寒い季節に、部屋全体を温めてくれるのが石油ストーブです。
キャンプでも暖をとるために、持ち運ぶ方もいるでしょう。
しかし、毎年誤った使い方によるストーブの事故が起きています。
ストーブによる死亡事故で、一番多いのが一酸化炭素中毒です。
この一酸化中毒には、臭いや色など分かりやすいサインがあるのでしょうか?
絶対に悲しい事故が起こらないように、原因と対策を知って頂けたらと思います。
石油ストーブの臭いと一酸化炭素の関係
まずは、石油ストーブ独特の臭いについてお話していきます。
石油ストーブの臭いの原因になっているのが、不完全燃焼によるものが多いようです。
不完全燃焼にも、いくつかの原因があります。
1つは、誤った使い方によるものです。
燃費を抑えるために石油ストーブの芯を下げ過ぎると、不完全燃焼の原因になります。
また、逆に寒いからといって、芯を上げ過ぎても不完全燃焼の原因になります。
石油ストーブの燃焼は、燃焼筒から炎が出ない程度で全体が赤くなるように調整するのが、最適燃焼です。
最適燃焼にさせないと、臭いの原因になり一酸化炭素が増え、頭痛や気分が悪くなったりします。
もう1つの原因として、灯油や芯の劣化によるものがあります。
季節の終わりに、灯油が残ったままにしまうと、灯油が変質し劣化します。
劣化した灯油を使うと、不完全燃焼を起こしたり、石油ストーブの故障の原因にもなります。
石油ストーブをしまう際には、灯油を全部使い切るか、抜くかしてください。
古い灯油を廃棄する場合は、ガソリンスタンドや灯油販売業者に依頼すると引き取ってくれます。
さらに、石油ストーブの芯が汚れている場合も不完全燃焼を起こします。
芯が汚れている場合、芯の空焚きをすることで対処できます。
芯の空焚きは、石油ストーブのタンクを空にして、芯に火を着けて自然に消えるまで燃焼させてください。
また、臭いも出ますので芯の空焚きは、外ですることをおすすめします。
手やものに付いた灯油の臭いを消す方法
石油ストーブの燃料になる灯油は、軍手をしていても、手から灯油の臭いがしたり、衣服に少しでも付くだけでもすごく臭うものです。
そんな時は、簡単に臭いを消す方法があります。
手に付いた臭いは、少量のサラダ油を手にすりこみハンドソープか食器洗剤で洗うだけで臭いが消えます。
衣服に灯油が付いた場合、すぐに衣服を干して灯油を乾かしてください。
灯油は、揮発性が高いので蒸発しやすく、灯油が蒸発すれば臭いも消えやすくなります。
もし、臭いが残っているときは、灯油が付いた部分にサラダ油を塗り洗剤で洗ってください。
また、洗濯は、臭いが移ることがあるので、他の洗濯ものと一緒に洗わないでください。
カーペットにこぼした場合、新聞紙で素早く拭き取って乾かしてください。
乾いても、臭いが残っているときは、重曹をお湯に溶かし、それを霧吹きで吹き付け、乾いたぞうきんで拭き取ると臭いが取れます。
もし、こぼした量が多い場合、ベランダで日干しすることで臭いが取れます。
それでも臭いが取れない場合は、クリーニング屋さんに出しましょう。
石油ストーブで、洗濯ものを乾かす場合、火力を上げ過ぎると、不完全燃焼を起こし、洗濯ものに臭いが付きます。
また、一酸化炭素も出るので、十分な換気をしてください。
一酸化炭素には、臭いがない?
ものが燃える時には、必ず一酸化炭素が発生します。
特に酸素が足りない状況で、ものを燃やすと多く出てしまいます。
また、一酸化炭素は色も臭いもないため、発生しても気付かないことがあります。
臭いがないからといって、換気をせずに石油ストーブを使っていると、燃焼に必要な酸素が不足し不完全燃焼を起こします。
この場合、毒性の高い一酸化炭素が溜まり、死に至ることもあります。
たとえば、6畳の部屋と同じ体積で、換気をしない状況で使用した場合、3時間で頭痛、目まい、吐き気などの症状を起こします。
それからさらに3時間で、死に至るレベルに達します。
気密性の高い部屋であれば、1時間に1回は窓を開け空気を入れ替えるようにしてください。
また、寝るときや出かけるときは必ず消火してください。
石油ファンヒーターなど電気を使うタイプには、3時間以内に自動的に消火する、消し忘れ消火装置が付いています。
ですが、これは万一が起こらないためのもので、換気をしなくていいわけではありません。
車から出る一酸化炭素に注意する
最近、気ままな旅を楽しめる車中泊がブームになっています。
泊まる場所は、高速のパーキングや道の駅、オートキャンプ場など色々です。
くわえて、近くに宿泊施設があまりないような自然豊かな場所で、泊まることもできます。
ただし、どこにでも泊まってよいわけではありません。
車を止めても迷惑がかからない場所に車を止め、マナーを守って利用しましょう。
車中泊で最も気を付けることが、冬の車中泊です。
大雪による立ち往生で、エンジンのかかった車が雪に埋もれ、死亡する事故が発生しています。
これは、一酸化炭素中毒による死亡事故だと思われます。
先ほどもお話したように、一酸化炭素は色も臭いもありません。
車が雪に埋もれた状態で、長時間アイドリングをすると車内に一酸化炭素が流れ込みます。
たとえば、雪に埋もれた車が、マフラー周辺の雪を除雪しない場合、一酸化炭素濃度は、わずか20分で危険レベルに達し、3時間ほどで死に至ります。
マフラー周辺の雪を除雪した場合、一酸化炭素濃度はほとんど上がりません。
そのため、雪が降っているときの車中泊は、なるべくエンジンはかけないでください。
どうしてもエンジンをかけたい場合は、マフラー周辺の雪を除雪し、窓を少し開けてください。
また、車内でストーブやガスコンロを使用するのは危険ですので、避けた方がいいでしょう。
キャンプで使うストーブの選び方
キャンプで使えるストーブには、石油ストーブの他にも薪ストーブ、ガスストーブなどがあります。
それぞれの特徴には、短所と長所があります。
ここではストーブの特徴をまとめてみました。
ご自分に合うストーブ選びの、参考にしてみてください。
●石油ストーブ
メリット:
・火力が強く広い範囲を温める
・ストーブの上に鍋やケルトを置くこともできる
・簡単な調理が可能
・ランタンの代わりになる
デメリット:
・サイズが大きく重いので持ち運びが不便
・灯油の補給に手間がかかる
・灯油の臭いが気になる
●薪ストーブ
メリット:
・ストーブの中では一番に火力が強く幅広い範囲を温める
・ストーブの上で調理ができる
・薪の燃える音で癒される
デメリット:
・着火が難しい
・薪を運ぶ手間がかかる
・薪の臭いが衣服に移る
●ガスストーブ
メリット:
・軽量でコンパクトなので持ち運びが便利
・着火が簡単
・燃料自体がコンパクトでかさばらない
・ほとんど臭いがない
デメリット:
・ストーブの中では一番火力が弱い
参考になりましたでしょうか。
寒い冬、キャンプに必要なストーブですが、使うときは一酸化炭素中毒に十分注意し、換気だけは十分に行ってください。
ストーブ以外にも一酸化炭素に注意するもの
石油ストーブや、ファンヒーター以外にも一酸化炭素に注意しなければいけないものがあります。
一酸化炭素が出るもので、一番有名なのが練炭と炭です。
練炭や炭は、長時間高火力で燃焼するので、気密性の高い場所や狭い場所での使用は避けるか十分に換気するように注意してください。
また、意外に危険なのが、携帯用のガスコンロやガスバーナー、ランタンなどです。
テント内で使う場合、一酸化炭素中毒や、火災につながる恐れがあります。
狭いテントでは、一酸化炭素が短時間で危険な濃度に達し、場合によっては死に至ることもあります。
また、テント内で火を使用する場合は、空気が通る開口を確保し、まめに換気をしてください。
ものが燃えると必ず一酸化炭素が発生し、特に酸素が足りない状況だと不完全燃焼になります。
そこで、一酸化炭素中毒から身を守るために使ってほしいのが、一酸化炭素警報機です。
これは、一酸化炭素を感知し知らせるものです。
キャンプや雪中の車中泊に、アウトドア用にサイズの小さいものが販売されています。
何度も言いますが、一酸化炭素は臭いもなければ、色も無色です。
中毒にならないためにも、冬のキャンプには、警報機も用意しておきましょう。
寒い冬を暖かく安全に過ごすために
一酸化炭素は、薪、炭、練炭、灯油などを燃焼するものであればすべて発生します。
一酸化炭素は、無色、無臭、無刺激の猛毒の気体です。
一酸化炭素中毒の初期症状は、頭痛やめまいといった風邪の初期症状に似ているため、自覚症状が分かりにくく、人の判断を鈍らせます。
安全に使用するためには、十分な換気が重要です。
また、寝るときや出かけるときには必ず消火するようにしましょう。
さらに、家で使う暖房器具や狭いテントで使う器具の使用には十分注意して、寒い冬をお過ごしください。