシュは、環境先進国のドイツで生まれたアルコールフリーで肌にマイルドな食器用洗剤です。ヤシ油などの植物由来の天然成分できており、洗った後の水は微生物によって自然に分解されるという環境にやさしいエコな洗剤でです。
フロッシュはスポンジにつけても泡立ちにくいという特性がありますので、洗い桶に垂らして使う浸け置き洗いが推奨されています。
10分ほど浸け置きしてからスポンジで汚れをこすると、油汚れもきれいに落ちて気持ちよく洗えますよ。
皿洗いも一瞬でスッキリ【森と…】
がんこ本舗というメーカーから発売されている「森と…」は、水を汚さないことを第一に考えて作れられた、拭き取るタイプの食器用洗剤です。洗浄成分はすべて植物由来で、生分解は1日でほぼ9割、1週間で100%分解されます。
森と…の使い方は、スプレーして拭き取ってすすぐだけ。
油分分解型の洗剤のため、油のついた食器にスプレーすると、瞬時に油の分解が始まることも特徴の一つ。ぬるぬるしたしつこい油汚れも、一瞬でしっかりと落とすことができます。
分解された油と一緒に洗剤ごと拭き取ってしまうことで、汚水を流さないことに繋がります。泡立ちの少ない洗剤なので、すすぐ水の量も減らすことができますよ。
青森ヒバのすがすがしい香りで、油汚れのついた皿洗いなどもスッキリ爽やかに行えるでしょう。
多量の油がついた鉄板やスキレット、鍋などの洗浄には原液を使用します。
古紙や布などで食器の表面を拭き取り、原液を2,3滴加えてブラシなどで軽く洗ましょう。
拭くだけ・水なしでOK【エコキッチンクリーナー】
東京都に本社を置くマークスインターナショナルのオリジナルブランド、GREEN MOTION(グリーンモーション)は「環境への気づきを促す」をコンセプトにエコな商品を多数プロデュースしています。
その一つ、エコキッチンクリーナーは、吹きかけるだけで油汚れが取れる洗剤です。一週間ですべて生分解される成分で、自然環境にやさしい洗剤となっています。
成分の98.99%が水となっており洗浄成分が僅かなため、スプレーで吹き付けて汚れとなじませた後は、拭き取るだけでOK。
キャンプでは水は貴重ですし、水を使わないで食器洗いが完了するのは、エコな上に後片付けも簡単になりますね。
無添加で安心【シャボン玉台所用せっけん】
健康ときれいな水を守るために無添加成分にこだわり続ける、シャボン玉石けん株式会社。こちらの会社が販売する「シャボン玉台所用石鹸」は、無香料・無着色だけでなく、エデト酸塩などの酸化防止剤や合成界面活性剤を使わない無添加石鹸です。
油汚れもしっかりと落とせる上に、天然の保湿成分も入っているので手肌にもやさしいのが特徴。排水後は短時間で生分解され、石けんカスは微生物や小魚の餌となり、環境にもやさしい洗剤となっています。
野菜も食器も洗浄できる【ヤシノミ洗剤】
人にも環境にもやさしい製品づくりを心がけるSARAYAの「ヤシノミ洗剤 野菜・食器用」は、無香料・無着色にこだわった環境にやさしいヤシの実から作られた植物系の洗剤です。
食器だけでなく野菜も洗えるほど優しい洗剤なので、野菜の残留農薬や果物のワックスなども安心して洗うことができるでしょう。
洗った後の水はすべて微生物によって分解されて自然に還ります。
キャンプでの食器洗いを簡単にするアイテム
キャンプなどのアウトドアシーンで、あると格段に洗いものが楽になるアイテムをご紹介します。
100均などでも手軽に用意できるものもありますので、ぜひ活用されてみてはいかがでしょうか。
- キッチンペーパー
- ラップ・アルミホイル
- クッキングシート
- アウトドア用キッチンシンク
- シリコンブラシ
- ジャグ
- 水切りかご
食器を洗う前に、汚れをキッチンペーパーで拭いておくと食器洗いが簡単です。
食事の前に、食器をラップやアルミホイルであらかじめ包んでおくと後片付けが楽です。
炒め物などの際、フライパン用のクッキングシートを使用すると、油なしでもおいしく調理ができフライパンも汚れません。
あらかじめ洗いものをキッチンシンクに入れておくと、食器洗いも簡単ですよね。携帯性を重視するなら折りたたみ式、お湯を使いたいなら容器ごと加熱できるステンレス製のシンクがおすすめです。
セリアやダイソーなどの100均にも販売されている、シリコンブラシは水切れが良く、乾くのが早いので衛生的でキャンプでの洗い物にぴったりでしょう。柔らかいので食器を傷つけにくい上、果物や野菜を洗う時にも使うことができます。ザルなどの網目にも、細かいブラシがフィットしてノンストレスで洗えます。煮沸消毒もできるのが嬉しいですね。
ジャグとは、水などの飲料や、手洗い用などに水を溜めておく取っ手のついたタンクのこと。ジャグに水を溜めておけば、洗い場まで行かなくても手洗いや食器洗いができて便利です。折りたたみ式や、ステンレス製、保温や保冷力の高いポリプロピレン製などのものがあります。
メッシュタイプの水切りかごやディッシュラック、ハンギングドライネットなどがあると食器を乾かす時に重宝するでしょう。
キャンプでの持ち運びに便利-収納ケース入り洗剤セット
キャンプでは少々面倒に感じる洗い物ですが、あらかじめ洗剤セットを作っておくと、洗い場までの持ち運びもしやすくなり食器洗いが楽になります。
洗剤セットと言っても難しい準備は必要なく、お気に入りの洗剤と、スポンジやブラシなどをまとめて入れ物にセットするだけ。特に洗剤はキャップがあいて中の液体が漏れると大変なことになりますので、液漏れしないナルゲンボトルなどに移し替えておきましょう。
ナルゲンボトルがない方は、旅行用の化粧ボトルに入れ替えてもOK。その場合はジッパー付きの袋などに入れておくと安心です。
詰め替えた洗剤とスポンジなどを、密封できるフードコンテナなどに収納すれば、洗剤セットの出来上がりです。
持ち運びに便利な洗剤セットですが、使用後に保管する時はスポンジなどは乾かしてから収納するようにしましょう。
ソロキャンプなどで、コンパクトな容器をお探しの方に
ソロキャンプなどでは、洗剤は少量で足りますよね。洗剤を詰め替えるのにナルゲンボトルでは量が多いと感じる方には、目薬の空き容器や、化粧品の試供品の空きボトルなどに入れてみても良いかもしれません。いずれもフタがしっかり締まるので詰め替えにおすすめです。
目薬の点眼部のノズルは、ペンチなどで簡単に外すことができますよ。
キャンプギアの頑固なすすや、テントを洗うには
アウトドアでは食器も予想外の汚れがついたり、海辺のキャンプなどではテントも潮風に晒らされたりしますよね。そのような時に、スッキリと汚れを落とす方法をご紹介します。
キャンプですすを落とすには金たわしがおすすめ
焚き火などを楽しむキャンプでは、家庭では普段つかないような頑固なすすがつくことがあります。こびりついた頑固なすすは、スポンジなどではなかなか簡単に落ちませんよね。
そのような場合は、スポンジよりも金たわしがおすすめ。ステンレス製の鍋や鋳鉄でできたダッチオーブンなどは、簡単には傷がつかないので金たわしですすを削り落としても心配ありません。
キャンプで使ったテントを洗う方法
お気に入りのテントを長く愛用するには、メンテナンスにはテント用洗剤を使うことがおすすめです。
テント用洗剤がない場合は、中性洗剤を薄めた水を含ませた巾で拭き取ります。この時強く拭き取ると撥水コーティングが損なわれる場合があるので、やさしく拭き取るようにします。
自宅でテントを洗うのが難しい場合は、テントクリーニングサービスを利用するのも良いでしょう。
それでは、撥水加工も蘇る上に自然環境にもやさしい、テントを洗うのに適したエコな洗剤をご紹介します。
【NIKWAX LOFTテックウォッシュ】
テント用洗剤の一つ、NIKWAX(ニクワックス) LOFTテックウォッシュは、 川や海を汚染する合成界面活性剤は不使用の洗剤で、撥水機能を蘇らせる効果もあります。テントのベタつきも落ち、サラサラになりますのでテントの買い替えを検討している方にもおすすめです。
汚れを拭き取ってから、やさしく手洗いし、よく乾かしましょう。
LOFTテックウォッシュはテントだけではなく、防水透湿素材を使用した衣類や、撥水加工を施した衣類にも使用できます。また、手洗いだけでなくゴアテックスのような衣類やレインコートなども、洗濯機で洗うことができますよ。撥水性を回復させる効果があるのが嬉しいですね。
キャンプで役立つおすすめの洗濯洗剤
汚すことの多い小さなお子様連れのファミリーキャンプや、連泊のキャンプなどではこまめに洗濯したいですよね。
以下に、キャンプで便利に使える携帯性に優れた洗濯用洗剤をご紹介します。
小分けされているミニ洗濯洗剤
洗濯用洗剤には、小分けされているミニパックタイプがあることをご存じですか?
小分けされていると液漏れの心配がありませんし、一回分ずつに分かれているのでいちいち計る必要がないので便利です。
とはいえ、小分けされている洗濯用洗剤がすべて環境にやさしい製品であるとは限りません。アウトドアでは洗濯用洗剤も食器洗い用洗剤と同様に、自然環境に負担の少ないものを選びましょう。
以下に、おすすめのエコな洗濯用洗剤をご紹介します。
敏感肌でも安心【無添加 お肌のための洗濯用液体せっけん】
無添加石鹸で知られるミヨシ石鹸が販売する、「お肌のための洗濯用液体せっけん」は、純石けんでできている洗濯用洗剤です。蛍光増白剤や漂白剤を使用していないので、赤ちゃんの肌着洗いなどにも適しています。ふんわり仕上がるので柔軟剤も不要です。肌の弱い方や、敏感肌の方でも安心して使えるのが嬉しいですね。衣類をきれいに洗ったあとの排水は、自然に分解されます。
一回分ずつに分かれている小分けタイプではありませんので、密封できるボトルなどに詰め替えて持って行くと良いでしょう。