コールマン製のランタンやツーバーナーといった火器類に不可欠なのはポンピングです。
点火のために重要なポンピングをスムーズにするのがプランジャーというパーツ。
本記事では、このプランジャー内のポンプカップという部品を従来のゴム製のものから皮製のものに替えた場合のメリットを中心にご紹介します。
コールマン製火器の点火の仕組み
キャンプなどのアウトドアシーンで見かける火器はコールマン製のことが多く、その火器に使われる燃料のほとんどはホワイトガソリンです。
皮のポンプカップについてお話をする前に、このタイプの火器の点火の手順とポンプカップについてランタンを例におさらいしておきましょう。
【点火手順・ランタン】
①燃料を入れマントルを取り付ける
②マントルの空焼きをする
③ホヤを取り付け、ポンピングする
④マントルに着火
⑤火力調整し火を落ち着かせる
実際にはもっと注意するポイントなどがありますが、今回はポンプカップ周辺に焦点をあてているため省きます。
点火の工程で最も重要なのはポンピングです。
加圧式ガソリンランタンがきちんと機能するかどうかは、このポンピングにかかっていると言っても過言ではありません。
ポンピングをスムーズにするにはプランジャー内の部品に欠けや破損がないことが重要なポイントです。
なかでもポンプカップに欠陥があると燃料タンクの内圧が上がらず、燃料がジェネレーターへ回らないため点火できません。
コールマン製の火器にはポンピングが不可欠
前項の仕組みの中でもご紹介しましたが、コールマンの火器にはポンピングが不可欠です。
この工程がうまくいかないと、点火することができず、火器は全く機能しません。
では、ポンピングによって燃料タンクの中ではどのような変化が起きているのでしょうか。
【ポンピングによる加圧・燃焼のしくみ】
①ポンピングを繰り返すことによって燃料タンク内の圧力が高まる
②加圧された燃料が空気と混ざり混合気となり、ジェネレーターに押し出される
③バーナー等の熱によりジェネレーター内で燃料が気化する
④ジェネレーターから噴出される混合気がバーナー部分で燃焼に必要な空気を取り込み燃焼する
燃料タンク内でしっかりと加圧されることで、燃料が効率よく気化・燃焼します。
次項からはポンピングの効率にかかわる部品、ポンプカップについてご説明します。
ポンプカップにはシリコンゴム製と皮製のもがありますので、それらの違いについても述べていきます。
ポンプカップとは?
コールマンの火器に不可欠なポンピングの作業ですが、ポンピングの際、重要になるのがプランジャーと呼ばれるパーツです。
このプランジャーにはポンプノブ、ポンプキャップ、ポンプカップ、エアーステムなどを含みます。
不具合があり点検したり、メンテナンスする度によく耳にする部品なので覚えておきましょう。
中でもポンプカップは重要なパーツです。
大抵はゴム製ですが、中には皮のポンプカップが使われている製品もあります。
ポンピングをしていてスムーズに抽出できなかったりノブの部分に抵抗感を感じるときは、ポンプカップに原因がある可能性があります。
ポンプカップはプランジャーの中で、ポンピングによって取り込んだ空気を外に逃がさない役割しています。
このポンプカップがオイル不足となり乾燥すると、カップが劣化しひび割れることがあります。
カップが割れたり破損すると破損部分から空気が抜けてしまい、タンク内の加圧ができません。
このような事態を防ぐためにも、ポンプカップの状態をチェックし、必要があればリュブリカントオイルを注油しておくことが大切です。
ポンプカップは2種類ある!「皮」と「ゴム」
ポンプカップ内で重要な役割を果たすポンプカップですが、多くの火器にはシリコンゴム製のものが取り付けられています。
しかし、コールマンでは一部の製品向けに皮でできたポンプカップも販売しています。
それぞれに良い面があり火器との相性もあるようです。
2種類の材質の特性についてお伝えします。
●シリコンゴム製ポンプカップ
コールマンのほとんどの火器にはこのシリコン製のポンプカップが付いています。
シリコンは耐久性が高く、日々のメンテナンスをしっかりすれば長く使えることが特徴です。
しかし、メンテナンスを怠りオイルを差し忘れていると劣化が早く、欠けたり縮んでしまったりします。
●皮製ポンプカップ
皮が油を吸い込みしっかり密着するのでポンピングの手ごたえがあり、こちらを愛用するユーザーも多くいます。
こちらは手入れの頻度はシリコン製のものよりも少なくて済みます。
万が一手入れを忘れ、オイルが切れて固くなってしまった場合でも、再びオイルを揉みこめば使えるようになることもあり、シリコン製のものよりも長寿命と言えます。
皮でできたポンプカップのメリット
コールマンの火器に限らずゴム製のポンプカップが採用される以前は、皮でできたポンプカップが使われていました。
2種類のポンプカップの違いについて簡単にご説明しましたが、皮製のポンプカップについて、もう少し詳しくお伝えします。
皮製ポンプカップの特徴は、下記の通りです。
・ほとんど交換がいらない
・ポンピングトラブルの軽減
・圧力が強くかかる
・注油の頻度が少ない
交換時にしっかりとオイルをしみ込ませ、揉み込んでおくことでポンプカップの乾燥による割れを防ぐことができます。
このオイルの揉み込みをしておけば、ポンプカップ自体の劣化はほとんどありません。
またポンピングをしたときの手ごたえが強く、しっかり加圧できるのも皮製の特徴です。
ゴム製ポンプカップを使っていて、劣化が早かったり加圧が弱い場合には皮製のものに替えてみるのも良いでしょう。
ポンピングの感触も柔らかいため、作業がしやすくなったという意見もあります。
コールマン製火器類に取り付ける皮のポンプカップを自作する
皮製ポンプカップはコールマンの純正品が販売されています。
作業に慣れないと、交換時に付属部品であるプッシュオンナットを曲げてしまったりすることがありますので、ポンプカップと一緒にプッシュオンナットもそろえておくと安心です。
また、皮製品であるので手近なもの(皮製の手袋など)をつかって自作することもできます。
ここでは皮製ポンプカップの自作の手順を簡単にご紹介します。
純正品は牛革を使っていますが、豚の皮でも問題ありません。
【皮製ポンプカップを自作する】
①皮を切り出す
あらかじめプランジャーを取り出しポンプカップとプッシュオンナットを外しておきます。
ペットボトルのキャップを皮に合わせて丸く切り出します。
②切り出した皮を水に浸し柔らかくする。
しっかり水分を含ませて柔らかくし、絞ります。
③成型する
プランジャーの入る入口に皮をセットして押しプラで押し込みます。
ポンプカップの下に付いている白い押しプラを合わせ、ポンプカップの形に成型します。
この時に押しプラの突起がこちらを向くようにセットしましょう。
皮が入口の縁からはみ出ないよう奥までしっかり押し込みます。
この状態で皮が完全に乾燥するまで待ちます。
④皮を取り出し組み立てる
ラジオペンチを使って押しプラの突起をつまみ、ゆっくりと引き抜きます。
ポンプカップの中心にパイプが通る穴を開けてからプランジャーに取り付けましょう。
⑤注油する
できたポンプカップの縁にリュブリカントオイルを注油します。
しっかり注油できたらプランジャーを本体に組み付けます。
組み付けたら、注油口からさらに注油し完成です。
全ての工程が終わったら点火試験をしましょう。
最初はポンピング時に固く引っ掛かる感触がしますが、徐々に脂がなじみスムーズになります。
なかなか固さが抜けない場合は再度注油して様子をみましょう。
使い心地で選ぶなら皮製ポンプカップ
加圧がしっかりでき、メンテナンスが容易なことが皮製ポンプカップのメリットです。
さらにポンピング時の抽出動作がスムーズな点も、ユーザーの評価を挙げていると言えます。
ポンピングの不調を感じた時には皮製ポンプカップへの交換を考えてみてはいかがでしょうか。