キャンプで料理をする際には、焚火に火を灯したり、コンロに火をつけたりなど、「火」を使うシーンが多くあります。
しかし、コンロを着火させようとしてカチカチと音を鳴らしても「火がつかない!」といった経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、「火起こし」について参考にしていただけるように、前半では「炭」と「ガス」について、後半では、コンロに火がつかない時の対処法を状況別にご紹介していきます。
コンロのほかにもある!火にかけて使う調理器具と燃料の種類をご紹介!
まず、キャンプの調理で火にかけて使う道具にはこれらのようなものがあります。
・かまど
・グリル
・コンロ
・七輪
・バーナー
「かまど」は設備が整っているキャンプ場に設置されています。
炊事場としてかまどのそばに水道、洗い場、東屋やテーブルがあるところもあります。
「グリル」「コンロ」は移動が可能で、サイズは比較的大きく複数人分の調理が可能です。
また、「コンロ」には小型のものもあります。
机の上で調理が可能なため、複数人で料理を楽しむことができます。
「七輪」も小型ですが、使用の都度火をつけたり消したりできないため、机の上での使用には不向きです。
「バーナー」は、トーチバーナーや五徳つきバーナーがあり、トーチバーナーはあぶり料理に、五徳つきバーナーはコンロのように鍋やヤカンを温めることが可能です。
バーナーは比較的小型であるため持ち運びが容易で少人数での調理に向いています。
また、キャンプで火を起こすには、調理器具の他に「燃料」が必要です。
燃料と一言で言っても、色々な種類があります。
キャンプで使う主な燃料はこれらのようなものがあります。
・蒔
・炭
・ガス
・アルコール
・ホワイトガソリン
・灯油
炭を使う調理器具には、かまど、グリル、七輪、コンロがあります。
ガスを使う調理器具にはグリル、コンロ、バーナーがあります。
例えば、七輪でしたら、炭を燃やすだけで火起こしができ、七輪にそのまま鍋などを置くことができます。
しかし、コンロやバーナーは機材を使いますから、火を起こすためにカチカチと音を鳴らしても火がつかない場合があります。
使用環境や故障により火がつかないことが考えられますが、そのようなときはどうしたらよいのでしょうか。
次項からは、アウトドアでよく使われる燃料「炭」と「ガス」の火がつかない理由をご説明していきます。
炭やガスを使っても火がつかない理由とは?
ガスを使う場合火が付かない炭を使って火をおこす場合、特殊な機械は必要としません。
炭と火と酸素さえあれば炭は燃焼します。
炭に火がつかない理由もとても分かりやすいです。
炭に火がつかない理由として考えられるのは、炭が湿気ていることが考えられます。
このような時に着火剤を炭につけてライターでカチカチと火をつける人もいます。
しかし、この方法はライターが着火口と引き金の間が短いライターでは危険です。
なぜなら、着火剤に火がついた際、突然炎があがる危険があるためです。
炭を燃料とするコンロでは、液体、ガスの燃料のように簡単には火がつきません。
炭の火起こしの醍醐味といえばフイゴでの火起こしではないでしょうか。
炭に着火剤をつけて、チャッカマンなどの着火口と引き金の間が離れているライターで、カチカチと着火剤に火をつけて、炭に火がつくまでフイゴで「パタパタ」と空気をおくります。
ただ、この方法は火起こしを趣味としている人、時間のある人にしかおすすめできません。
また、炭が湿気ている時、着火剤だけ燃え尽きて肝心の炭に火がつかない場合があります。
ガスを使った火がつかない理由
次に「火起こし鍋」を使う方法をご紹介します。
この方法はガスカセット式のコンロをもっている方におすすめです。
空気が通るように底に孔のあいた「火起こし鍋」に炭を入れて、ガスカセット式のコンロであぶり燃やす方法です。
「火起こし鍋」を使う方法は、先にご説明したフイゴでの火起こしと同じく趣味性が高いです。
ガスカセット式のコンロで炭を熱している間は食材は料理できませんので、時間の無い方や、早く着火したい方には次の方法をお勧めします。
炭での火起こしで一番おすすめなのは、カセットガストーチバーナーでの着火です。
カセットガストーチバーナーをお持ちでない方は多少の出費となります。
この着火方法で注意しなければいけないのは、炎が直接噴射されるので、自分や人に向けるのは厳禁な点です。
使い方を間違えなければこれほど強力な着火装置はありません。
炭が少々湿っていても、このカセットガストーチバーナーの炎で炭をあぶるように熱を加えていくと、しばらくするとパチパチと着火に至ります。
ただし炎を噴射するものなので、危険のないようお子様の手の届かないところで保管、管理してください。
着火方式をご紹介!カチカチと音が鳴る電子式と摩擦で着火させるフリント式
ガスを燃料とする燃焼装置の、現在主流の着火方式について、ライターを例にご説明します。
着火方式はコンロやバーナーでも同様の方式が用いられています。
着火方式は大きく分けて2種類あります。
フリント式と電子式です。
フリント式とは、ダイヤルに設けられたヤスリと、火打ち石のようなフリントと呼ばれる発火石をこすりつけて、摩擦により火花を出して着火させる方法です。
摩擦による火花を出しながらダイヤルをまわした時、ガス放出のボタンを押して着火させます。
電子式とは、ライターのボタンをカチカチと押すことで、圧電素子に力を加えて放電しつつ、ガスを放出し着火させる方法です。
フリント式はダイヤルをしっかり回さないと火がつかないので、最近のライター、特に使い捨てライターの主流な着火方法は電子式になりつつあります。
それではここで、電子式の着火装置を使う時の注意点についてお話ししましょう。
電子式の着火装置は気圧の変化により放電力が下がるので、標高が高くなるに連れて着火しにくくなり火がつかない可能性が高まります。
「標高3,000メートルを超えると使えなくなる」という説もあります。
そんな時は安定的に使用できるフリント式ライターを持っていきましょう。
コンロやバーナーに火をつける時、自身に着火装置が無い時、着火装置が機能しない時はライターで火をつけることになります。
現在主流の電子式のライターでは、高山でコンロに着火できないことが起こりうります。
フリント式のライターの使用も考えましょう。
ガスカセット式のコンロでカチカチとする着火方式
ガスカセット式のコンロの構造を簡単にご説明します。
ガスカセットをコンロ本体に接続しつまみを回すと、ガスはガス管を通りバーナー孔へと向かいます。
ガス管の周りには空気管があり、ガスは空気と混合しバーナー孔へ向かう途中で混合気となります。
普通のガスカセット式のコンロは、圧電着火方式で着火するため、電池切れ等の心配がなく、つまみを捻れば放電火花がでます。
この放電火花は、つまみをひねることで圧電素子に力がかかり、電気がバーナーヘッドのそばの電極へ流れていき、電極とバーナーヘッドとの間を空中放電することでおこります。
その時にガスは「シュー」という音とともにバーナーヘッドのバーナー孔から放出され、着火され燃焼します。
ガスカセット式のコンロを使用していると、時々火がつかないことがあります。
そこで考えられる一つの原因に、電極が汚れている可能性があげられます。
まず、つまみをカチカチとひねって、放電火花が発生しているか確認しましょう。
もしも放電していない時は電極を清掃してみましょう。
放電していても火がつかない時は、バーナー孔がふきこぼれなどで詰まっていることが考えられます。
その場合はガスがバーナー孔を通るように、ブラシなどで掃除をしましょう。
火がつかないからと言ってライターでカチカチと着火することは危険です。
シューという音が出ている場合は、火がつかない場合でもガスは出ています。
適量以上にガスが放出されていると、溜まっているガスに引火し「前髪が燃えてしまう」という惨事を引き起こしかねません。
そのため十分換気してから着火しましょう。
シューという音がしていない時はガス切れが考えられます。
その場合はガスカセットを新しいものに交換しましょう。
カチカチの音がしてもダメ?寒い季節にガスカセット式のコンロに火がつかない理由
初心者の方でいきなり0度以下のところで、アウトドアクッキングをする人は少ないと思いますが、寒い場所でのガスカセットの使用は注意が必要です。
比較的新しいガスカセット式のコンロは「ヒートパネル」という、ガスカセットをガスの燃焼熱で温める金属板がついていて、寒い環境にも比較的強く作られています。
また、普通のガスカセットには燃料にブタンガスが使われているので、0℃以下では気化しないので火はつきにくいです。
寒い場所では寒い場所用のイソブタンガスやプロパンガスが入っているものがおすすめです。
同じ理由でライターにもブタンガスのみしか使用してない、寒さに弱いライターもあります。
ライターのボタンをカチカチと鳴らして押しても放電火花は見えても、一向に火がつかないなどということもあります。
もし寒い環境でライターを使われるなら、イソブタンガスを燃料としているものを使用すると「火がつかない」ということは防げるでしょう。
風が強い時にコンロに火がつかない場合の対処法!
ガスカセット式のコンロは通常家庭で使うものなので、かまど、炭火コンロに比べて風に弱いです。
風の強い時は「天ぷらあげ用の飛び跳ね防止ガード」で風上を覆う方法が効果的です。
ただ、屋外ですとかぜの方向は一方向ではなく、あらゆる方向から来るので結局3方向を覆うことになりがちです。
3方向でコンロのまわりを覆う欠点は、視界を覆ってしまうので家での料理と変わらなくなる点です。
また3方向を覆ってしまうと、すき焼きなどの場合一方向からしか(一人しか)食べられないという残念なことになります。
もし、まだカセットガス式のコンロをお持ちでない場合は、アウトドア用の風に強いガスカセット式のコンロも購入の候補に入れてみてはいかがでしょうか?
また、家庭用のガスカセット式のコンロが風に弱いように、普通のライターも風には弱いです。
普段はカチカチとやれば着火できても、強風の時は火がつかない時が多いです。
風の強い火の着火でおすすめなのは、先にご説明したガストーチバーナーですが、そこまで大げさにしたくない方には、ライターの炎が風で消されないように「風よけライター」なるものも販売されています。
コンロで火がつかないという事態を避けるために
火を起こすには、道具の正しい知識と利用方法、メンテナンスが必要です。
炭を使うには炭を燃やすための道具、ガスを使う時はガスが燃える状態、燃えている状態、それらを正しく理解すれば、火がつかない理由がおのずと分かってくるはずです。
コンロに火がつかない場合でも、すぐにライターをカチカチではなく、あわてずじっくり現象を観察して火のつかない理由を特定しましょう。
道具への理解、メンテナンスをしてアウトドアライフをエンジョイしましょう。