キャンプにあると嬉しい、ダッチオーブン!
しかし、ダッチオーブンのお手入れの1つでもある、シーズニングを正しく行わないと、うまくその機能を使いこなせません。
シーズニングとは、鋳鉄製の鍋などについた工業用の油を焼き切り、さらに加熱し再び油をなじませることで黒錆をつけ赤錆がつきにくくする作業のことです。
そもそも、シーズニングは家庭でもできるのか、炭火などで行うべきなのか、わからない方もいるでしょう。
そこでここでは、ダッチオーブンの正しいシーズニング方法を、ご紹介していきます。
キャンプに最適!ダッチオーブンの魅力とは?
まずはじめに、ダッチオーブンがなぜ、キャンプに最適なのかお話します。
ダッチオーブンは、一般的に鋳鉄製のものが主流で、その使い方は、「煮る」「焼く」「蒸す」など、多岐にわたります。
キャンプなどで使用する際は、ふたの上に炭を置くことにより、オーブンと同様、上下から同時に加熱することができるのです。
さらに、鍋に厚みがあり、蓄熱性も高いため、温度の変化が少なく、鍋全体が均一の温度で保てます。
そのため、鍋の中の食材にゆっくりじっくり火が通っていき、素材にしっかり味を閉じ込めることが可能なのです。
これにより、水分も逃げないので、素材の味をそのまま味わうことができるのです。
また、重量のあるふたをすることにより、密閉状態になると、内部の気圧が高くなり、硬い素材も柔らかくなります。
そのふたの上に炭を置くことで、上下からの炭火を利用して、ローストチキン、ローストビーフなども調理することが可能です。
炭火で調理することこそ、キャンプでの醍醐味の1つでもありますので、ダッチオーブンがキャンパー達から人気になったわけです。
しかし、そのダッチオーブンを使いこなすには、シーズニングなどのお手入れが、必要不可欠ですので、次からお話していきますね。
シーズニングに失敗するとどうなる?
ダッチオーブンを炭火を使って調理するためには、シーズニングが必要不可欠とお話しました。
ここでは、「シーズニングを正しく行わなかったり、失敗してしまうとどうなるのか」についてお話します。
シーズニングがうまくできていないと、調理もうまくできません。
シーズニングができていない状態のダッチオーブンで、調理を進めてしまうと、でき上がった料理は鉄のような臭いがするのです。
また、色味があまりないはずの汁物を作った際は、真っ黒の汁物ができ上がることもあります。
その原因は、シーズニング不足によって発生する、赤サビです。
赤サビがある状態のダッチオーブンで調理したことにより、鉄臭く、真っ黒の料理ができ上がってしまうのです。
そうならないためにも、シーズニングはきちんと行わなくてはいけません。
炭火の方が良い?ダッチオーブンのシーズニング
それでは、ここからは、ダッチオーブンのシーズニングのやり方をご説明していきます。
はじめに、シーズニングを行う場所についてお話します。
ご家庭のキッチンでも、シーズニングができますが、ガスコンロのメーカーによっては、基準の温度に達すると、自動で弱火になるものもあります。
シーズニングは、ダッチオーブンをどんどん熱していくので、250℃以上になってしまうことが多く、家庭用キッチンでは温度が保てないことがあるかもしれません。
また、250℃以上もの高い温度になると、ダッチオーブンから発せられる熱波も、相当なものでしょう。
その熱波により、ガス台や壁にも悪影響を及ぼしかねません。
ですから、ダッチオーブンのシーズニングは、炭火や薪を使って屋外で行うことをおすすめします。
キャンプでダッチオーブンを使用した際は、ぜひシーズニングまで行ってくださいね。
炭火を使って!正しいシーズニングを行おう!
それでは、シーズニングのやり方をご説明していきますね。
【STEP1】工業用の油を洗い落とす
購入直後のダッチオーブンには、工業用の油が付いているので、これを落とさなくてはなりません。
ダッチオーブンの中に、たっぷりと水を張り、沸騰させます。
その後、自然に冷ましていき、触れるくらいになったら、たわしで油をやさしくこすり落とします。
これをきちんと行わないと、この後の作業も失敗してしまうので、丁寧に行ってくださいね。
また、くっついていた油が垂れてくることもありますので、炭火の台などには、前もってアルミホイルなどを敷いておいた方が良いですよ。
【STEP2】熱して冷ましオイルをぬる
お湯を捨てて、ガンガンに焚き付けます。
この時、鍋の向きを変えたりして全体に熱が回るようにし、また、ふたも一緒に熱しましょう。
白い煙がでなくなったら、自然に冷まします。
ある程度冷めて乾いたら、キッチンペーパーや柔らかい布などで、ダッチオーブンの内側・外側・ふたに、オリーブオイルを薄くぬっていきます。
素手で行うと熱い場合もありますので、軍手を用意しておくと良いですよ。
【STEP3】オイルをぬったら再加熱
まんべんなくオイルをぬったら、再び加熱します。
※【STEP2】~【STEP3】の工程を、4~6回繰り返し行います。
【STEP4】野菜くずを炒める
ニンニクやタマネギなどの野菜くずを使って、油なしで炒めます。
これをすることで、ダッチオーブンの鉄臭さが消えていくのです。
【STEP5】再度オイルをぬる
ダッチオーブンが完全に冷めたら、野菜くずを取り除きます。
そして、またオリーブオイルを全体に染み込ませるように、ぬっていきます。
これで、シーズニング完了です。
忘れずに!シーズニングの注意点!
先ほど、ダッチオーブンの正しいシーズニング方法について、お話しました。
ここでは、シーズニングを行う際の注意点を、ご説明していきます。
まず1つ目は、「金属たわしは使用しないこと」です。
購入後の油を落とす際や、ダッチオーブン使用後に洗う際などに、たわしを使ってこすり洗いします。
しかし、「たわしなら何でもOK」ということはなく、金属製のたわしは使用しないでください。
金属製のたわしでこすると、ダッチオーブンが傷ついてしまいます。
ですから、亀の子たわしなどを使うようにしてください。
2つ目は、「洗浄は基本はお湯だけ使うこと」です。
基本は、お湯とたわしを使えば、洗浄可能です。
あまり落ちていない場合は、中性洗剤を使っても問題ありません。
しかし、クレンザーなどを使って洗うことは避けましょう。
3つ目は、「炭火に使う炭は少し多めに用意すること」です。
先ほどご説明した工程のとおり、シーズニングは、短い時間で終わるものではありません。
また、天候によっても、乾かすなどの時間のかかり方も変わってくるでしょう。
BBQでも炭火を使うでしょうから、BBQ用とシーズニング用の炭、さらにプラスで、万が一の時用の炭を用意することをオススメします。
4つ目は、「シーズニングを行うダッチオーブンは鋳鉄製のものだけ」という点です。
ダッチオーブンには、ステンレス製のものや、アルミ製のものもあります。
ご自分が持っているダッチオーブンが、これらの場合は、シーズニングは行わなくてもOKです。
また、鋳鉄製のものでも、シーズニング済みのダッチオーブンもありますので、その場合は購入直後のシーズニングは行わなくて平気です。
以上の4つの注意点をよく確認し、シーズニングが必要な場合は行うようにしましょう。
ダッチオーブンの醍醐味!炭火を使って調理しよう!
それでは最後に、ダッチオーブンの醍醐味の1つでもある、炭火を使ったレシピをご紹介します。
キャンプに行った際に、ぜひ作って食べていただきたいものが、【スタッフドチキン】です。
難しそうに思えますが、下準備ができたら焼くだけなので、意外と簡単にできますよ。
■材料
・丸どり:2kg程度
・塩:15〜20g
・胡椒:適量
・ニンニク:適量
・お好みのハーブ(ローズマリー、バジルなど)
・お好みの野菜(タマネギ、ジャガイモ、ニンジンなど)
・お好みの詰めもの(ジャガイモ、ビーフン、炒飯など)
■作り方
【1】丸どりを流水で洗い、ペーパーで水気をふき取り、表面やお腹の中に塩をすり込みます。
※できれば、キャンプに行く前日に行っておきましょう。
【2】お腹の中に、一口大に切った野菜と、ジャガイモや炒飯などお好みのものを詰めます。
【3】中身がこぼれ出ないよう、たこ糸でお腹を閉じます。
※たこ糸がなければ、竹串や爪楊枝を刺しておくだけでも可能です。
【4】仕上がりがキレイになるよう、たこ糸や麻ひもで脚の部分を結び、成形します。
※味には影響しませんので、省略しても問題ありません。
【5】丸どりの表面にオリーブオイルをぬり、ダッチオーブンに入れます。
※丸どりを入れる前に、網を敷いておくと、底面が焦げてしまうのを防げますよ。
【6】皮付きの野菜も入れたらふたをして、ふたの上にも炭を置き、上下からの炭火で1時間ほど焼きます。
焼け具合は、竹串を刺して確認しましょう。
透きとおった汁が出てきて、かつ刺した竹串を肌に当てて温かければ、火がとおったという目安です。
レモン汁などをかければ、ペロリと完食できてしまいますよ。
キャンプで行った際は、ぜひご家族や仲間たちと一緒に召し上がってみてください。
そして片付けの際には、シーズニングも忘れずに行ってくださいね。
美味しい料理を作るためにシーズニングは欠かさずに!
キャンプに行く際は、ダッチオーブン1つあれば、「焼く」「炒める」「煮る」「揚げる」「燻す」といった、5種類もの調理法ができるのです。
さらに、鋳鉄製のものであれば、炭火での調理も可能で、素材の美味しさをより味わえます。
美味しいご飯を、キャンプでも味わうためにも、シーズニングは欠かさず念入りに行いましょうね!