冬山での登山にはアイゼンが必須です。
アイゼンは様々なメーカーから発売されていますが、アイゼンメーカーの中でも有名なグリベル(Grivel)は、1818年創業の老舗です。
そんな老舗から発売されているアイゼンは、選び応えのあるたくさんの種類があり、それぞれ付け方や特徴があります。
グリベルのアイゼンについて、選び方から付け方まで徹底分析してみましょう。
グリベルとはどんなメーカー?グリベルの歴史と特徴
1818年創業のグリベルは、もともとは鍛冶屋として農業用具を生産していました。
のちに登山者の要望によりアイゼンを作りはじめ、今ではアイゼンのほか、ピッケル、ヘルメット、カラビナ、バックパックなどを製造するクライミングギアの一流メーカーです。
また、グリベルはモンブラン(4807m)の、イタリア側の登山基地があるクールマイユールを本拠地として、世界各国へ輸出もおこなっています。
200年もの歴史をもち、長い歴史の中では「ISO9001」や「ISO14001」を取得し、安定した品質と、環境リスクの低減を積極的に活動している企業です。
そんな会社が製造するアイゼンは世界でも信頼があり、日本国内でも多数流通しています。
何度も改良をかさね、今では10本爪、12本爪がメインのアイゼンですが、色々な付け方のタイプがあり、自分の靴に合ったアイゼンが探しやすいのが特徴です。
冬山に必要なアイゼンとは?種類と付け方、選び方
アイゼンとは、靴底に付けるスパイクのようなもので、雪や氷の上を歩くときの滑り止めになります。
アイゼンには主に以下の種類があります。
●爪の本数
・4本爪
・6本爪
・8本爪
・10本爪
・12本爪
・簡易式チェーンタイプ
●付け方の違い
・ワンタッチ式
・セミワンタッチ式
・ベルト式
グリベルのアイゼンは3つの付け方のタイプと、10本爪と12本爪が多くあります。
アイゼンは色々なメーカーから発売されていますが、どのアイゼンを買ってもよいわけではありません。
価格が高ければよいわけでもなく、履いている靴によっては装着できないものもあります。
装着できても形の合わないものを装着していれば、歩行中に外れてしまう危険性もあります。
購入するときは、実際に履く靴をもって、装着してみてから購入するようにしましょう。
また、アイゼンはスポーツショップでも買うことができますが、専門的な知識が必要ですので、種類も多く、専門知識をもったスタッフがいる登山用品専門店で購入することをお勧めします。
グリベルの「ワンタッチ式アイゼン」の付け方と特徴
グリベルのワンタッチ式アイゼンは、つま先とかかとの両方にコバがついている登山靴に装着できます。
まずは、アイゼンの真ん中にあるプレートの長さを調整します。
つま先のコバにアイゼンのワイヤーを合わせて、カカトのガードをはめますが、カカトに隙間ができると外れてしまいますので、真ん中のプレートでアイゼンの長さを調整します。
このとき、無理やり押し込まないとはまらないぐらいにきつく合わせて、かかとのプラスチックをコバにあてて、プラスチックを倒してガポっとはめ込みます。
ここで緩めにはめてしまうと、不安定で外れやすくなるので注意しましょう。
足が小さい人は、真ん中のプレートがはみ出てしまいますが、小さい靴用に調整する方法があります。
真ん中のプレートを一旦外し、裏返しにして、左右のプレートを交換して入れ替えます。
裏返すことでピンがある側が表面になりますので、ピンがひっかかり、プレートを短く調整することができます。
プレートを調整して、かかとのプラスチックをはめ込んだら、後ろのベルトをつま先にある穴にいれ、後ろへ回し、穴を通してしっかり締めます。
ベルトは長めにあまりますが、長く残っているほうが、小さな力でもしっかりとベルトを締めることができるため、あまったベルトは切らずに残しておきましょう。
当日、雪の上ではやりにくいので、前もって真ん中のプレートを調整しておき、当日ははめるだけにしておきます。
最初にプレートの長さが調節できれば、付け方も簡単で、グリベルのアイゼンの中では一番頑丈です。
グリベルの「セミワンタッチ式アイゼン」の付け方と特徴
グリベルのセミワンタッチ式アイゼンは、ワンタッチ式と付け方は似ていますが、つま先部分にコバがなくても装着できるのが特徴です。
つま先部分はワイヤーではなくプラスチックでできており、つま先をはめ込む形で装着します。
あとはワンタッチ式と同じように、後ろのベルトをつま先部分にあるプラスチックに通して後ろへ回し、穴へ通してしっかり締めます。
ワンタッチ式に比べると安定度はやや劣りますが、つま先にコバがなくても装着できるので、冬山専用の登山靴ではなくても装着できるメリットがあります。
ですが、アイゼンを装着するには靴の幅も関係してきますので、セミワンタッチ式を購入する場合も、実際に履く靴に合わせて購入するようにしましょう。
セミワンタッチ式も、前もって真ん中のプレートを調整しておき、当日ははめるだけにしておきましょう。
グリベルの「ベルト式アイゼン」の付け方と特徴
グリベルのベルト式アイゼンは、つま先やかかとにコバがなくても装着できます。
冬用の専用登山靴ではなくても装着できるので、一つ持っていると重宝します。
こちらも真ん中のプレートでアイゼンの長さが調節でき、ちょうどよい長さに調節できたら、つま先のプラスチック部分にベルトを通して後ろへ回し、しっかりと締めます。
ベルトだけでの固定となるため、ワンタッチ式やセミワンタッチ式に比べると安定度は劣りますが、しっかりと締め付けることができれば、雪山でも十分に使用できます。
冬山専用の登山靴は価格も高く、専用のアイゼンとセットで購入するには、ハードルが高くなります。
冬山初心者や始めたばかりの人には、ベルト式アイゼンは導入しやすくお勧めです。
ただし安定度は低いため、氷の壁を登るようなアイスクライミングには適していませんので、注意しましょう。
また、アイゼンのベルトは、かなりきつく締め上げることになります。
素材の柔らかい靴に装着すると、足まで締め付けられ、むくみや血行不良の原因となりますので、付け方には注意が必要です。
夏靴などへの長時間の装着は、なるべくしないようにしましょう。
アイゼンをうまく付けることができない!?付け方のコツ
アイゼンの付け方を間違っていると、すぐに外れてしまう、緩んでしまうことがあります。
この場合、アイゼンと靴に隙間ができていたり、ベルトの締め方が弱いことが多くの原因です。
ワンタッチ式やセミワンタッチ式の場合、かかとに隙間ができていないか確認してみましょう。
隙間がないことが確認できたら、今度はベルトの締め具合です。
つま先にベルトを通し、横にある金具にベルトを通し、つま先方向へ思いっきりひっぱります。
そして今度は、かかと部分へ思いっきりひっぱり、締め上げます。
このとき、ベルトが短いと強い力を必要としますので、できればベルトは切らずに、購入時のままの長い状態がベストです。
ベルトの遊びが長ければ長いほど、小さな力で締めることができます。
足に絡まってしまうと思い、短く切ってしまう人もいますが、冬山の場合、厚手の手袋をはめていることもあり、ベルトを手に巻いて締める場合もあります。
その場合、ベルトが長いほうが手に巻き付けやすく、よりしっかりと締め上げることができます。
グリベル以外のアイゼンも付け方は似ているので、うまく付けることができない場合は、上記の点を確認してみましょう。
アイゼンの付け方を練習してから冬山へGO!
アイゼンは慣れないと付けるのに一苦労します。
慣れない冬山で突然アイゼンを付けなければいけない状況になることもあります。
寒さの中、氷の上で慣れないアイゼンを付けるのはとても大変です。
アイゼンの付け方は前もって十分に練習してから、冬山へ挑みましょう!