アルコールバーナーは自作可能!身近なものを利用した自作

最終更新日:2019/01/15

今や、アウトドアの調理に欠かせない「ガスバーナー」ですが、「重くって荷物の邪魔になる」「壊れてしまってまた購入する羽目になってしまった」などの声もよく拝見します。

しかしながら、一人旅や登山などが流行っている今、持ち運びと燃焼効率の良い「自作アルコールバーナー」をご存じでしょうか?

今回は「アルコールバーナー」を自作するためのノウハウについて記事にしました。

「ガスバーナー」と「自作アルコールバーナー」の違いに付いて解説!

初めに、「自作アルコールバーナー」をより理解してもらえるように解説していきます。

「アルコールバーナー(ストーブ)」とは、携帯用コンロのことを言います。

素人にも作れるシンプルな構造なので、軍にも採用されています。

一般にも売られていますが、数千円する物が多いです。

そのため、「自作アルコールバーナー」は材料や工具が身近に手に入り、安値で簡単に作ることができるため、自作される方が大半のようです。

一般の「ガスバーナー」の重量は一番軽いもので85gありますが、アルミ缶で作られた「自作アルコールバーナー」は、約28gの質量で持ち運びに便利です。

調理に関して、「自作アルコールバーナー」は、「携帯式ガスコンロ」や「ガスバーナー」に比べ性能は劣りますが、最大燃焼時間は約30分あるため、お湯を沸かしたり、炊飯をするぐらいの火力は充分あります。

このことから、日帰りのアウトドア「デイキャンプ」や、「ハイキング」にはうってつけの携帯用コンロと言えるでしょう。

また、災害時に避難場所などで、カセットコンロはあってもガスボンベが無いときや、焚き木をしようにも雨などで落ち葉や枝が湿って火を起こせないときは、代わりに火を起こせるので非常に便利です。

しかし、長期にわたる旅行や、泊まりかけで登山をするなど、燃料補給の間隔が長い場合は、それだけ多くの燃料が必要となるので、これに付きましては「アルコールバーナー」は向いていません。

なるべく、それぞれの目的に合わせて、「自作アルコールバーナー」を使ってください。

「アルコールバーナー」の構造を理解して自作!

次に、「アルコールバーナー」を自作するにあたって知っておいて欲しいことが、その仕組みと構造についてです。

「自作アルコールバーナー」には、大きく分けて二種類の構造があります。

二重壁を用いた「非加圧式」の物と「単室の加圧式」に分けられます。

今回はタイトルにもあるように、簡単に作れる「非加圧式」の物をご説明します。

上部が開放され、横に無数の穴の空いたバーナーとなる「上筒」と、燃料のアルコールを入れておく「底筒」、上筒と底筒の間に、気化室となる二重壁である「内筒」の三つのパーツに分かれています。

これらを組み合わせてできています。

また、それぞれのパーツの役割と燃焼までの仕組みをご説明します。

まず、本体の底筒は、燃料となるアルコールを入れる容器になります。

着火し燃料が燃やされると、上筒から火が出て、内部に予熱が生み出されます。

そこからさらに、予熱で暖められた二重壁の内筒によって、アルコールを気化してガスにします

そしてガスは、上筒の横に空いた穴へ抜けます。

ガスは、上筒の開放された穴の火から引火し本燃焼となって、バーナー本体が熱せられ、燃料が尽きるまで燃え続けます。

これがうまくいかないと、アルコールが燃え残ることがあるので、「自作アルコールバーナー」を用いるときは注意してください。

燃料となるアルコールの種類!自作に必要な材料って?

ここでは、「自作アルコールバーナー」の燃料となるアルコールは何が適しているのか解説するのと同時に、自作するための材料と工具をご説明します。

「変性アルコール」……燃焼されると、すすが発生しないので比較的環境にやさしいですが、飲むと有毒なので注意が必要です。

「純粋なエタノール」……これは、通常酒税の対象になり高額なので、ストーブの燃料としては、ほとんど使用されません。

「イソプロパノール」……アルコールバーナーは動作しますが、すすだらけになるので、極力使用しないでください。

「ジエチレングリコール」……エネルギー量は多いのですが、点火しづらいことと経口摂取による中毒事例があるので、これは「自作アルコールバーナー」には向いていません。

このことから、燃料となるアルコールは比較的環境にもやさしい「変性アルコール」を使用します。

ですが、あやまって飲んでしまう恐れもあるので、小さなお子さんの手の届かない場所に置くなど考慮して、取り扱いには十分注意してください。

次に、「自作アルコールバーナー」を作るために必要な材料をご説明します。

・500mlのアルミ缶……1本(飲んだ後の缶で充分ですが、へこみや、傷のある物は使用しないでください)

・アルミテープ

・アルコール(ここでは変性アルコールを使います)

続いて、工具についてです。

・1cm四方のマス目付き用紙

・定規

・ピン、または画鋲(バーナーのガスが出る小さい穴を作るのに使います)

・缶切り

・ホッチキス

・ラジオペン

・カッターナイフ

・ハサミ

・油性ペン

・紙ヤスリ

・作業用手袋(作業中に手を切る恐れがありますので、必ず手袋をはめてから行ってください)

空き缶から「自作アルコールバーナー」に使う各パーツを切り分ける

それでは、ここからは自作アルコールバーナーの作り方についてご説明します。

まずはパーツ作りです。

上記にもありました三つの「上筒」「内筒」「底筒」のパーツに切り分けるために、油性ペンで定規を使いながら、空き缶へ寸法を取ります。

燃料容器となる底筒は、缶の下から高さ3cm、さらに、そこから高さ4cmの気化室を作る内筒と、残り上部がバーナーとなる上筒になります。

各パーツの寸法には、目印となるように軽く油性ペンで横線を引きます。

そして、3cm幅にしたマス目付き用紙を缶と平行にして、缶の側面へ合わせます。

それをガイドに使い、油性ペンで缶の横一周をマーキングしておくと、後で切りやすくなります。

続いて、切り分ける前に、バーナーとなる上筒の加工をします。

缶の側面上部をマス目付き用紙で、平行に包むようにあてます。

そして、片手で缶と用紙を固定しながら、もう一方の手でピンを持ち、缶に穴を開けていきます。

穴を開ける場所は、缶のふちから側面にかけて斜めになっている所を、ちょうど穴の下が側面になる位置に、ピンを押し込みながら開けます。

これを円周にそってマス目付き用紙を目安に、1cm間隔で穴を開けます。

このとき、缶がへこまないように注意してください。

続いて、缶の上面を缶切りで切り、上部を開放します。

ここまで終わりましたら、上記で寸法を取ったマーキングをカッターナイフで切り込みを入れ、そこからハサミで上筒、内筒、底筒の三つに切り分けます。

次に、内筒となる高さ4cmの缶を手に取り、どこからでも構いませんので、垂直に円柱を縦に切ります。

そして、切り終わった缶の切り口は鋭くなっているので、紙ヤスリで軽く削ります。

以上で、「自作アルコールバーナー」に使うパーツの切り分けは終わりです。

「自作アルコールバーナー」の組み立てから完成までの流れを解説!

それでは、引き続き各パーツの加工と組み立てから完成までの工程をご説明します。

初めに、気化室となる内筒の加工から行います。

内筒を手に取り、上筒の内側にある溝に収まるように、内筒を巻きながら入れます。

丸めた内筒が戻らないように取り出し、ホッチキスで止めて筒状にします。

続いて、内筒が底筒の溝にうまく収まるように、内筒の下部を加工します。

内筒の下部を縦に約5mm、へりに沿って約1cm間隔にハサミで切り、その部分をラジオペンで内側に少し曲げて対応をします。

次に、燃料容器となる底筒の加工を行います。

底筒が上筒の内側に入るように、底筒の切り口を、段を付けるようにラジオペンチで少し絞ります。

このとき、上筒と重ねるようにはめ込んだときに、アルコールが漏れないようにするため、下から1cmは曲げないようにしてください。

最後に組み立ての工程です。

底筒の切り口を上に向けて作業台に置きます。

内筒のラジオペンで曲げた部分を下にしながら底筒に入れます。

続いて、上筒を手に取り、缶切りで開けた穴を上にして、底筒が上筒の内側になるように、内筒と一緒にかぶせます。

上から手で押し込んでいきますが、このとき偏りがないように、垂直に押し込みます。

底筒にシワができると失敗になり、やり直すことになるのでお気をつけください。

このとき、押し込みすぎによる缶の曲がりに注意しながら、上筒が底筒の内底まで押し込まれるようにします。

部品を組み込んで問題無いようでしたら、上筒と下筒の境目をアルミテープで巻きます。

以上で、完成となります。

次に、「自作アルコールバーナー」の燃焼時間ですが、500mlの水を沸騰させるまでに使う燃料は、アルコール大さじ2杯(30ml)約5分ほどで沸騰します。

「アルコールバーナー」を自作した上で注意してほしいこと!

「自作アルコールバーナ―」は大変便利ですが、使用上の注意点と、誤って他の場所に引火してしまったときの対処法についてご説明します。

燃焼中、本体は高温となりますので、近くに燃えやすい物を置かないでください。

木製の板などの上に置いて燃焼すると、板が焦げ付きます。

また、「自作アルコールバーナー」を複数使用するときは、互いに距離を開けて使用するようにしましょう。

近すぎると、缶の耐熱温度を超え表面に焦げが付いたり、穴が空いてしまう恐れがあります。

万が一、燃焼中缶の底に穴が開いて引火したり、飛び散った燃料に引火した場合は、濡れたタオルで全体を覆いかぶせてください。

乾いたタオルで行うと、中にある酸素によって余計に火が大きくなります。

また、冒頭でも述べましたように、この「自作アルコールバーナー」は、一度着火すると燃料が消費されるまで燃え続けます。

明るい場所だと、炎が見えにくいときもあるので、消えているように見えてもすぐに動かすことは控えてください。

次に、「自作アルコールバーナー」と一緒に使って頂きたい五徳と、風防に付いて解説します。

まずは、水などを沸かすときに使う五徳についてです。

こちらは、鍋を安定させるだけでなく、鍋に効率良く熱が行き届く役割もあります。

続いて、風防についてです。

「自作アルコールバーナー」は風に弱いので、周りを燃えない素材で囲って風除けを作ってください。

上記に触れました五徳と風防について補足しますと、両方備わった焚火台が市販でも売られているので、そちらを参考にしてください。

これらも自作する方はいらっしゃいます。

また、自作アルコールバーナーは、自作のため危険性があるとも言われることもあります。

火器なので、危険性を考えるなら自作ではなく、販売している製品の購入をした方が安心ではあります。

自作した「アルコールバーナー」を使って、より楽しいアウトドアに!

ここまで、「アルコールバーナー」の仕組みと、自作の工程と、取り扱いの注意点などを上げてきました。

「自作アルコールバーナー」をどのような場面で使っていくかは、自由です。

自作アルコールバーナー」は、キャンプ場で料理と一緒に出したり、炎を照らして恋人と二人で夜空を眺めながら話をしたりなど、様々な場面で活躍します。

ぜひ、これからのアウトドアライフに役立ててください。

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