プリマロフトのダウンは本当に暖かい?他のダウンとの比較

最終更新日:2019/01/15

登山用のアウトフィットを買うときに、ダウン素材のアイテムという選択肢がありますよね。

ダウンに関連して調べていると、「プリマロフト」という言葉を耳にした方もいるのではないでしょうか。

プリマロフトとはどんな素材で、他のダウンと比較してどんな点がアウトドアに向いているのかみていきたいと思います。

プリマロフトとはどんな素材なのか

プリマロフトという名前は聞いたことがあっても、それがどんな素材で、他のダウンと比較して何が優れているのでしょうか。

プリマロフト🄬(PRIMALOFT🄬)は、アメリカのアルバニーインターナショナル社(Albany International)が開発しました。

アルバニーインターナショナル社はスペースシャトルの断熱材など、宇宙に関連する素材を作ってきた会社で、プリマロフトは宇宙船にも使われている素材です。

1983年にアメリカ軍からの依頼を受け、グースダウンに代わる新たな素材としてプリマロフトが開発されました。

プリマロフトとはとても細かいマイクロファイバーから出来ている、人工的に作られたダウン素材です。

その細かいファイバー繊維の隙間に、体の熱で温められた空気を閉じ込め、外部からの冷たい空気を通さないという性質を持っています。

この外気を遮断する働きから、アウトドアブランドのジャケットなどはインサレーション(insulation「遮断」)ウェアと呼ばれています。

このプリマロフトですが、多くのアウトドアブランドのインサレーションジャケットの中綿として採用されています。

天然のダウンと比べてどんな点がアウトドアに向いているのでしょうか。

プリマロフトとダウンとを比較していきましょう。

天然のダウンとフェザーの比較

天然素材のダウンと言うと、一般的にグース(ガチョウ)やダック(アヒル)などの羽毛が使われます。

ダウン(down)は、綿毛のようなかなり細い毛で出来た羽毛で、水鳥の胸にしか生えていません。

このダウンは、1羽の水鳥から5~10グラムしかとることが出来ません。

「羽」と聞いて想像する、いわゆる羽ペンのような形のものは、フェザー(feather)とよばれるもので、ダウンとはとれる場所も形も全く違う羽毛です。

ダウンとフェザーを比較すると、ダウンの方が暖かく軽いというのが特徴です。

ダウンの割合が高いコートや布団などは高価になります。

ただ、ダウン100%でコートを作ると型崩れしやすくなってしまうので、高価なコートでもダウンの割合が90パーセント程度になっていることが多いです。

コストの面からすると、かなり高価なダウンと比較して、プリマロフトは価格を抑えることが出来ます。

フェザーよりも軽く、ダウンよりも低価格の素材としてプリマロフトは重宝されているのです。

プリマロフトは天然のダウンと比較して本当に暖かいのか

プリマロフトは、天然ダウンの8倍暖かいというような記述をみかけますが、そのような根拠になるデータは存在しないようです。

実際のところは、プリマロフトよりも天然ダウンの方が、保温性があり軽い素材です。

しかし、プリマロフトと天然のダウンを比較したとき、プリマロフトが圧倒的に優れている点は、濡れても保温性があるということです。

もともとプリマロフト開発の依頼主であるアメリカ軍は、この濡れても保温性を保つという素材を必要としていました。

天然のフェザーは、一度濡れてしまうと保温性がなくなり、簡単には乾かすことが出来ません。

また、それまでアメリカ軍で使われていたウールも、濡れても保温性こそはありますが、とても重たく乾きにくいというデメリットがありました。

そのためアメリカ軍の目的としては、軽く、圧縮出来て、濡れても保温性のある素材を開発することだったのです。

プリマロフトは、濡れても98%の保温性を維持する素材と言われていて、アメリカ軍の高い開発目標をクリアしたのです。

この「濡れても暖かい」という性質を利用して、アウトドア用のジャケットなどでプリマロフトは重宝されているのです。

天然のダウンと比較してプリマロフトが優れている点

さきほどもご紹介した通り、プリマロフトの暖かさは、濡れたときにこそその力を発揮します。

天然のダウンが濡れたらなかなか乾かないのに対して、プリマロフトは素材が水分を含まないので速乾性があります。

この水に強いという性能が、プリマロフトの優れている点であると言えます。

また、天然のダウンに比べて、長期間の使用に耐えられるということが挙げられます。

天然のダウンも、プリマロフトのような化学繊維のダウンも、着崩れて中の繊維がよれてしまうと、本来の暖かさを保つことは出来ません。

化学繊維もよれやすくはありますが、天然のダウンと比較するとプリマロフトの方が耐久性があります。

長期的な使用とその保温性を考えると、天然のダウンよりもプリマロフトの方が優れていると言えます。

プリマロフトにはいくつか種類がある

ここまで天然のダウンとの比較で、プリマロフトの優れている点が分かりましたね。

そんなプリマロフトですが、種類がいくつかあり、スペックが異なります。

基本のプリマロフトは次の3つです。

〇プリマロフト・ブラック
リサイクルされた素材を60%使用したエコなタイプのプリマロフトです。

〇プリマロフト・シルバー
プリマロフトの各性能を高くしたベターモデルで、シーズンをまたいで使うことが出来ます。

〇プリマロフト・ゴールド
プリマロフトの中で最も品質の良い素材。

軽さや保温力はもちろんのこと、柔らかさや速乾性も他のモデルに比べて優れています。

これらのプリマロフトを組み合わせたり、天然のダウンなどを加えたりして、各ブランドがオリジナルのインサレーションジャケットなどを作っています。

中でもプリマロフト・シルバー・インサレーション・ハイロフトは、有名アウトドアブランドでもよく使われるモデルです。

このプリマロフトは、コンパクトでありながら保温性の高い繊維と、ロフト(かさ高)を高くするための繊維の2つを組み合わせています。

この2つの繊維の組み合わせにより、濡れても85パーセントの保温性を保つインサレーションとなります。

プリマロフトを使ったおすすめジャケット

ここからは、登山で使えるプリマロフトを使ったおすすめジャケットを比較していきます。

プリマロフトは、雨に濡れてこそその性能を発揮します。

もちろん、タウンユースでも便利なので、ぜひ参考にしてみてください。

〇ノローナ フォルケティン プリマロフト 60 ジャケット
オールシーズンで使える軽量で携帯に便利なインサレーションジャケットです。

プリマロフトシルバー60を使用しており、防風性とフリースのような高い保温性があります。

〇マムート ビレイハイブリッドインシュレーションジャケット
身頃の中綿にはプリマロフトとパーテックスを組み合わせています。

袖の部分も異なる素材を使っていて、ハイブリッドなジャケットになっています。

〇ノースフェイス サンダーフーディ
ダウンとプリマロフトを組み合わせた軽量のジャケットです。

軽量で持ち運びがしやすのが特徴です。

プリマロフトがダウンの欠点を補っている

プリマロフトはダウンに代わる、濡れても暖かい化学繊維だということが分かりました。

プリマロフトだけで作られているアイテムもありますが、ダウンと組み合わせてお互いの性能を補っているものも数多くあります。

雨に濡れる場面での使用が多く想定される方に、プリマロフトのジャケットはおすすめです。

プリマロフトのジャケットで、快適な登山を楽しみましょう。

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