冬も夏も飲み物の温度を保つことは、屋外で一息つく時間を快適に過ごせることはもちろん、アウトドアでは体調管理のためとっても大切です。
そこで、活躍するのは保温ボトルです。
特に、通販サイトや店頭で目を引くのは「サーモス」と「象印」です。
どちらも機能、容量、の違いをはじめ、様々なタイプの保温ボトルを揃えています。
今回は、どっちも魅力的なステンレス製保温ボトルの2大メーカー「サーモス」と「象印」を比べてみたいと思います。
サーモスと象印~メーカーとして古いのはどっち?~
サーモスというブランド名は、1904年にドイツのベルリンで設立されたテルモス有限会社が由来とされています。
同社は世界で初めて真空断熱魔法瓶を製品化した会社です。
1978年に世界初のステンレス製真空断熱魔法瓶を開発したのが、日本酸素株式会社(現在は大陽日酸株式会社)という産業ガスメーカーの会社です。
そして、1989年に日本酸素株式会社が、サーモスグループを傘下におさめました。
一方、象印は、1918年(大正7年)に大阪で魔法瓶の内瓶を作っていた「市川兄弟商会」が現在の「象印マホービン株式会社」に発展していきます。
象印は、1948年(昭和23年)に法人改組した後、本格的な魔法瓶の製造販売を開始しました。
その後、1981年(昭和56年)にステンレス製保温ボトルを製品化します。
このことから、ステンレス製保温ボトルのメーカーとして「古いのはどっち?」と言われれば、ステンレス製真空断熱魔法瓶を初めて作った、サーモスです。
サーモスと象印~丈夫なのはどっち?~
ステンレス製保温ボトルは、メーカーに限らず、落としたりぶつけたりすると、塗装が剥がれてしまったり、凹んだりしてしまうことが難点です。
アウトドアシーンでは、そんな塗装の剥がれや凹みもカッコいいと言う意見もあります。
しかし、ステンレス製保温ボトルの塗装の剥がれは見た目だけで機能的にはそれほど影響を与えませんが、凹みに関しては、肝心な保温力が落ちてしまうことに繋がります。
サーモス、象印のどっちも使ったことのある筆者の経験では、塗装はサーモスより、象印の方が丈夫な印象を受けました。
なぜなら、同時期にサーモス、象印の両方のステンレス製保温ボトルを使用していた時があり、塗装の剥がれ具合を実際に比較し確認できたためです。
また、保温ボトル本体の凹みについては、サーモスと象印のどちらも強い印象です。
ステンレス製保温ボトルの凹みは、保温力に影響を与えるため両メーカーとも頑丈に作られています。
サーモスと象印、「丈夫なのはどっち?」と言われれば、凹みについてはどちらも頑丈に作られていて、塗装は象印の方が丈夫だという印象です。
サーモスと象印~洗いやすいのはどっち?~
保温ボトルのフタがパカっと開くワンタッチタイプのサーモスの保温ボトルは、飲み物を片手でサッと飲みたいときに飲める反面、フタの構造が複雑で、汚れが溜まりやすいのがデメリットです。
一方、象印は、手入れしやすい「分解せん」を使用した保温ボトルを積極的に売り出しています。
頻繁に食器などを洗うことができないアウトドアシーンでは、いかに素早く簡単に洗えるかが重要なポイントです。
状況によっては、長期の夏山登山では、食器の汚れでお腹を壊すこともあります。
できればシンプルな構造の保温ボトルで、汚れが潜り込まないタイプが良いとされています。
そのため、サーモスか象印かで決めるよりも、保温ボトルのフタが、片手で開閉できるワンタッチタイプか、フタを回して開けるシンプルなスクリュータイプかという点が、洗いやすさにおいては重要です。
現在では両メーカーとも、フタが分解できるようになり、製品の改良、改善がされ続けています。
しかし、サーモスと象印「洗いやすいのはどっち?」と言われれば、「分解せん」を積極的に取り入れている、象印に軍配が上がるでしょう。
サーモスと象印~それぞれの売りは?~
山登り、川でキャンプなど夏のアウトドアシーン、スキーやスノボなど冬のアウトドアシーンを想定すると、保温ボトルの容量は350mlから750mlくらいまでのものが主流です。
また、サーモスも、象印も、保温ボトルのフタを片手で開閉できるワンタッチタイプのものと、フタを回して開けるスクリュータイプのものがあります。
サーモスでは「ケータイマグ」、象印では「ステンレスマグ」という商品がそれに当たります。
ここでは、「ケータイマグ」と「ステンレスマグ」の売りをご紹介します。
サーモス「ケータイマグ」の売りは、口当たりの良いシリコーンを飲み口に使用されており、「半回転オープン」のフタを採用しています。
また、サーモスオリジナルのシールを保温ボトル本体に貼ってオリジナルボトルにアレンジできる点も他の保温ボトルにはない魅力的な点です。
一方、象印の「ステンレスマグ」は、ステンレス部分に、塩分によるサビに強い2倍フッ素コート加工が施されています。
また、保温ボトルの内側の構造を工夫し、飲み物がゆるやかに出てくるような構造にしたり、丸みのある飲み口で口当たりを良くしたり、という点も売りにしています。
サーモス、象印、どっちのメーカーも、使用者のニーズに合うよう研究を重ねて、それぞれの売りを積極的にアピールしていることが分かります。
サーモスと象印~保温・保冷力が優れているのはどっち?~
「サーモス」「象印」の保温ボトルの「保温力・保冷力」を比較してみます。
ここでは、サーモスは容量500ml、象印は480mlの場合で、フタがスクリュータイプのステンレス製保温ボトルを比較してみます。
サーモスでは、「室温20度において製品に95度の熱湯(または4度の冷水)を満たし、所定時間放置した場合の温度」として、保温効力(6時間後)68度以上、保冷効力(6時間後)10度以下とされています。
象印では、サーモスと同じような条件下で、95度の熱湯が6時間後でも71度以上、4度の冷水が6時間後でも8度以下を保ちます。
どちらも、保温ボトルのサイズにわずかな差があるため、一概には言えませんが、サーモスと象印、「保温・保冷力が優れているのはどっち?」と言われれば、象印の方に軍配が上がります。
ただし、アウトドアシーンでは、外気にさらされ、中身も揺れ動くので、実際の保温・保冷力の比較はとても難しいです。
どちらのメーカーのステンレス製保温ボトルも、中身の温度を保つためには、外気にさらされない様にカバーをつけるなどして、炎天下や、雪の上などに直接置かないようにしましょう。
サーモスと象印~アウトドアに向いているのはどっち?~
サーモスと象印、どちらも有名で性能の良いステンレス製保温ボトルを製造していますが、アウトドアシーンにおいて、サーモスと象印、「どっちが向いている?」などの差はあるのでしょうか。
約20年前のアウトドアシーンでは、メーカーは関係なく保温ボトル全般が「テルモス」と呼ばれていた時期があります。
この「テルモス」という呼び方の由来は、「Thermos」(サーモス)のドイツ語読みです。
登山道具には、ドイツ語が使われている場合が多いですが、保温ボトルにおいても「保温ボトル=サーモス」という概念が浸透していたかが分かります。
また、サーモスのステンレス製保温ボトルは、アウトドアシーンで活躍している歴史が長い分、豊富なサイズ展開や、デザインを重視した保温ボトルが多くあります。
サーモスも象印も、どちらも引けを取りませんが、サーモスの方がより「アウトドア向き」と言えるでしょう。
サーモス、象印の保温ボトルを比較して自分に合った保温ボトルを選ぼう!
今回は、サーモス、象印のステンレス製保温ボトルの歴史をはじめ、丈夫さや保温・保冷力などを比較してきました。
サーモス、象印、どちらがおすすめであるかは、自分が保温ボトルのどんな点を重視するかで選び方も変わってきます。
ご紹介したステンレス製保温ボトルの比較した点を参考にして、自分に合った保温ボトルを選びましょう。