車での旅やドライブで便利な車中泊は、ちょっとした休憩や、宿泊施設が取れなかった時などで経験された方も多いのではないでしょうか。その車中泊よりも快適に過ごせる「車上泊」という新たなジャンルの宿泊方法が加わり注目を集めています。車上泊は、車の上で泊まる。つまり、車の屋根にテントなどを取り付けて、キャンプのように楽しむことを指します。駐車ができるスペースさえあればどこでもキャンプが出来る車上泊を行うには、お使いの車種に合わせた車の屋根の上に載せるルーフテントが必要です。
そこで今回は、車の屋根に取り付けるルーフテントについて、その魅力や、種類、おすすめのルーフテントについてご紹介します。
また、ルーフテントを使用する時の注意点や、車の屋根にルーフテントが取り付けられない場合の代替方法についえも触れていますので、ぜひご覧ください。
車の屋根にテントを載せて気軽にキャンプ
ホテルを予約したり、キャンプ場を探す手間のない、車中泊。
車中泊は泊まる場所を決めずにどこへでも行けるので、車旅が好きな方の注目度が高い宿泊の方法です。
また、芸能人やメディアで取り上げられることの多くなったキャンプも、日常とは違う体験ができるとしてとても人気があります。
しかし、車中泊をするには、車が狭すぎる、シートがフラットにならないので寝心地が悪いなどの問題があり、一方、キャンプへ行くにはテントの張り方に自信がない、片づけが大変で億劫など、何かと問題があります。
そこで最近人気が高まりつつあるのが「車上泊」です。
車上泊は、車の上で寝る、つまり、車の屋根にテントを張り宿泊をする方法で、簡単に言うと、自家用車にテントをつけてキャンピングカーのように使う方法です。
このように車の屋根につけるテントの名前は、ルーフテントや、ルーフトップテントと呼ばれ、車の上にテントを設置したまま目的地へ移動できるので、車に荷室をテントを置くスペースを考える必要がありません。
また、車中泊でありがちな、「狭くて良く眠れない」問題は、車上泊が解決します。
まさに車の上で快適な睡眠ができる車上泊は、車で寝る人にとって、最高の方法です。
テントを車の屋根に乗せて行うキャンプや車上泊には以下のメリットがあります。
- ほとんどの車種の屋根にテントの取り付けが可能
- 全ての作業が車の周りで完了する
- 見晴らしが良い
- テントの設営がとにかく簡単
- 荷物の持ち運びが楽
- 子どもにとっては秘密基地のような場所になる
しかしメリットばかりが車上泊ではありません。
車の屋根にテントを張るからこそのデメリットもあります。
- 強風の日は車(テント)が揺れる
- テントへの昇り降りが怖い
- 立体駐車場に入れない場合がある
このように車の上だからこその悩みもあります。
車の屋根に乗せるテントの種類と名前
車の屋根に乗せるテントの名前は、ルーフテント、またはルーフトップテント、オーバートップテントなどと呼ばれ、テントの種類は主にタワー型とテント型、シェル型の3種類があり、その大きな違いはテントの構造や形、広さや開閉の方法などが異なります。
タワー型
4つの柱で屋根を支える長方形タイプのルーフテントがタワー型です。
サイズによっては4人まで使用可能なものもあるので、ファミリーキャンプにおすすめです。
テント型
キャンプで使うテントをそのまま車の屋根に乗せたような形のルーフテントがテント型です。
他のルーフテントに比べると設営に手間がかかりますが、軽量で、低価格なところが魅力です。
また、テント内が比較的明るく、風通しが良いです。
シェル型
ワンタッチでの開閉が可能で、形が貝殻に似ているルーフテントがシェル型です。
天井が高く、設営が簡単なので、ソロキャンプに向いています。
また、閉じた状態でもテント内には隙間があるので、寝袋をそのままにしておく、もしくはちょっとした荷物を収納できます。
ルーフテントの取り付け方法
車の屋根にテントを取り付けるには、まず、テントの設置をする車が、ルーフテントが取り付けできる車種かどうかを確認します。
さらに車の耐荷重が何kgなのか、そして車の屋根の強度などを調べておきましょう。
このチェックは、大事な車がテントを乗せる事により傷がついたり、へこみから守る重要なポイントです。
次は、テントを直接取りつけられる車種であるかをチェックします。
ルーフレールが付いている車なら、ベースキャリアを取り付けることでテントを設置できます。
ルーフレールが付いていない車の場合は、ベースキャリアの他に専用のルーフレールが必要になります。
ベースキャリアを設置した後は、テントを取り付けるだけで準備は完了です。
ルーフテントの人気のメーカー
それでは、大手ショッピングサイトの楽天市場やAmazonなどで人気の高いルーフテントをいくつかご紹介します。
購入の際の参考にご覧ください。
ヤキマ:「スカイライズHD」
大人2~3人でのキャンプにおすすめにテント型のルーフテントです。
天窓が付いているので、夜は星空を眺めながら就寝できます。
テントの設営は、防水カバーを外し、はしごを伸ばしてテントを展開させて、はしごを固定させると完成です。
スカイライズHDに使用されているテントの素材は600デニールのポリエステルで、高い防水性を誇ります。
また厚みがあり、快適な寝心地のマットレスは洗濯可能なので、いつでも清潔に使えます。
Hewflit:「Fkstyleルーフテント」
軽自動車にも取り付けが可能なタワー型のルーフテントです。
四方にメッシュの窓が付いているので、虫の侵入が防げ、風通しが抜群です。
また、付属の天井に付けるLEDライトも便利です。
Fkstyleルーフテントの一番の魅力は、油圧昇降式でテントの開閉がワンタッチでできる所です。
ギブソン(GIBSON):「グラヴィス(GRAVIS)ルーフテント」
コンパクトカー、大型車にも対応可能なシェル型のルーフテントです。
四角いタイプのルーフキャリアを4本使える車種に対応しています。
ソロキャンパーから2人まで使用できるサイズです。
開口部が2重構造で、防虫ネットが装備されているので、虫の侵入を防ぎ、風通しも良いです。
グラヴィス(GRAVIS)ルーフテントの一番の魅力は、ワンタッチで設営が可能なとろこで、開閉具合を好きな角度に調節できます。
THULE(スーリー):「テプイ エクスプローラークケナム3」
カーキャリアで有名なスーリーがルーフテントメーカーのテプイと共同開発したテント型のルーフテントです。
高さが約132cmと、ゆとりのある空間で、最大3人まで使用可能です。
また、厚みのある高密度マットレスが付属なので、快適な睡眠ができます。
オールシーズン対応で、メッシュパネルにより換気ができます。
一番の魅力は、ルーフキャリアやルーフボックスを手がける大手メーカーの製品なので、安定感や信頼感が抜群なところです。
ルーフテントの気になる価格
ルーフテントを購入する時は、タイプや使い勝手のほかに、値段も気になるところです。
ルーフテントの価格は、メーカーやブランド、サイズの他、使われている素材などにより異なりますが、安いもので10万円前後、高いものは50万円を越えるものもあります。
その他に、テントを車の屋根に取り付ける土台(ルーフキャリアなど)が2万円~5万円ほどかかります。
ルーフテントをDIYする方も急増中
上記の通り、ルーフテントでのキャンプは初期投資がそれなりにかかります。
そのような中、ルーフテントを手作りする方も増えています。
ルーフテントのDIYの方法はさまざまですが、建築用のアルミ製の足場板を使って土台を作り、ワンタッチテントなどを利用してルーフテントを作成した方がいます。
固定方法や、細かいパーツを組み合わせたりなど、なかなか難しいようですが、DIYが好きな方は、ルーフテントを手作りしてみるのはいかがでしょうか。
車の屋根にテントを取り付け可能な車種
車の屋根にテントが取り付けられる車種はどのようなタイプがあるのか、多くのルーフテントユーザーの経験と知恵を借りて、参考にしましょう。
【多くのルーフテントユーザーが使用してる車種】
・トヨタ :ハイエース・ハイラックス・ランドクルーザー
・ニッサン:セレナ・エクストレイル・リーフ
・スバル :フォレスター・XV・アウトバック
・ホンダ :ステップワゴン・フリード・フィット
・マツダ :CX-5・デミオ
・三菱 :デリカ
・ジープ :ラングラー
・MINI :クロスオーバー
このように、ルーフテントを取り付けられる車種はミニバンや、SUV車などいろいろとあります。
ご紹介した車種はほんの一部です。
軽自動車の屋根にテントは乗せられる?
全体的にコンパクトサイズな軽自動車ですが、ルーフテントが取り付けられるのか不安に思う方も多いでしょう。
ルーフテントとそれにともなうベースキャリアの総重量が軽自動車の耐荷重をクリアしていれば、取り付けは可能です。
しかし、重いルーフテントを乗せての運転は、風の影響を受けやすく、重量が増したことによりハンドル操作や、ブレーキに影響があるので充分に注意をしましょう。
【多くのキャンパーがルーフテントを使っている軽自動車の種類】
・スズキ :ハスラー・エブリィ・ジムニー
・ホンダ :N-BOX・N-VAN
・ダイハツ:ハイゼット・ウェイク
車の屋根にテントを乗せている時の注意点
車でキャンプが楽しめるルーフテントですが、いくつかの注意点があります。
- 高さ制限のある駐車場に注意
店舗に隣接している立体駐車場などは、ルーフテントをつけたままの駐車が出来ない可能性があります。
- 購入前に自宅のスペースに注意
自宅の車庫や、カーポートなど、車にルーフテントを取り付けたときには高さが増すので、あらかじめ計測をしておきましょう。
- 車の屋根のへこみに注意
ご自身でルーフテントの取り付けをする場合は、車の屋根やその他の場所のへこみに注意が必要です。あまり車のパーツの取り付けに詳しくない場合、誤って車を傷つけ、修理が必要になる状況も考えられますので、このような時はプロにお願いしましょう。
- 運転には注意
車の屋根にテントを取り付けると、いつもの運転とは違う感覚になります。
高さのある分、風の抵抗を受けやすく、ハンドル操作も重くなります。
テントを車の屋根に乗せられない場合には
残念ながら、車の屋根にテントを取り付けられない車種の場合には、カーオーニングがおすすめです。
カーオーニングとは、車の屋根にタープテントなどの日除けをつけて、キャンプを楽しむ方法です。
車に屋根だけを取り付ける作業のみで簡単にキャンプの雰囲気が味わえます。
カーオーニングは、オートキャンプ場などでも活用できます。
カーオーニングの名称は、サイドオーニング、または、カーサイドオーニングなどとも呼ばれ、一般的な取り付けは、車のサイドドアや、バックドアを開いた形で使用します。
サイドドアを利用するタイプはシェルター(スクリーン)式のタイプが多く、フレームでタープを安定させて使います
バックドアを利用したタイプは、上へ跳ね上がるバックドアを屋根の代わりに利用して使うタイプが多いです。
災害時にも役立つ車用簡易タープテントの作り方
ルーフテントを始めとしたキャンプ道具の購入にお悩みなら、ブルーシートを使った簡易テントでキャンプの雰囲気を味わうのはいかがでしょうか?
ブルーシートは好きなサイズのものを用意し、ブルーシートの一辺を車のドアに挟みます。
反対側はロープや紐などを使い、木やポールなどに固定します。
木やポールが近くにない時は、狭くはなりますが、地面に固定すると良いでしょう。
また、車にルーフキャリアがある場合は、ドアに挟まずにルーフキャリアに固定すると便利です。
しっかりとブルーシートを張りたい場合は、固定用のロープを増やすとピンと張ったテントタープが作成できます。
ただし、雨の日は、ピンと張ったブルーシートに雨水が溜まるので、片方を傾けるように張ると雨水が溜まりにくくなります。
この方法は、タープテント内の高さが車の高さと同じになるので、さほど低くは感じません。
ブルーシートを使った簡易タープテントは、アイディア次第で災害時など、外で過ごさなくてはいけないシーンでとても役に立ちます。
余談ですが、ブルーシートではなく、透明のシートを使ってタープテントを作ると、夜を過ごすときにはタープの下で星空を楽しみながら、キャンプ飯を楽しめますよ。
屋根のみのテントが活躍するシーン
これまでご紹介してきたテントは、主に車の屋根に取り付けるタイプのものでしたが、テントと名称の付く道具は、キャンプで使うものばかりではありません。
例えば、運動会やイベントなどで使える大型のテントや、駐輪場で使われている屋根付きのテントなど、私たちの日常生活でテントと名称のつくものはたくさんあります。
また、カフェや軒先などにある日よけ用のシェードもテントで使われる素材で作られていることもあります。
さらに、テントの屋根のみようなタイプのタープテントも、庭先でのバーベキューや、海へドライブの時などに活躍します。
このようなタイプのタープテントは、人気のホームセンターのカインズの他、コストコなどで購入できます。
大型テントの建築基準法
最近人気のグランピングは、大きなテントの中で快適なキャンプができるとファンが増えています。
グランピング用のテントは、通常のテントに比べサイズが大きく、もはや一種の建築物なのでは?と思う方もいるかもしれません。
しかし、基礎がなく、地面に固定されておらず、簡単に撤去が可能なグランピング用のテントは建築基準法の対象とはならないようです。