オートキャンプの必需品ともいえる、コールマンのツーバーナー。
家庭用の二口コンロのように扱えるため、キャンプでの調理に欠かせません。
この火器は、ポンピングでの加圧作業や燃料漏れ、不完全燃焼など点火時のトラブル回避のために、ちょっとしたコツを覚えておくことで上手に使いこなすことができます。
ファミリーキャンプの必需品!コールマン・ツーバーナーの仕組み
ツーバーナーはコールマンが製造・販売する二口バーナーです。
火元が二つあるので、フライパンや鍋を使った量の多い調理に向いています。
家庭用のコンロと同じように調理ができるので、ファミリーキャンプを楽しむ方の人気を集めているアイテムです。
しかし、その仕組みは複雑でトラブルも多いことが知られています。
まずは、ツーバーナーがどのような仕組みで点火・燃焼するのかご紹介しましょう。
ツーバーナーはホワイトガソリンを使用する火器です。
コールマンから販売されている、ホワイトガソリンを使った火器の特徴は「ポンピングによって加圧された空気で燃焼を送り出す」という仕組みにあります。
十分なポンピングによって圧力を加えられた空気と燃料は混合され、ジェネレーターに押し出されます。
そしてジェネレーター内部でバーナーの燃える熱で気化され、高圧で噴出される混合ガスとなりバーナー部分でさらに空気を取り込んで燃焼します。
このようにタンク内の空気に十分な圧が掛かり、燃料であるホワイトガソリンと混合し完全に気化することで、よりクリーンに燃焼させることができるのです。
ツーバーナーの使い方を覚えよう
ツーバーナーを使いこなすには、正確な手順を身に付けることが大切です。
コールマンでは火器類の使い方を動画で紹介していますので、キャンプに出掛ける前のイメージトレーニングも兼ねてチェックしておくと安心です。
ここではコールマンで公開されている使用方法の動画に沿って、点火の流れをご説明します。
【コールマン・ツーバーナーの点火手順】
①点火準備
ツーバーナーの蓋を開け、防風板を広げクリップで固定します。
グレート(ごとく)を持ち上げて収納されている燃料タンクとバルブ・ジェネレーターを取り出します。
②燃料を入れる
燃料タンクを給油口が上になるように置き、燃料を給油します。
給油するホワイトガソリンは、およそ8割程度の量で留めておきます。
③ポンピングする
ポンプノブが押し込めなくなるまでしっかりとポンピングします。
④燃料タンクをセットする
ジェネレーターをツーバーナーの差込口から入れ、タンクを本体に固定します。
⑤点火
サブバーナーの燃料バルブ(本体左側面)を右に止まるまで回し、点火レバー(燃料バルブの脇の真鍮製のレバー)を上向きにします。
燃料バルブを開きながら着火し、バルブをゆっくりと回して燃料の量を調整します。
追ポンピングを行い炎の色が青くなったら点火レバーを下げます。
サブバーナーの点火は、サブバーナーの燃料バルブを同じように調整しながら行います。
【消火】
消火には、各燃料バルブを右に止まるまで回します。
サブバーナーは燃料が送られなくなるとすぐに消火しますが、メインバーナーはバルブを止めてから消火まで5分ほどかかります。
ポンピングが鍵となるコールマン・ツーバーナー点火のポイント
コールマンのツーバーナーの点火や消火の作業をスムーズに進めるには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
・燃料を入れすぎない
給油する燃料は多くとも8割程度にしておきます。
長い時間使いたい時にはたっぷりと入れておきたくなりますが、タンクの燃料が多すぎてしまうと加圧するための空気が少なくなり、燃料を送り出すことができなくなります。
・ポンピング前に潤滑油を注入する
ポンピングの作業を効率よくするためには、ポンププランジャー内にあるポンプカップが正常に機能していることが重要です。
事前の点検でポンプカップの状態をチェックすることと併せて、ポンピング前にリュブリカント(潤滑油)を注入して気密性を保つことでタンク内の空気をしっかりと加圧することができます。
・ポンピングは100回以上
大げさな回数のようですが、ポンプノブが固くて押し込めなくなる回数が100回程度となります。
ポンピングが甘いと、この後の着火に手間取ります。
確実に加圧できていれば簡単に点火作業が進みますので、しっかりと行いましょう。
ポンピング用のアクセサリーも市販されています。
押し込みが大変な時は使ってみるのもいいでしょう。
・寒い時にはジェネレーターをプレヒートする
着火のしやすさは、ポンピングでの加圧と共にジェネレーター部分の熱が関係します。
寒い時期のバーナーの点火に時間がかかるのはこのためです。
気温が上がらないシーズンでもツーバーナーの着火をスムーズにする方法として、ジェネレーターを予熱するというものがあります。
手近にコンロやガスバーナーがある時に有効な手段です。
ジェネレーターの先端に炎を当てないよう注意しながら加熱し、十分温まったタイミングでツーバーナーに組み付けて着火すると、不完全燃焼することなく初めから青い色の炎で燃焼させることができます。
ツーバーナーのトラブル対応法:ポンピング前後のチェック項目
出かけた先で火器のトラブルに見舞われると、焦ってしまいます。
火器にはそれぞれ起こりやすいトラブルが存在しますので、一つでも知識として蓄えておくといざという時に慌てずに対応することができます。
ここからの2項目では、コールマンのツーバーナーにおいて起こりやすい2つのトラブル事例のご紹介と、対応の仕方をお伝えします。
【バーナーの炎が青くならない】
これは、燃料タンクの圧力が低い状態のときによく起こるトラブルです。
ツーバーナーの燃焼の仕組みは、燃料タンクの内圧を上げ、ジェネレーター内で燃料が熱せられることでガス化し、ノズルから噴出した混合ガスをバーナーで燃焼するというものです。
この工程の中で、点火手順の作業ミスがないかチェックしましょう。
□燃料タンクキャップの緩みがないか
□ポンピング前に燃料バルブを閉めたか
□リュブリカントの注入を行ったか
□ポンピング前にポンプノブを緩めたか
□ポンプノブの穴を塞ぎながらしっかりとストロークをしたか
□ポンピング完了後にポンプノブを右に回して締めたか
以上の項目を一つずつ確認して原因を探りましょう。
また、ポンプカップの劣化や変形によって加圧ができていない場合も考えられますので、これらの項目のチェックと併せて確認をしてみましょう。
破損や変形をしているときにはポンプカップの交換をして、再度点火作業を行います。
ツーバーナーのトラブル対応法:ナットの緩みをチェックしよう
引き続き、ツーバーナーのトラブルについてお伝えします。
【点火レバーと燃料バルブの根元から燃料が漏れ出る】
これも、前項でご紹介したポンピング不足などで起こるタンク内の圧力低下と共に、コールマンのツーバーナーでは頻度の高いトラブルになります。
燃料が、バルブを含むパーツ類を伝ってその下方部にある燃料タンクから滴るので、一見すると燃料タンクからの漏れと勘違いすることも多いようです。
しかし、このトラブルの原因は点火レバー、燃料バルブ双方のナットの緩みにあります。
それぞれのナットを増し締めすることで漏れは止まります。
このとき、締め方に十分注意してください。
ナットは真鍮製で、強い力で締め込むと力に負けて噛み合わせ部分がナメてしまいます。
普段の締め方の、半分程度の力で締めるようにしましょう。
この締め込みで無理をすると、燃料バルブ周辺のパーツ類にまで被害が及びます。
最悪の場合、バルブを含む周囲のパーツごと交換することになりますので、点検やメンテナンスをする時には慎重に進めましょう。
ポンピングを有効にするために!コールマン・ツーバーナーの錆び取りをする
ツーバーナー使用後はキャンプ場内、もしくは自宅でのメンテナンスが必須です。
コールマンの他の火器よりも大きなものですので、収納してしまうとわざわざ出して手入れをすることが面倒になりがちです。
使った直後や収納前に清掃やメンテナンスをして、各部の状態を確認する習慣をつけましょう。
本体の汚れはウエスをつかって拭き取ります。
水洗いをするという方もいるようですが、ツーバーナーは錆付きやすい道具でもあるので避けておくのが無難です。
時間を置かずに拭き取ることで、十分汚れを落とすことができます。
また、錆付きについてですが、特にバルブ周辺に多く発生します。
これは、真鍮と鉄という異なる金属が接しているためで、注意していても付いてしまうものです。
さらにタンク上下にも結露によって水分が付着し、そこから錆びていってしまいます。
放置すると腐食が進み、いずれタンクに穴を開けてしまうでしょう。
こうなると、いくらポンピングを施しても加圧ができず、せっかく持参したツーバーナーが火器として機能しないものになってしまいます。
このような錆を発見したら、ワイヤーブラシで錆を取り除き、その上から錆止め塗料(亜鉛粉末入りのもの)を塗布します。
よく乾燥させタンクと同じ色の塗料を塗り重ねて保護しましょう。
塗料を選ぶときには耐熱温度に注意します。
ツーバーナーのコツを覚えてスマートに使う
お伝えしてきたとおり、ツーバーナーはとても便利なアイテムです。
点火の手順やトラブルに見舞われたとしても、仕組みとコツ、対応方法が分かっていれば難なく使いこなすことができるでしょう。
コールマンのツーバーナーの使い方をマスターして、楽しいキャンプにしましょう。