燃焼系のランタンの中でも、明かりが灯るまでに手間がかかるのがガソリンランタンです。
その仕組みを理解し使いこなすことは、多くのキャンパーの憧れでもあります。
本記事ではコールマン製のガソリンランタンに注目し、灯火のカギとなるチェックバルブ周辺についても触れながら、その仕組みと魅力をお伝えしていきます。
チェックバルブとは?
チェックバルブとは「チャキバルブ」「逆止弁」とも呼ばれるパーツのことで、気体や液体の流れを一定方向に保ち、逆流を防止する機能を持つバルブのことを指します。
コールマン製のガソリンランタンにも組み込まれています。
その構造はシンプルで、バルブの中に金属の玉が入っており、この玉が上下に動くことで燃料タンク内の圧力漏れを防ぎます。
加圧する工程はポンピングと呼び、このポンピング作業で加圧されると玉はバルブの下部にある爪に引っ掛かり、爪の間から空気がタンク内へ送られます。
ポンピングを止めるとタンク内の空気圧によって押し出された玉が、バルブの上部にある空気の入り口をふさぐことで空気の逆流を防ぐ仕組みとなっています。
後の項目でも詳しくご説明しますが、このチェックバルブに不具合が起きるとタンク内の空気圧が上がらず燃焼がうまくいきません。
ガソリンランタンの取扱いにおいて重要な役割を担うのが、今回注目するチェックバルブなのです。
コールマン製ランタンの特徴と灯火手順
この記事で取り上げるコールマン製のガソリンランタンの灯火手順では、燃焼の送り出しをするためにポンピング作業が必須です。
前項でもご説明したチェックバルブの役割と仕組みを理解しつつ、ランタンの灯火手順についてご説明していきます。
【コールマン製ガソリンランタンの灯火手順】
①燃料を入れる
フューエルキャップを外して、タンク内にホワイトガソリンを入れます。
本体を少し傾け、燃料挿入口から中の液体が見える程度まで入れ、キャップをしっかりしめましょう。
②ポンピングする
ポンピングノブを反時計回りに2回転くらい回してから引くとパイプを引き出すことができます。
ノブに空いた穴は空気の出入り口なので、ポンピングするときには空気が漏れることが無いようにノブの穴をふさぎながら行います。
パイプをしっかり奥まで押し込んでから引き出すことを繰り返し、押し込めなくなったら加圧完了です。
パイプを戻しポンプノブを右へ回して固定します。
③マントルを空焼きする
繊維の状態のマントルを空焼きし炭化させて光源にします。
マントルを膨らませてノズルに取り付けて火をつけ、満遍なく燃やし切ります。
④点火する
ランタンのフレーム下から、チャッカマンなどでマントルに着火しながら火力調節ノブを回しゆっくりとバルブを開きます。
マントルに着火したら、ノブをLOWに調整してジェネレータが温まるまでしばらく待ちます。
大きく上がっていた炎が落ち着いたら、ノブをHIGHまで回します。
⑤追ポンピングする
灯火した火を安定させるために追ポンピングをします。
長時間付けていると燃料が減るとともにタンクの内圧が下がり、灯が不安定になるのでその都度ポンピングをしましょう。
最後に消化方法ですが、燃料ノズル内の詰まりを防止するために調整ノブをLOWとHIGHに何度か繰り返して回した後にOFFにします。
消灯してからもランタン自体は熱を持っていますので、完全に冷めてから収納します。
灯火のカギはポンピング!構造や仕組みを知ることで扱いやメンテナンスが楽になる
扱いが難しいガソリンランタンですが、その難しさを魅力に感じる愛用者も少なくありません。
自分の手で灯りを作るという感覚がたまらないという話をよく耳にします。
灯火手順の中でも述べましたが、コールマンのガソリンランタンでは、ポンピングの作業が重要です。
ここでは、ランタンの燃焼の仕組みについて触れておきます。
①ポンピングで燃料タンク内を加圧
②圧力がかかった燃料と空気が混ざりジェネレーター内に押し出される
③ジェネレーター内の燃料がバーナーやマントルの熱で気化する
④ジェネレーターから高圧で噴出される混合ガスが、バーナー部分で必要な空気を取り込みクリーンに燃焼
灯火前にしっかりとしたポンピングをすることでタンク内の圧力を上げ、安定した混合ガスを作ることがランタンの灯火のカギとなります。
このポンピングに関わるチェックバルブや、のちに紹介するポンプカップなどの部品に不具合が生じることがないよう、各部の役割をしり、メンテナンスを怠らないようにしましょう。
コールマン製ランタンの各部品とその仕組み
ポンピングによってスムーズな燃料の送り出しと燃焼を可能にするために、コールマンのガソリンランタンには様々な役割をもつ部品が組み込まれています。
メンテナンスしながら長く使っていくためにも、各部分の機能と仕組みをしっかりと理解しておきましょう。
ランタンの上部から順に記していきます。
【ランタン各部の機能】
●ポールナット
ベンチレーターを固定するナットです。
●ベンチレーター
ランタン上部の保護と内部の熱を逃がす排気の役割をします。
●マントル
空焼きすることで発光体となる、塩化ナトリウムをしみ込ませた化学繊維です。
●ジェネレーター
燃料タンクから噴出した液体状の燃料を気化させるパーツです。
●グローブ
ガラスなどでできた覆いで、マントルを風や衝撃から保護するものです。
●火力調整ノブ
火力を調整する、または消化するためのつまみのことです。
●ポンププランジャー
ポンピングをするためのパーツのことで、空気の逆流を防ぐチェックバルブやポンプカップなどの部品を含みます。
●フューエルキャップ
燃料の注ぎ口のキャップです。
ランタン使用後、タンク内の圧力を抜くのにも使います。
●燃料タンク
燃料であるホワイトガソリンを入れるタンクです。
仕組みを理解してコールマン製ランタンのチェックバルブ交換をする
空気の逆流を防ぐ仕組みを持つチェックバルブですが、劣化や故障が起きると燃料タンク内の空気圧が上がらずうまく機能しなくなってしまいます。
そのまま放っておくと他の個所にも影響が出てしまいますので、できるだけ早い段階での周知や交換をすることをおすすめします。
定期的なメンテナンスと部品の劣化の確認をし交換することで、ランタンを長く維持することにも繋がります。
【チェックバルブの交換手順】
●工具
・ラジオペンチ
・チェックバルブレンチ
・モンキーレンチ
①ポンププランジャーを外す
ラジオペンチでポンプノブ下の黒いキャップを挟み左に回します。
この部分は比較的簡単に取れます。
②チェックバルブレンチを使ってチェックバルブを外す
チェックバルブについたネジ穴に合わせて、チェックバルブレンチを回し入れ固定します。
しっかりレンチが固定されたら、モンキーレンチを使って反時計回りに回し、取り外します。
③新しいチェックバルブと交換
新しいチェックバルブと取り換えて、逆の手順でパーツをはめていきます。
④動作確認
全てのパーツをはめたらポンピングして動作を確認します。
コールマンのチェックバルブレンチは「USAタイプ」「カナダタイプ」の2通りあり、レンチ先のサイズが異なります。
手もちのランタンがどちらの型なのか事前に確認しておきましょう。
ポンピングできないときは…チェックバルブ周辺部品を確認
十分なケアをしていても、部品は劣化していきます。
コールマンのガソリンランタンは、ポンピングしてタンク内圧を上げることで燃料が送り出される仕組みですから、このポンピングに不具合が出ると正常に灯火することができません。
ポンピングの不良に関わる部品は先ほどご説明したチェックバルブのほか、ポンプカップの劣化も挙げられます。
チェックバルブに関しては、ポンププランジャーを外したときに一緒に取り外し、状態をよくみてみましょう。
下部の爪の奥に金属の玉が入っているのがわかります。
この玉が内部で固着していると、加圧が弱まったりされなかったりします。
固着している場合は、パーツクリーナーでクリーニングをして様子を見ましょう。
ポンプカップについても、分解してみた時に状態をみて、劣化が激しい場合には新しいものと交換します。
ポンプカップにはプッシュオンナットというパーツが一緒についていますので一度取り外し、必要があれば両方交換します。
チェックバルブとポンプカップのメンテナンスができたらパーツを組み直し、仕上げに取り付けたポンプカップに潤滑油(リュブリカントオイル)を指してから動作確認しましょう。
この2つの部品をメンテナンスすることで、ポンピングの不良はほとんど解決します。
ガソリンランタンは手間を惜しまず大切に使う道具
キャンプで癒しの夜を演出するランタンですが、特にホワイトガソリンを燃料にするコールマンのランタンは灯火にもメンテナンスにも手間がかかります。
しかし、しっかり手入れし、使い慣れていけば長く付き合っていけるツールでもあります。
そのためにも仕組みを理解し、正しく扱うことが大切です。