ウォータースポーツとして親しまれているカヤックですが、残念なことに、カヤックを愛する人たちの間で聖地と呼ばれる小歩危で、カヤックの事故が起きてしまいました。
あらためてカヤックの注意点を見つめなおしましょう。
小歩危はカヤックの魅力にとりつかれた人たちが、いつかは挑戦したい憧れの瀬です。
しかし、一歩間違えれば命を失うこともあるほど、難しく厳しいコースです。
事故を起こさないためにも、小歩危での事故を教訓として、安全にカヤックを楽しむための心得としてご一読ください。
カヤックの魅力に潜む危険
川遊びといえばラフティングがずいぶんと有名になり、気軽にカヤックを楽しむ人たちが増えてきました。
水しぶきを浴びながら急流を滑り落ちる、スリルとエキサイトに満ち溢れたラフティングは、多くの人を虜にしています。
一度経験すると、更なる刺激を求めてスリルの高いフィールドを求めたくなるでしょう。
また、カヤックというのは、もともとの語源はカヌーから派生しており、今はフィールドに合わせて、さまざまな種類のモデルがあります。
釣りで使うフィッシングカヤックから、波や流れのない湖で楽しむファンカヤック、川の急流を楽しむものはリバーカヤックと呼ばれますが、川遊びとして観光地ではラフティングと呼ばれるのが一般的です。
どのフィールドでも、普段では味わえることのない景色や体験をすることができますが、注意しなければならない点があります。
それは、カヤックは転覆するものであるということです。
カヤックは、水難事故が多く発生しているという面もあるのです。
そのような事故を起こさないためにも、小歩危で起きた事故について知っておきましょう。
カヤックの人気観光地!吉野川・小歩危とは
小歩危(こぼけ)は、吉野川中流に位置する渓谷です。
数キロメートル上流には、大歩危(おおぼけ)という渓谷があり、「大歩危小歩危」の名称で国の名勝に指定されています。
特に小歩危峡は、世界的にも有名なラフティングフィールドとして、多くのパドラーが訪れる絶好のコースになっており、日本一の激流ともいわれています。
大きな落差、水の透明度、ダイナミックな景色を楽しめる大歩危小歩危のコースは、経験豊富なガイドやスタッフによるツアーも盛んに行われています。
水量の豊富さも人気の理由の一つで、特に春から秋にかけては、吉野川上流にある西日本最大の早明裏ダムから下流の水田への放水により激流になるので、小歩危峡のある吉野川でのラフティングやカヤックは大勢の人で賑わう観光スポットです。
では、この魅力溢れるカヤックの聖地・小歩危でどのような事故が起きてしまったのでしょうか。
小歩危でのカヤックの事故
2015年に5月、12月と度重なり小歩危での死亡事故が起きてしまいました。
カヌー・カヤックでは初めての死亡事故として、カヤックを楽しむ人達に大きなショックを与えました。
亡くなった方はカヤックの経験者で、装備やボートも揃っていました。
経験者によると、12月の事故に関して、スプレースカートが外れていなかったことから、脱出を試みる時点で意識を失っていたか、体力を奪われていた可能性があるということでした。
スプレースカートは、カヤックの中に水が浸入するのを防ぐものですが、転覆した際にはそれを外さないとカヤックから脱出できないという恐れがあります。
小歩危をよく知り、装備の取り扱いにも慣れている熟練者が亡くなるというのは、小歩危がいかに厳しく予期できない事態が起こるかを物語っています。
そして、これは小歩危に限った話ではないでしょう。
どのような川であっても、思わぬ事態に陥る可能性はゼロとはいえません。
ウォータースポーツは楽しむものですが、このことはしっかりと頭に入れておきましょう。
カヤックの事故を起こさないための装備・点検とは?
カヤックの事故を起こさないためには、初心を忘れず、装備の点検・メンテナンスをしっかりと行いましょう。
・ライフジャケット
きちんと身体に合っているものを着用しましょう。
また、十分な浮力を発揮するカヌー専用のものにしましょう。
・ヘルメット
転覆した時などにしっかりと頭を守ってくれるので、必ず装着しましょう。
・船体やパドルなど
摩耗や故障、亀裂などがないか確認しましょう。
また、スプレースカートの着脱用の紐が劣化していないことなども確認しましょう。
装着の際は、必ず紐を外に出して、いざという時にすぐ外せるようにしておきましょう。
小歩危での事故も踏まえて、以上の点をしっかりと確認し、思わぬ事故に遭わないよう十分に注意してください。
ウォータースポーツ愛好家が注意しなければならないこと
カヤックを含めて、ウォータースポーツで特に気をつけなければならないのが、低体温症です。
低体温症は、何らかの理由により正常な体温を維持することができなくなり、体温が低くなることによって起こります。
これは、濡れた衣服を着用しているだけでも引き起こされることがあり、体温が奪われて意識が朦朧とするなど、身体機能にさまざまな支障をきたし、場合によっては死に至ることもあります。
気温が低い冬だけでなく、夏でも起こるケースがありますので気をつけましょう。
また、増水や悪天候の時は中止しましょう。
小歩危に限らず、水かさが増している時は難易度も上がり、何が起きるかわかりません。
例えば、増水している時は岩が動く恐れがあります。
その岩にぶつかり、命は落とさなくとも脳挫傷を負ったり、怪我をして救急搬送された人も少なくありません。
水難事故は、ウォータースポーツが楽しまれている近年は増加傾向にあり、警察庁でも安全を呼び掛けています。
ウォータースポーツは安全第一ということを優先して楽しみましょう。
小歩危の事故から学ぶこととは
小歩危でのリバーダウンは、十分に注意して挑む必要があることがわかりました。
まずは、単独で行くのはやめましょう。
必ず指導者や上級者と行動を共にしましょう。
もしもの時、自分一人だけでは対処が困難なこともあります。
また、船体からスムーズに脱出する訓練などを日頃からしておくことも大切です。
いざという時は、どんなに切羽詰まった状況でも落ち着いて行動する冷静さが求められます。
予めさまざまな想定で訓練しておけば、適切な対応に繋がります。
そして、自分の技術や能力の限界を知ったうえでコースを選ぶことが望ましいです。
小歩危に限らず、どこの川でも同じですが、下りながらの転覆は事故に繋がりやすいため、無謀な挑戦はやめましょう。
また、日本ではラフティング協会が認めた日本リバーガイド協会公認の試験を通過したガイドたちが、安全を第一に多くのツアーを企画しています。
カヤックは、大自然を楽しみながら、通常では目にすることのできない秘境を訪れることもできる楽しいウォータースポーツです。
この協会が運営しているツアーは、日本全国さまざまな川で催されているので、こういったのを利用するのも安全にカヤックを楽しむ方法です。
カヤックを安全に楽んで日本の川を満喫しよう
小歩危でのカヤックによる事故を取り上げ、改めて自分の身を守る方法をお伝えしてきました。
水源豊かな日本には、小歩危の他にも、カヤックを楽しめる美しいスポットが各地にあります。
しかし、自然が相手である以上、どこであろうと事故をゼロにすることは難しいのかもしれません。
それでも、誰も望んで事故になど遭いません。
自分にできることはしっかりとした上で、その土地の地形について詳しい指導者などのもとで、安全に楽しいカヤックライフを満喫してください。