今日の釣りにおいて、ターゲットとなる魚や釣り方に合わせて使う道具も進化を続け、細分化されています。
特にヒラスズキをターゲットとした釣りでは、ヒラスズキの泳ぎに負けないパワフルさと、食わせるための繊細なルアー操作が可能なロッドを必要とします。
今回は、「ヤマガブランクス」より、「バリスティック・ヒラ107MH」をご紹介します。
「バリスティック・ヒラ107MH」を製造、販売する「ヤマガブランクス」とは?
「ヤマガブランクス(YAMAGA Blanks)」とは、熊本県山鹿市の釣竿製造会社「山鹿釣具」のオリジナルブランドとして2008年に誕生したフィッシングロッドメーカーです。
この「ヤマガブランクス」では、設計、製造、出荷までの全ての製造工程を一貫して国内の自社工場で行っています。
このように、製造工程を全て自社工場で行うことにより、開発・設計者と製造者が近く、品質の良いモノづくりが徹底されています。
また、この「ヤマガブランクス」では、フィッシングロッドの製造技術を用いて、スキー用のポールの製造・販売も行っています。
まさにカーボンロッドのプロフェッショナルとも言える企業です。
この「ヤマガブランクス」において製造されているフィッシングロッドは多岐に渡り、シーバスロッド、エギングロッド、ジギングロッド、トラウトやバスの淡水魚から、ナマズロッドといった珍しいアイテムもあります。
今回は、数多くある釣りものの中から「ヒラスズキ」に特化した「バリスティック・ヒラ107MH」をご紹介し、「バリスティック・ヒラシリーズ」のその他の機種との違いを見ていきます。
ヒラスズキ向けラインナップ「バリスティック・ヒラシリーズ」とは?
「ヤマガブランクス」におけるシーバスフィッシング向けロッドのフラッグシップモデルと言えば、やはり「バリスティックシリーズ」でしょう。
2010年の「バリスティックシリーズ」誕生から改良を重ね、今日のシーバスロッドの定番アイテムになりつつあります。
多くの釣具店でもその姿を見かけるようになり、釣りをしている方の中には目にしたこともあるかと思います。
そんな「バリスティックシリーズ」から、2011年に枝分かれしたものがヒラスズキ向けラインナップ「バリスティック・ヒラシリーズ」です。
この「バリスティック・ヒラシリーズ」は、ヒラスズキの主な釣り場となる磯場を想定した設計で、「バリスティックシリーズ」よりパワフルなつくりになっています。
磯場では港湾部と異なり、強い逆風の中でキャストを強いられることも多く、その風に負けずに振り抜いて飛距離を伸ばせるだけの硬さがあります。
また、体高のあるヒラスズキの強烈な引きにも負けず、ヒラスズキの外道として頻繁にかかる青物にも対応できるよう、バット(竿の根元部)強度を高めてあります。
全体的に硬めの設計ですが、ティップ(竿の穂先部)は高い感度得られ、食わせの良いつくりになっています。
この「バリスティック・ヒラシリーズ」は、長さと硬さの違いで「107M」「107MH」「11MH」「11H」の4機種が発売されています。
「バリスティック・ヒラシリーズ」とはどんなアイテムなの?
「バリスティック・ヒラシリーズ」は、2011年の誕生から改良を重ねてきました。
発売当時には「11」のみのレングス展開でしたが、2013年に「107」も追加されました。
ちなみに、この数値はロッドのレングス(=長さ)を表しており、「107」なら10フィート7インチ、「11」なら11フィートということになります。
さらに、アクション(=硬さ)に応じて、「107M」「107MH」「11MH」「11H」の4機種に細分化され、各アルファベットは「M」ならミディアム、「MH」ならミディアムヘビー、「H」ならヘビーを表しています。
現行の「バリスティック・ヒラシリーズ」で使用しているガイドリングは、富士工業の「トルザイトリング(TORZITE)」を使用しています。
この「トルザイトリング」は従来の「SiCリング」と比べ、表面が柔らかくなめらかなため、ライン滑りが良く、ラインへの負荷が少なくなったそうです。
「トルザイトリング」を用いていることで、ラインの摩耗をシビアに感じることなく使うことができ、ラインとガイドリングの摩擦が減ることで、キャスト飛距離にも微量な影響を与えていると言われています。
さらに、富士工業によれば、「トルザイトリング」は「SiCリング」と比べて40%の軽量化に成功しています。(R型トルザイトとJ型SiCとの比較)
「バリスティック・ヒラシリーズ」では、この「トルザイトリング」と、軽くて強いことで有名なチタン製のガイドフレームを組み合わせることで大幅な軽量化を図りました。
このわずかな重さの違いが、キャスティング時の振り抜き速度やルアーや魚信の感度に多大な影響を与えているのは確かでしょう。
「バリスティック・ヒラ107MH」は、こんな仕様
「バリスティック・ヒラ107MH」は10フィート7インチ(3280mm)、ミディアムヘビーのヒラスズキロッドで、各仕様は下記の通りです。
こちらは印籠継の2ピースロッドで、その仕舞い寸法は1650mmです。
他社のロッドを見てみると、10フィートを越えるような長いロッドには、収納時のコンパクト性を重視して3ピースや4ピースタイプのものも多く存在しています。
しかし、継ぎ目が増えることでロッドのしなりが悪くなり、カーボンの持つ性能を発揮しきれないとも言われています。
その点、この「バリスティック・ヒラ107MH」は2ピースなので、そういった心配なく、思い通りのファイトができることでしょう。
この「バリスティック・ヒラ107MH」の重量は198gで、この長さのロッドとしては標準的な重量でしょう。
また、対応ルアーウェイトは7~45gで、ヒラスズキ用ミノーからバイブレーション、ジグヘッドまで幅広く扱える適度な硬さがあります。
磯場から浜まで、ありとあらゆるコンディションに対応できる、ユーティリティヒラスズキロッドです。
バリスティック・ヒラ「107MH」と「107M」を選ぶなら
もともと「11MH」「11H」「107MH」の3機種だった「バリスティック・ヒラシリーズ」に「107M」が追加されたのは記憶に新しいところです。
この「107M」は、従来の「バリスティック・ヒラシリーズ」のイメージを覆すほどしなやかなロッドに仕上がっています。
柔軟なタッチで、ライトなルアーのキャスト性、操作性も向上しました。
ショートバイトも弾かずにしっかり食い込ませることもでき、ファイト中のフック伸びやラインブレイクも格段に減ります。
しかし、やはり「107MH」と比べると、物足りなさを感じました。
逆風時のキャストでの振り抜き感、荒波に揉まれながらのルアー操作においては、やはり「107MH」に軍配が上がります。
ファイト中のロッドの戻りの良さも「107M」より「107MH」の方が圧倒的に反応の良さを感じました。
ロッドのしなりを利用して魚をいなしながらも、確実に引き寄せられるだけのパワーを持つのは「107MH」でしょう。
「11MH」「11H」と「107MH」を選ぶなら?
「バリスティック・ヒラ」の「11MH」「11H」は共に、シャンとした張りがあり、キャスト時の振り抜きの良さは抜群です。
「11MH」「11H」のどちらも、ルアーアクションにもメリハリが付けやすく、荒波に揉まれてもはっきりとした動きを出すことができます。
また、不意にかかってしまった大型の青物も、パワフルに引き寄せるだけの力のあるロッドだと感じます。
当然ながら、「11MH」「11H」の両者は「107MH」よりも長い分、ルアーの飛距離は格段に伸びます。
しかし、長さが必ずしも武器になるとは限りません。
「107MH」と比べてほんの5インチ(約130mm)長いだけで、磯場特有の強い逆風時での振り抜きの良さは低下します。
11フィートという長さは、広範囲を狙い打つにはもってこいの長さですが、時としてこの長さが弱点になり得る、ということです。
「107MH」は長さと張りのバランスが最もとれている機種と言えるでしょう。
ヒラスズキロッドは「バリスティック・ヒラ107MH」だけじゃない!
今回は、筆者の使用感を踏まえて「バリスティック・ヒラ107MH」をオススメさせて頂きましたが、ロッドの使い方やフィッシングスタイルは千差万別。
誰にでも合うロッドというものは、なかなか存在するものではありません。
まずは、全国の小売店でさまざななロッドに触れて、ご自身に一番合う一本を見つけてみてください。
そのロッドとの出会いが、魚との素敵な出会いをもたらす大切な相棒となることでしょう。