非常食は、災害時だけでなく、アウトドアなどでもとても役立つアイテムです。
家に置いてあるだけで、安心感がありますよね。
しかし、その非常食を食べて「食中毒になることがある」としたら、どうでしょうか。
今回は、実際に非常食のわかめごはんを食べて食中毒になった事件を例に挙げ、お話しをしていきます。
アウトドアには非常食が便利!その理由とは?
みなさんは、「非常食」を食べたことがありますか?
「非常食」と聞くと、「災害などの際に食料として備蓄しておくもの」というイメージが強く、実際には食べたことがないという方がほとんどではないでしょうか。
しかし、登山などをしている方は、馴染み深いものですよね。
というのも、登山は自分で荷物を背負って山を登っていきます。
そして、日帰りの場合もありますが、泊まり込みで行うことが多くあります。
そのような場合、少しでも荷物の重量を軽くすることが「登山達成のカギ」といっても過言ではありません。
飲料水などは、どうしても重量を軽くすることは出来ないので、食料を工夫することが大切になります。
しかし、果実だけ、主食だけといった偏ったものだけでは十分な栄養が取れず、エネルギー不足になってしまいます。
その点、非常食は一つのパックに熱湯を注ぐだけでソース付きのパスタが出来上がったり、味付けのされたご飯が出来上がったりと、軽量でありながら十分な栄養と満足感が得られます。
また、キャンプなどでも役に立つので、とても便利でしょう。
「非常食は長期間保管できることが当たり前だし、食中毒はない!」と思っている方も多いかもしれませんね。
しかし、過去に非常食の「わかめごはん」を食べて食中毒が起きたという報道がありました。
次からは、その報道の内容について詳しくお話しをしていきましょう。
非常食で食中毒?わかめごはんが原因?
2017年、都内のある高校で1泊2日の防災訓練を行いました。
その中で提供されたのが、非常食として販売されている、わかめごはんです。
「食後、100名以上が食中毒を起こした」といった報道がありました。
わかめごはんの他、乾パンやクラッカーなども提供されましたが、調査の結果、「わかめごはんが原因である可能性が高い」とのことでした。
提供されたわかめごはんのセットを検査したところ、ウエルシュ菌が検出され、食中毒を起こした1名の生徒の便からもウエルシュ菌が検出されたようです。
そこで、問題となってくるのが、わかめごはん自体が汚染されていたか、開封後に原因のウエルシュ菌が混入してしまったのかという点です。
今回の、防災訓練での調理から生徒の口に入るまでは、30分程度であったと言います。
ウエルシュ菌は、食中毒を起こすには相当な菌の量が必要です。
また、ウエルシュ菌が大量に繁殖する環境下にあっても、そのような環境が何時間も保たれない限り、食中毒を起こすほどの大量繁殖は考えられないとも言われています。
しかし、最終的な原因は、どのメディアでも報道されていないようです。
非常食のわかめごはんで食中毒?ウエルシュ菌とは?
過去に都内の高校で起きた、集団食中毒の原因は、非常食のわかめごはんの可能性が高いとされていました。
そのわかめごはんから検出されたウエルシュ菌とは、人々が生活しているさまざまな場所から検出される菌です。
家庭の場合、主に煮込み料理での大量繁殖が多いとされています。
というのも、ウエルシュ菌は空気を嫌う細菌であるという点が関係しているからです。
煮込み料理などの場合、鍋の底は酸素の濃度がとても低くなり、ウエルシュ菌が繁殖しやすい環境になります。
特に、カレーやシチューなど、粘度の高いものを大量に調理する際は注意が必要です。
また、熱に強いという特徴もあり、芽胞を形成したら100度で加熱されても6時間は耐えるので、通常の加熱では食中毒を防ぐことは出来ないでしょう。
このような芽胞を形成させないためには、調理の際には、鍋の底までしっかりとかき混ぜることが必要です。
また、一度に食べきれる量だけを作ることも心掛けましょう。
「どうしても食べきれない」、「作り置きをしておきたい」という場合は、出来るだけ早く粗熱を取り、冷蔵庫に入れておきましょう。
もちろん、常温での保存は厳禁です。
非常食のわかめごはんで食中毒?どんな症状が出る?
過去に非常食のわかめごはんから検出されたウエルシュ菌ですが、もし菌によって食中毒が引き起こされたらどのような症状が出るのでしょうか。
まず、食品を摂取してから6時間~18時間後に発症します。
主な症状は、腹痛・下痢のようです。
まれに、発熱や嘔吐もあり、回復は1日~2日ということがほとんどです。
「食中毒の中では比較的症状が軽い」とも言われています。
重症でなければ、治療をしないことがほとんどでしょう。
ですから、症状が出ていて医療機関まで行くことが難しいという場合は、自宅で様子を見てみるのでも構いません。
その際には、脱水症状を起こさないためにも、毒素を分解するためにも、しっかりと水分補給をすることが大切です。
しかし、子どもや高齢者が発症した場合、重症化する可能性も考えられます。
重症化すると、粘血性の下痢が出ることもあるので、そのような場合は、しっかりと医療機関を受診しましょう。
アウトドアでの食中毒に注意①
ここまでは、過去にあった非常食のわかめごはんでの食中毒を例に挙げ、お話をしてきました。
ここからは、アウトドアで食中毒を起こさないよう注意することについてお話しをします。
アウトドアの定番と言えば、「バーベキュー」ですよね。
夏に行う場合がほとんどでしょう。
しかし、夏こそ食中毒に注意が必要です。
楽しいアウトドアも、食中毒になってしまったら台無しです。
以下のことを注意しながら、楽しくバーベキューをしましょう。
●石鹸で手洗い
アウトドアでも石鹸での手洗いは必須です。
調理前だけでなく、お手洗い後や土を触った後など、しっかりと石鹸を使って20秒以上かけて隅々まで洗いましょう。
●食材は冷蔵保存
食材は、クーラーボックスに保冷材などを入れて一緒に保管をしましょう。
出来るだけ早く調理することも大切です。
●生ものはしっかりと加熱
バーベキューでは、肉や魚介類を焼くことが多いですよね。
このような食材には、有害な細菌が潜んでいることがあります。
しっかりと、加熱することが大切です。
アウトドアでの食中毒に注意②
●生ものと加熱後のトングは別に
これは、基本中の基本ですね。
生ものをしっかりと加熱していても、生ものを触ったトングで掴んでお皿に取り分けていては意味がありません。
色の違うトングを使うなどの工夫をするといいですね。
また、生ものを乗せるお皿などもしっかりと分別しておきましょう。
その他、生ものを触った手で、さまざまな場所を触るという行為も避けましょう。
生ものを触ったら、必ず手洗いをするということを心掛けましょう。
●調理したらすぐに食べる
「調理をしたら、食中毒にはならない」と考えている方もいるかもしれませんが、調理後ももちろん食中毒を引き起こす菌は繁殖します。
調理をしたら、すぐに食べましょう。
キャンプの場合は、お昼はバーベキューをして、夜は非常食といったプランもいいですね。
しかし、非常食でも、わかめごはんのように食中毒を起こさないとも言い切れません。
しっかりと、信用できるメーカーを選び、保存方法や調理法を守り、上手に取り入れましょう。
インドアもアウトドアも食中毒に注意!
食中毒となる菌は、さまざまなところに潜んでいます。
室外でも、室内でも、菌を混入させない、繁殖させない、このことをしっかりと心掛けましょう。
非常食を取り入れる場合は、保存法や調理法をしっかりと守ることが大切です。