アウトドアでお馴染みのダッチオーブン。
非常に使い勝手がよく、焼く・煮る・蒸すなど様々な調理方法が可能です。
特におすすめしたいのが、ダッチオーブンでの炊飯です。
家庭用の炊飯器で炊くより、格段に美味しくふっくらと炊けます。
しかし、アウトドアでよく利用する炭火でご飯を炊くのはかなり難しいものです。
芯が残っていたとか、焦がしてしまった、という話はよく耳にします。
今回はそんなダッチオーブンを使った炭火での炊飯方法をご紹介します。
ダッチオーブンとは
ダッチオーブンとは、厚手のフライパンのような鍋のことを指します。
近年では、アウトドアでお馴染みの調理器具となっており、屋外で大活躍しています。
その機能は多岐にわたり、煮る・焼く・蒸す、さらには炊飯など様々な調理方法が可能です。
また、鍋だけでなく蓋を利用してフライパン代わりに使用することもできます。
ダッチオーブンの歴史は古く、アメリカの西部開拓時代から使用されていたそうです。
その当時のアメリカでは、ガス台などは当然なく、火を使う際は暖炉やかまどを利用して調理されていました。
そこで炭火を使用していた暖炉に直接入れることのできる鋳鉄製のダッチオーブンが重宝され、アメリカ全土に広まりました。
また、ダッチオーブン(DUTCH OVEN)を直訳すると、オランダのオーブンということになります。
このことから、オランダ人がよく使っていた鍋などと想像する方もいるかもしれませんが、そういうわけではありません。
西部開拓時代のアメリカでオランダ人が行商をしながら販売していたため、その名前がつけられたそうです。
ちなみに、オーストラリアではキャンプオーブン、フランスではココットとダッチオーブンとは違う呼び名で呼ばれています。
ダッチオーブンの種類
ダッチオーブンは様々な種類が存在します。
底の深い大鍋タイプから、フライパンのように底の浅いタイプまで様々です。
時と場合に合わせて、上手に使い分けましょう。
まず1つ目にご紹介するのが、キャンプオーブンです。
野外活動で使用することを目的としており、焚き火にくべやすいよう三本の足を持っているのが特徴です
さらに、鍋の蓋も厚手に作られており、その上に炭火などの熱源を直接置くことができ、上下から一気に熱を加えれます。
次にご紹介するのが、キッチンオーブンです。
これは屋内で使用することを前提としており、底がコンロにかけやすいように平らに作られています。
ガス代の魚焼きグリルの中に入れて調理すれば、簡易のオーブンとして使用できる優れものです。
続いては、スキレットをご紹介します。
スキレットとは、底の浅いフライパン型のダッチオーブンのことを指します。
比較的小さく使い勝手がよく、鉄板料理などの使用に向いています。
最後に、ご紹介するのが、コンボクッカーです。
深鍋とスキレットを組み合わせたもので、スキレットが蓋の替わりとなるのが特徴です。
蓋をそのまま使用して鍋をオーブン代わりに使用することもでき、さらにそれぞれを独立させて鍋とスキレット、それぞれで調理することもできます。
以上、4つのタイプのダッチオーブンをご紹介しました。
どの鍋でも様々な調理が可能ですが、炊飯に向いているのは深めの鍋の方がいいかもしれません。
炭火の起こし方
屋外で調理をする際は、火が非常に重要です。
ダッチオーブンを使用する時だけでなく、バーベキューや飯盒炊飯などの調理の際も、安定したしっかりとした火を起こさないと、何も始まりません。
それでは、炭火の起こし方をご紹介します。
まずは、割りばし程度の細い木の枝を集めましょう。
しけっているものは火のつきが悪いので、乾燥していて、なるべく軽いものがおすすめです。
いくつか集まったら、それを格子になるように組んでいきます。
ぐちゃっと密着させるのでなく、空気が通りやすいように隙間を意識して組んでください。
組めたらその上に、炭を置きましょう。
炭を置く時も、格子に組むのは難しいのですが、なるべく隙間を開けて、空気の通り道を作るようにすることを意識してください。
炭を組めたら、火をつけましょう。
なるべく下の方から、着火剤や古新聞を使用して組み木に火をつけていきます。
うちわなどを使用して、風を送ってあげると火の勢いがまして、火のつきがよくなります。
最初の火が小さいうちに勢いよくうちわで扇いでしまうと、火自体が風で消えてしまう恐れがあるので、最初の内は優しく扇ぎましょう。
ある程度火がついたら、火が落ち着いてから調理を始めましょう。
火がついたばかりは、炭がよく爆ぜるので火傷の危険性があります。
さらに、火の勢い自体が強すぎると、食材が焦げやすいので注意が必要です。
基本的な炊飯方法
炭火の準備ができたら、次はいよいよ炊飯です。
ダッチオーブンを使用する前に、基本を抑えましょう。
炊飯の基本は、まずは計量をしっかりすることから始まります。
この部分をいい加減にしてしまうと、後からの調整が難しくなるのでしっかりと量りましょう。
お米はしっかりと擦切り、水は水平な場所に鍋を置いて量ってください。
お米1に対して水1.2の割合で計量してください。
きっちりと計量できたら、炊飯に移ります。
【炊飯方法】
1.最初は強火で火にかけてください。
2.ぐつぐつと水が沸騰する音が聞こえてきたら中火に移します。
3.吹きこぼれが見えてきて、それが少し落ち着きだしたら弱火に移動して、そこから10分ほど炊きます。
4.その後、10分経過したら火から離して、さらに10分蒸らしにかかります。
5.10分経過したらご飯の炊きあがりです。
手順を踏んでしっかりとしたつもりでも、うまくいかない場合が多々あります。
それが、アウトドアの醍醐味でもあるのですが、失敗した時の対処方法をいくつかご紹介します。
・炊きあがりが水っぽくべちゃべちゃしている場合は、極弱火で5分ほど火にかけて水分を飛ばして調整しましょう。
・焦げてしまった場合は、チャーハンや焼きおにぎりなどちょっとアレンジを加えましょう。
・真っ黒こげに焦げてしまった場合は、潔く諦めて、今回の失敗を次回に生かしましょう。
炭火を使ったダッチオーブンでの炊飯方法
それではいよいよ、ダッチオーブンを使った炊飯方法をご紹介します。
基本的には、飯盒や普通の鍋を使った場合と同じです。
まずは、しっかりと火を起こし、水とお米を丁寧に計量します。
そして、火にかけるのですが、そこはダッチオーブンの特性を生かし炭火の上に鍋を直に置きましょう。
鍋の蓋の上にも炭を置いて、上下から一気に熱を加えましょう。
吹きこぼれが見えてきたら、蓋の上の炭火を下ろして火力を中火程度に弱めてください。
蓋の上に直に炭を置いているため、吹きこぼれが炭にあたり爆ぜる場合があるので、吹きこぼれが見えたらすぐに、炭を下に下ろしてください。
吹きこぼれが収まったら弱火で10分、さらに経過したら蒸らしに10分で完成です。
ダッチオーブンの特性として、熱を逃がしにくい特徴があります。
調理の際、非常に重宝される機能ですが、炊飯の際は注意が必要です。
炊飯の際、それぞれのタイミングで火の加減を調整するのですが、飯盒などと同じように調理すると、火加減が弱まるスピードが遅く焦げてしまう可能性があります。
飯盒などを調理する際よりも、早めに火を弱めるように意識しましょう。
火を弱めるタイミングが来たら、間を置かず、すぐに弱めてください。
炊飯に向いている炭火の選び方
皆さん、炭って色々な種類があることをご存知でしょうか。
炭には色々な種類があり、アウトドアでの調理に向き不向きな炭があります。
よい炭を選ぶと、炭火を起こしやすく火加減も調整しやすいため、炊飯も非常に行いやすいです。
一般的に、ホームセンターなどで売られている炭はあまりおすすめできません。
ホームセンターで売られている炭は、マングローブ炭と呼ばれている炭で輸入木材を使用しています。
火つきはそれなりによく値段も安価なのですが、燃焼時間が短くよく爆ぜます。
ある程度安定した火力が必要な炊飯には、不向きだといえます。
備長炭などでお馴染みの、白炭という種類の炭が一番炊飯には向いています。
火のつきがそれほどよくないのですが、火力が長時間安定するのとあまり爆ぜない性質を持っており、炊飯だけでなくダッチオーブンなど様々なの調理にも向いています。
しかし、値段が高価なのが、難点の1つです。
味にこだわるのであれば、ぜひとも使用したい炭ですが、それほどこだわらない人にはちょっと手の出しにくい炭です。
そこでおすすめしたいのが、オガ炭です。
木材製材時に大量に発生するオガ屑を圧縮加熱成型することにより製造された「オガライト」を原料とした木炭です。
性質は白炭に似ていますが、原材料が安いため、値段も安価となっています。
ホームセンターで大体販売しているのですが、もし売られていなかったらネット通販を利用しましょう。
ダッチオーブンで炊飯する魅力
なぜわざわざ、屋外に出てダッチオーブンを使って、慣れない炭火を利用してご飯を炊かなければいけないのか。
それは、美味しいからに他なりません。
炊飯器にご飯をセットしてボタンを押すだけで、簡単にご飯を炊くことはできますが、ダッチオーブンなどで手間をかけて炊飯すると、その味と達成感に病みつきになります。
是非一度チャレンジして、本当に美味しいご飯を食べてみてください。