標高が2,000m級から3,000m級の山を登山する際には、数泊ほどのテント泊をすることもあるでしょう。
山中でテント泊をする際に必要な装備はテント、シュラフなど様々なものがあります。
また、装備方法によって効果的かつ便利に使用することができる道具もあります。
今回は、登山におけるテント泊で効果的に使用できる道具や、便利に使用できる道具の装備方法についてご紹介いたします。
登山におけるテント泊の基本的な装備!山岳テント
まずは、山中で宿泊する際に必要不可欠な装備である山岳テントをご紹介いたします。
山岳テントは登山中のテント泊には欠かせません。
一般的にキャンプの際に使用するテントと比べて小さく、軽量なので持ち運びに便利です。
大きく分けてダブルウォールテントとシングルウォールテントの2種類があります。
ダブルウォールテントとはテント本体にフライシートをかぶせたテントです。
フライシートに防水性・防風性があり、テント本体にはその機能が備えられていません。
シングルウォールテントとはフライシートがなく、テント本体に防水性と防風性を持たせたテントです。
透湿性を備えた生地が使用されていることが多いので、ダブルウォールテントよりも高価です。
フライシートがないので、軽量で、設営や撤収も簡単で短時間でできますが、構造上前室を作れないという欠点があります。
山岳テントを選ぶ際のポイントは、重量とサイズ、設営と撤収の容易さ、快適性、耐風性、耐水圧に注意しましょう。
初めの1つ目を購入するのであれば、軽くコンパクトなシングルウォールテントがおすすめです。
【mont-bell U.L.ドームシェルター 1型 1122625 シトロンイエロー(CYL) 1人用】
参考価格:38,880円
重量:740g
モンベル製の1人用シングルウォールテントです。
春から秋までの3シーズンに対応しており、自立式ドーム型テントとして非常に軽量でコンパクトです。
740gという重量は非常に軽量なため、登山においても疲労を軽減してくれます。
登山でのテント泊に使用するテントとしてはおすすめですが、価格が高めです。
また、テントに装備しておくことで、より快適に過ごせる道具がインナーマットです。
インナーマットはテント内に敷くことで地面からの冷気を遮断してくれるうえ、衝撃を緩和してくれるので、快適性が増すうえテント自体が破損しにくくなります。
テント泊での寒さから身を守る装備!シュラフ(寝袋)
テント泊においてシュラフは必要な装備です。
シュラフを選ぶポイントとしては、重さとサイズ、素材、対応温度に注目しましょう。
シュラフの対応温度はそれぞれ違うので、登山をする山の平均気温を調べてから購入しましょう。
また、季節問わず使用したい場合は、できるだけ対応温度が低いものを選んだほうが、想定していたよりも寒くなってしまった場合に身を守れます。
おおよそ、高度が100m上がると気温は0.6度ほど下がります。
シュラフの素材は2種類あり、ダウン素材と化繊素材に分けられます。
ダウン素材はコンパクトで軽く、生地が長持ちしますが、価格が高く水に弱いというデメリットがあります。
化繊素材は安価で水にも強いのですが、サイズが大きく重量もあるため、その点を考慮して登山に持っていきましょう。
気温が低い際には、シュラフを重ねて使用することもできますが、内側のシュラフのふくらみが阻害されてしまい、十分な保温効果が得られなくなってしまいます。
シュラフを重ねて使用するよりもシュラフカバーを使用することで効果的に保温効果を得ることができます。
【イスカ(ISUKA) 寝袋 エア 810EX】
参考価格:62,640円
サイズ:84×208cm
重量:810g
イスカ製のシュラフで標高3,000m級の山岳登山や厳冬期の登山でも快適な保温性があります。
ショルダーウォーマーが調節でき、睡眠時の首元からの放熱を防いでくれます。
テント泊での敷布団の役割を担う装備!
テント泊で寝心地を左右する敷布団の役割を担う装備がマットです。
登山では、平らな地面に寝られるとは限りません。
地面も冷えているため、マットが無い状態でテント内にシュラフを敷くと、いくら高価なシュラフでも寒さで震えることになってしまいます。
テント泊においてマットは必需品の一つです。
マットを選ぶ際に注目する点は「R値」と呼ばれる数値です。
「R値」とはマットの保温性を表す単位です。
マットは厚いものほど保温性が高いというわけではありません。
この「R値」が高いほど保温性が高いのです。
一般的に「R値」が2.6くらいのものを選ぶと、冬以外の3シーズンでは十分な保温効果を得られます。
また、マットにはエアマットとウレタンマットの2種類があります。
エアマットとはマットの中に空気を入れて膨らますタイプのマットです。
持ち運ぶ際には空気を抜くので、コンパクトで軽量になります。
クッション性も高く寝心地もよいです。
しかし、膨らませるのに時間がかかるという欠点もあります。
ウレタンマットは、敷くだけでいいのですぐに準備することができ、耐久性も高くなっています。
しかし、丸めて持ち運ぶため、サイズが大きくなり重量もあります。
そこで、最初の1つとしておすすめなマットはコンパクトで軽いエアマットです。
【THERMAREST(サーマレスト)ファスト&ライトシリーズ ネオエアー Xサーモ ベイパー】
参考価格:35,000円
サイズ:51×183cm
重量:430g
R値:5.7
サーマレスト製のエアマットです。
高い断熱性を持ち、重量も軽く、畳むと非常にコンパクトになります。
料理はテント泊の醍醐味!登山料理で装備したい必要な道具
テント泊の醍醐味は料理だという方もいます。
登山という自然の中で味わう料理は、普段の食事とは一味も二味も違います。
次は、料理をする際の装備として必要な道具をご紹介いたします。
●バーナー
バーナーは火を使う料理をするのであれば必要です。
バーナーはカセットガスを繋ぐことでコンロの代わりになります。
【シングルバーナー ジュニアコンパクトバーナー】
参考価格:2,980円
サイズ:17.5×17.5×10.5cm
重量:400g
非常に小型で軽量なガスバーナーです。
カセットガスをそのまま接続でき、火の調整もできるので、使いやすいガスバーナーとなっています。
●クッカー
クッカーは食器や鍋の代わりとして使用します。
主に深型と浅型があり、素材がアルミ製、ステンレス製、チタン製の3種類があります。
深型は利便性も高くバックパックに収納しやすいです。
浅型は熱が全体に均等に回るのですが、面積が大きく収納がしづらいことが気になる点です。
素材についてはアルミ・ステンレス・チタンの順に強度が強くなっていきます。
●コップ
キャンプに適したコップには紙製をはじめ、ステンレス製やチタン製など様々な種類があります。
紙コップは風に飛ばされやすいので注意しましょう。
チタン製のコップは、軽量で強度も高く保温性も高いです。
●スプーン・箸
ほとんどの料理はスプーンや箸などを使用して食べることになるでしょう。
ご家庭で使用しているスプーンや箸でも問題ありませんが、2つに分解できる箸や折り畳めるスプーンなどもあります。
ファーストエイドキットに必要なアイテムと便利な装備方法
登山ではケガがつきものです。
たとえ小さいケガでも適切に処置しなければ傷口が化膿し、ケガが長引くことになります。
また、テント泊では忘れ物があっても取りに帰るということができません。
小さいケガが重大な事故につながることもあるのでしっかり装備しておきましょう。
ファーストエイドキットはジップロックコンテナーに入れておくとすぐに取り出すことができ密閉性も確保できます。
頻繁に使用するものとあまり使わないものに分けて2つ以上のジップロックに収納し、まとめて1つのウエストポーチなどに入れて装備しておくと非常に便利です。
●ばんそうこう
登山ではケガがつきものです。
思わぬところでけがをする場合があるので持っていくようにしましょう。
●消毒液
傷口が化膿しないようにするために、きちんと消毒する必要があります。
ばんそうこうとセットで持っていくことをおすすめします。
●三角巾
万が一、骨折などの大きなけがや出血がひどいけがをした場合は、患部を固定するのに使用したり、傷口を抑えたりすることができます。
●ガーゼ
傷口を抑えて消毒したり止血したりするために使用します。
●テーピング
登山中のケガの一つとして捻挫なども考えられます。
テーピングをして患部を固定するために必要となります。
●風邪薬
登山は天候が変わりやすいうえ、気温も低いので風邪をひきやすい環境でもあります。
特に冬場の登山では気温が氷点下になることもあるので準備しておきましょう。
装備することで役に立つ!登山に使える便利な道具
登山でテント泊をする際に役に立つ道具をご紹介いたします。
ご紹介する道具を装備しておくことで、濡れた衣類や靴などの処理やテントやザックなどが破損した際の応急処置などに使用することができます。
●ビニール袋
登山中は天候の変化が激しく、雨の中を歩くことにもなります。
防水加工をしている衣類や靴でも濡れてしまうことがあるので、そういった濡れた衣類などを入れるために使用することができます。
他にも、靴をテント内に置いておく際やごみ袋としても使用できるので、数枚は持っていくようにしましょう。
●トイレットペーパー
洗った食器やクッカー、テント内やシュラフにできた結露を拭く際に使用します。
●ヘッドライト
テント内の照明に使用したり、両手を空けたまま照らしたりすことができるので非常に便利です。
●割り箸
箸として使用することもできますが、ケガをした際に固定具としても使用することができます。
●テープ
水に強いタイプのテープがおすすめです。
テントやザックなどが破れてしまった際にテープがあれば応急処置ができます。
●多機能ナイフ
食材を切ったり、テープを切ったりと様々なことに使用することができます。
●新聞紙
登山中、靴が濡れてしまった場合、山中は湿度が高いので乾かすのが難しいのですが、新聞紙を靴の中に入れておくと水分を吸収してくれます。
登山に行く前に装備の確認を忘れないこと
登山の楽しさを十分感じるためにもテントやシュラフなどの基本装備が必要になってきます。
これらの装備は身の安全を守るということでも非常に大切です。
また、濡れた衣類などを入れるビニール袋やテントなどの修復ができるテープなどの道具を準備し、キャンプ用品として装備しておくことで安心して登山を楽しむことができます。
こうした装備は登山中だと忘れても取りに帰るということができないので、登山に行く前に装備品を確認し、忘れ物がないようにしましょう。