皆さんは日本のアウトドアブランドである「モンベル」のロゴマークをご存知でしょうか。
モンベルのロゴマークには、「菱形」のマークが入っています。
今回は、その「菱形」のマークに込められた思いを読み解きながら、日本のアウトドアブランド「モンベル」について詳しくご紹介していきます。
日本のアウトドアブランド「モンベル」の歴史をご紹介!
日本のアウトドアブランドである「モンベル」のロゴマークや菱形のマークの意味を知る前に、モンベルの歴史を確認していきましょう。
「モンベル」は1975年(昭和50年)、登山家の辰野勇氏によって大阪市で産声を上げました。
当時の日本は、高度経済成長期真っただ中で、現在のように「アウトドアを楽しもう!」という概念は浸透していませんでした。
また、アウトドア用品も現在のように高品質で機能性の高いものではなかったのです。
創業当時は、ウェアなどに使用される透湿防水素材はまだできておらず、アウトドア用品は単に軽いことがニーズの時代でした。
透湿防水素材とは、「内部の湿気は外に出し、外部の水や湿気は中には通さない」という特長があり、撥水性に優れ、湿気の多い時期でも快適な着心地を保てる素材のことです。
モンベル創業の翌年、登山家の植村直己氏が「グリーンランド~カナダ~アラスカ」を犬ぞりで単独踏破という偉業を成し遂げました。
それと同時期に「モンベル」はスリーピングバッグ(寝袋)やグローブ(手袋)などの製品開発を進めます。
まだ、日本に「アウトドアを楽しむ」という概念が浸透していない時代に、「モンベル」は熱心に製品開発に取り組んだことで、後に訪れる日本のアウトドアブームの先駆者として、創成期を歩み始めたのです。
モンベル創業者は「モンベル=美しい山」という理念を基に、自然を愛するブランドとして成長していきます。
菱形のマークにはこだわらない!?モンベルが大きく成長した理由
モンベルが企業として大きく成長した理由の一つに、創業者である辰野勇氏の持ち前の「性格」が挙げられます。
辰野勇氏は「失敗」という概念が無い人、と言われるほどポジティブな性格だそうです。
そんな性格が功を奏し、あらゆることに前向きに挑戦していき、運を味方につけ、事業拡大へと導いていきます。
具体的なエピソードをご紹介すると、辰野勇氏はモンベル創業当時、登山用品を販売することが目的でした。
しかし、モンベルが最初に作ったのは登山用品ではなく、大手スーパーマーケットのショッピングバッグでした。
初めて請け負った大きな仕事にも関わらず、そのショッピングバッグは飛ぶように売れました。
その結果、アウトドアのビジョンに向かって進むための資本を築くことができたのです。
それが契機となり、モンベル製登山用品第1号となる、スリーピングバッグ(寝袋)を手掛けます。
そこでも、強運を発揮し、辰野勇氏は「デュポン」という大企業とのご縁があったために、当時の人たちのニーズに合わせた寝袋を完成させることができたそうです。
その後も、海外進出をしたり、登山用品のみならず扱う製品の分野を広げたり、積極的に事業拡大に取り組んでいきます。
辰野勇氏の製品作りに対する確固たる自信と、人とのご縁がモンベルの成長に繋がったのです。
また、後の項でもご紹介しますが、モンベルのロゴマークは創業当時と現在のものでは違うデザインが採用されています。
現在のモンベル製品に見られる菱形のマークは創業当時は入っていませんでした。
このことから分かるように、変化を恐れず、前向きに突き進んでいく姿勢がロゴマークの変遷からも読み解くことができますね。
モンベルが製品作りで意識したこととは?
モンベルは創業当時から、海外とは違ったアウトドア用品を作ることを強く意識していました。
なぜなら、日本の気候や日本人の体型に合わせた製品作りをしていきたいという考えがあったためです。
特に、日本は湿度が高いため、スリーピングバッグやレインギア(雨天時のための道具)は「放湿性」が重要視され、国内ユースには製品選びのポイントでした。
1980年代になると、モンベルは透湿防水素材の開発を進めていきます。
モンベルはゴアテックスやエントラントなどの透湿防水素材のウェアを使って、耐久テストを長時間行いました。
その結果、モンベルは数種の商品に透湿防水素材を採用します。
また、これらの企業努力の賜物として、1982年に透湿防水素材を使用した「ストームクルーザー」を販売開始します。
「ストームクルーザー」は現在でもモンベルで人気の定番ウェアです。
また、アウトドアで用いる道具や衣服は、ユーザーの命を守る役割も担っています。
前述した通り、モンベルのウェアは日本人の体型に合わせて作られています。
そのため、他の海外ブランドのウェアよりも自分にフィットしたウェアを選ぶことができます。
サイズに合ったウェアを着なければ、体調管理もしづらくなりますし、思わぬ怪我に繋がる恐れもあります。
特に、気温や湿度は、人の体調管理においてとても身近で重要な要素です。
いくら高品質、高機能のウェアでも自分の体型に合ったウェアでなければ着ている意味がありません。
「ストームクルーザー」が選び続けられているのも、ユーザーが製品に満足していることはもちろん、モンベルを信頼している証でもありますね。
次項では、いよいよモンベルのロゴマークや菱形のマークについてご紹介していきます。
モンベルのロゴ―マークには菱形マークがあるものと無いものがある!
前の項でもお伝えしたように、創業当時のモンベルのロゴマークには、現在の菱形マークはありませんでした。
創業当時のモンベルのロゴマークは、アルファベットの「M」を冠したオレンジのマークの下に「mont・bell」と書かれたデザインをしています。
しかし、現在では、「mont・bell」と書かれているデザインと、ドットの部分に菱形のマークが入ったデザインの2種類存在しています。
菱形のマークが入ったデザインは、4つの菱形が合わさって1つの菱形になっているデザインです。
「mont・bell」のデザインは「モンベルロゴ」と呼ばれています。
菱形のマークが入ったデザインは「ダイヤモンドロゴ」と呼ばれています。
では、この2種類のロゴの違いは何なのでしょうか。
まず、「モンベルロゴ」はモンベルの基本的なロゴマークです。
公式サイトでも「モンベルロゴ」が使用されています。
一方、「ダイヤモンドロゴ」は主に冬用の商品や、特定の商品に使用されています。
最近ではモンベルが独自に開発したロードバイク「シャイデック」にもあしらわれています。
また、あえて菱形マークだけが目立つデザインの商品もあります。
このことから分かるように、「モンベルロゴ」「ダイヤモンドロゴ」に明確な違いはありません。
もちろん、どちらのロゴマークを選んでも、高品質の製品であることに変わりはありません。
他のアウトドアブランドとの差別化を計ったモンベル
モンベルのロゴマークにある菱形のマークについて知った後は、他のアウトドアブランドには無いモンベルの魅力をご紹介します。
モンベルの製品開発コンセプトは、「ファンクション・イズ・ビューティー」「ライト&ファスト」だと言います。
「ライト&ファスト」とは、軽くて速い、という意味です。
製品が軽ければ、それだけ早く移動することができるので、天候による被害や、思わぬ事故などを防ぐことができます。
「ファンクション・イズ・ビューティー」は、製品に無駄な装飾などを付けず、真の機能美を追求していこうというとする考え方です。
なんとモンベルは、そのようなコンセプトはそのまま、普段着としても着られる商品の開発、展開をしていきます。
普段着としても着ることができるうえに、機能性がある製品となれば、人気が出ないわけがありませんね。
そこで、重要になってくるのは、誰もが購入しやすい「価格設定」です。
つまり、コストパフォーマンスに優れている製品を生み出す必要があるわけです。
それは、他のアウトドアブランドでは実現できないことでした。
菱形マーク=モンベルがコストパフォーマンスに優れている理由とは!?
日本にアウトドアブームが起こる前からモンベルは商品価値を高めることに注力してきました。
それは、人気定番ウェアの「ストームクルーザー」に限らず、その他の多くのモンベル商品の寿命が非常に長いことからもわかります。
そんな、高品質、高寿命をもつモンベル製品ですが、他のアウトドアブランドと価格を比べても、2~3割ほど安く抑えられています。
実は、その背景には、「山男はお金が無い。良い商品をできるだけ安く提供するのがモンベルの基本理念。」という辰野勇氏の思いがあります。
それは、心から自然を愛し、心から人のことを慮られる人でないとそのような発想に至りませんね。
モンベルの製品がコストパフォーマンスに優れているのにはそのような理由があったのです。
また、多くの方がアウトドアに興味を持ち、フィールドに出かけるようになったのと同時に、モンベルは年間を通じて楽しめるアウトドアスポーツのイベントツアーを運営し、市場の裾野を広げる活動も進めています。
そのため、あらゆるニーズに対応できるよう、商品デザインも毎年のように進化させています。
コストパフォーマンスを最大化することはもちろん、ファッションに敏感な若者たちにも受け入れてもらえるようなデザインまでもモンベルは提供しています。
モンベルの菱形のマークには「製品作りに対する思い」と「企業のたゆまぬ進化」という決意が詰まっているんですね。
モンベル製品は高品質で高機能でもコストパフォーマンスも優れている!
今回は、日本のアウトドアブランド「モンベル」について詳しくご紹介しました。
また、モンベルの菱形のロゴマークには、モンベル創業者である辰野勇氏の自然や人に対する誠実な思いが込められていることが分かりました。
これから、「アウトドアを始めよう!」と思っている方は、コストパフォーマンスも機能性もデザインも洗練されているモンベルを身にまとってみてはいかがでしょうか。