テント生地は主に4種-素材の違いで変わる特徴と選び方

最終更新日:2022/03/26

テント 生地

キャンプや登山など、アウトドアには欠かせないテント。テント生地にはさまざまな素材があることをご存知でしょうか。この記事では、素材の種類や特徴をご説明した上で、用途に合わせたテント生地の選び方などをお伝えします。加水分解しにくいテントやセルフ補修のご紹介もしておりますので、ぜひ最後までお読みください。この記事がご自身のキャンプスタイルに合ったテント選びのヒントになれば幸いです。

テント生地とは

形や種類がさまざまにあるテント。テントにはいろいろなタイプがありますが、そのテントを形成しているのがテント生地です。テント生地には、主にポリエステルやナイロンなどの合成繊維、綿などの天然素材やポリコットンなどの混紡繊維など、さまざまな素材のものがあります。
これらの繊維はそれぞれ特徴が違うので、どのような生地のテントを選ぶかでキャンプの快適性が変わってきますよ。

テント生地で変わるキャンプの快適性

キャンプ用テントを選ぶ際は、価格のほかに生地の素材についても確認するようにしましょう。テント生地の素材によって、キャンプの快適さや使い心地が大きく変わってきます。シーンや用途に合わないテントを使うと、結露による水濡れなど思わぬトラブルに見舞われる場合があるかもしれません。
それぞれのテント生地の特徴を比較して、自分のスタイルに合ったものを選びましょう。

テントの生地の素材と種類

テントを選ぶ際にポイントとなる、テント生地の素材の名称と特徴についてご紹介します。

ポリエステル

ポリエチレンテレフタレートという樹脂の糸で織られた生地で、一般的なテント生地によく使用されるポピュラーな素材です。テントの外側にあるスカートと呼ばれるフライシートにもよく使われる素材です。この生地を使って、スカートを自作する方も多いようですよ。

メリット

  • 紫外線に強く、日焼けなどで劣化しにくい
  • 吸水性が低いため、カビが発生しにくい
  • 濡れても重量が変わりにくい
  • 価格が比較的リーズナブル
  • 軽量で耐久性もあり、テント生地としてバランスが良い
  • 扱いやすく、メンテナンスも簡単

デメリット

  • 火や熱に弱い
  • 焚き火の火の粉で穴があきやすい
  • 通気性が悪く、雨天時などはテント内が蒸れやすい
  • 加水分解しやすく、数年で匂いやベタつきなどが発生することも

ナイロン

非常に軽くて柔軟性のある素材なので、ソロキャンプや登山などにも向いています。耐久性があり強度が高いので、キャノピーテントやタープ生地、インナーメッシュテントやシェードなどにも使用されています。

メリット

  • 非常に軽量で、ポリエステルよりも軽い
  • 破れにくく、引張り強度が高い
  • 傷や衝撃にも強く耐久性があるので、長時間の使用も可能
  • 耐水性や防水性が高く、速乾性にも優れる

デメリット

  • 価格が高め
  • 高熱に弱い

コットン

天然素材のコットン(綿)でできたテントは、コーティング加工がされていないナチュラルな風合いが魅力です。
コットン製のテントのなかには、厚手で丈夫な帆布生地で作られたものもありますよ。おしゃれな上に、夏は涼しく冬は暖かく快適です。

メリット

  • 通気性と透湿性に優れているので、テント内を湿気の少ない快適な状態を保つ
  • ポリエステルやナイロンに比べると熱に強いので、火の粉が飛んでも穴があきにくい
  • 天然素材なのでキャンプ場の自然と馴染み、見た目もおしゃれ
  • 結露に強い
  • 断熱性が高い

デメリット

  • 吸水しやすく速乾性がない
  • 水を含むと重くなる
  • 乾燥をしっかりしないとカビが生えやすい
  • 化繊のものよりもメンテナンスに手間がかかる

ポリコットン

ポリコットン(TC)とは、ポリエステルとコットンが混ざった混紡素材のことです。コットンとポリエステルの、両方の素材の良いところを備えながら、吸水しやすさや乾きにくさといった欠点をカバーしています。優秀なハイブリッド生地ということもあり、高品質志向のテントに使用されることが多いようです。

メリット

  • 夏は涼しく、冬は暖かい
  • 透湿性が高く、水滴になる前に吸収されるので結露が発生しにくい
  • 生地が厚めなため、遮光性が高い
  • 耐水圧が高い
  • 火の粉に強く、燃えにくい
  • 丈夫なのでテントの寿命が長い
  • 多湿な日本の気候に適している

デメリット

  • ポリエステルのテントよりも重い
  • 乾かすのに時間がかかる
  • 価格が高い

テント生地の厚みについて

テント生地の厚みは、糸の太さや織り方の密度によって異なります。重量やサイズにも関わってきますので、テントを選ぶ際は糸の太さや織り方も把握して、生地の厚さも確認すると良いでしょう。

糸の太さの単位

糸の太さの単位は「デニール」で表され、表記は「D」です。デニールの数字が大きいほど太い糸になり、生地も厚くなります。厚い生地ほど耐久性も上がりますが、重量や収納時のサイズが大きくなります。
デニールの数字が大きいと重くて丈夫な生地、小さいとあまり丈夫ではないですが軽い生地と判断することができますね。

ただし近年はデニールの数字が少なくても、特殊なコーティング加工などを施すことで丈夫なテントが作れるようになっています。
紫外線をカットするUVカットコーティングや、燃えにくい素材に仕上げる防炎コーティングなどもおすすめです。

織り方は大きく分けて2種類ある

テント生地になる糸の織り方には、大きく分けてタフタとオックスフォードの2種類があります。

タフタ

タフタとは、縦糸と横糸を交互に交差させる平織りのことで、丈夫で摩擦に強い織り方です。「T」と表記されることもあり、数字が大きくなるほど織物の密度が高くなります。
ハリがあり上品な光沢がありますが、シワになりやすいという特徴があります。価格はリーズナブルです。

オックスフォード

縦糸と横糸を2本ずつ交互に交差させ平織りにした生地で、タフタよりも引張り強度があり、耐久性も高いです。テントのフロア部分など、摩擦が多い場所に使用されます。

テント生地の色や柄について

夏キャンプなどで遮光性を重視したい場合、テントの生地の色選びも重要です。
色が濃ければ、テント生地が薄くても遮光性は高くなります。

そこでおすすめなのは、ブラックテントです。黒いテントは遮光性抜群な上に、気になる紫外線も吸収してくれます。黒は光を吸収して暑いという印象があるかもしれませんが、テント内に熱がこもらないように通気性を良くすれば、夏でも快適に過ごすことができますよ。
ブラックテントの中には白字でロゴなどが入っている、シックで格好いいテントもありますのでおしゃれなキャンパーにもおすすめです。

テント生地を扱うおすすめのメーカー・店舗

幅広いラインナップを揃えており、通販でも申し込みしやすい、おすすめのテント生地を扱うお店をいくつかご紹介します。

ビニプロTENT

愛知県名古屋市に営業所を置く株式会社チームライクが運営するビニプロTENTは、さまざまなテント生地を、切り売りからオーダーメイド加工まで、1点から卸値価格で販売している会社です。
帆布やシートなど幅広くテント生地を扱っているので、屋根テントや軒先テント、オーニングテントなどにも対応できます。

カタログ本や生地サンプルも無料で申し込むことができるので、テント生地をじっくり選びたい方にもおすすめです。
コットン調の風合いでファブリックテント生地として有名なシャガール、ストライプ柄のシャガールアートなどの生地の切り売り販売、特注対応のオーダーメイド加工にも対応しています。

【ビニプロTENT:取り扱いテント生地】

  • 防炎・防水・防音テント生地
  • 不燃テント生地
  • デザインテント生地
  • メッシュテント生地
  • 透明・半透明テント生地
  • 帆布

電話:0120-441-723

大一帆布

1925年創業の大一帆布は、大阪市に本社を置くテキスタイルの総合商社です。
歴史ある大一帆布が展開する「サンブレラシェードコレクション」は、世界中で愛されるアウトドアファブリックのトップブランド。
織物のような風合いのあるキャンバス生地は、退色堅牢性に優れており、日光や雨風にも強いことが特徴です。キャンバス生地を使ってテントをDIYしたい方にもおすすめです。

大阪本社  06-6552-0631
東京営業所 03-3834-2891 

シンテック

東京都西東京市に拠点を置く株式会社シンテックでは、テント生地を原反販売・ロール販売・カット販売まで対応しています。
ホームページがシンプルでわかりやすく、運動会などに使いたいイベント用テントやデザインテント、オーニングテント生地などを用途や種別から探すことができますよ。
見積もりも無料なので、専門スタッフとじっくり相談しながら安心して申し込むことができるでしょう。

電話:0120-2210-15

加水分解しにくいおすすめのテント

加水分解とは、経年によりポリウレタンが劣化する現象のことです。テントに施されているポリウレタンコーティングが水と反応して分解してしまい、溶けてベタつきます。数年ほどで多くのテントに起こる現象ですが、中にはこの加水分解が起こりにくい素材のテントもあります。

その素材とはコットンです。コットン素材のテントなら、加水分解を心配することなくテントを使用することができます。ただしカビが発生しやすいので、メンテナンスはしっかりしましょう。

ヒルバーグ

ヒルバーグのテントは、劣化がほとんどしないので高い評価を得ています。
特に「ケロン」シリーズは、高機能で長く使用できると人気のテントです。独自のシリコンコーティングされた素材により、加水分解しないので劣化知らず。軽量で耐水性があり、引張強度にも優れています。

ノルディスク

ノルディスクといえば、特徴的な白いコットンテントでよく知られるメーカーです。
最近では人気の「ノルディスク・アスガルド」や「リマ・バハリ」など、さまざまなデザインのコットンテントが販売されています。これらのテントは天然素材のコットンを使用しているので、加水分解の心配はありません。

破れたテントを補修する方法5つ

使用しているテントが破けてしまったら、どうしたら良いでしょう。新しいテントを買い替える前に試していただきたい方法が、セルフ補修です。
便利な修理アイテムを使えば、自分で破れたテントを補修することができますよ。
以下に、テントが破れてしまった際の補修方法をご紹介します。
小さな穴や破れでも、放置しないで修理してみましょう。

その1 リペアシートを使う

リペアシートには、シールタイプとアイロンで貼り付けるタイプがあります。アイロンタイプは必ずあて布を用意して貼り付けましょう。

シールタイプは手軽に扱えますが、シワになるとそこから雨水などが入ります。シワにならないように貼りましょう。また、シートは角があると剥がれやすくなるので四角くカットするのではく、角をとって丸くカットすることも重要です。シートは片面だけではなく、必ず両面に貼るようにしましょう。

ロゴス:テント&タープ補修 透明マジックシール

透明なので生地の色を気にすることなく、目立たず穴や破れを補修することができます。ポリエステルタフタ生地の補修に最も適しているということですので、使っているテントに使用できるか確認してから用意することをおすすめします。
サイズは幅14.8×高さ21cmで、カットして使います。

その2 補修テープを使う

補修テープは、シームテープやシーリングテープなどとも呼ばれているテープタイプの補修剤です。
テントやタープの縫い目や破れから入ってくる雨水などを防ぐことができます。

キャプテンスタッグ:キャンプ用品防水シームレステープ

テープ自体が粘着するタイプではなく、アイロンを使って貼るテープです。あて布を用意して使用しましょう。

その3 溶着剤を使う

溶着材は、液体のりや接着剤のように塗って乾かすだけなので、面倒な縫製なども必要ないので簡単です。

キャプテンスタッグ:アウトドア用シームグリップ

有機溶剤が28g入っているアメリカ製のリペア剤です。テントやレインウェア、登山靴などのアウトドア製品の破れや穴を、接着して補修することができます。革やキャンバスなどの天然素材だけでなく、合成繊維、ゴム、ビニール等あらゆる素材に使用できる多様性が魅力のリペア剤です。

その4 永久保証制度を設けているメーカーを利用する

アウトドアメーカーの中には、永久保証制度を設けているところがあります。日本のメーカーで、そのようなサービスを行っているところを一社ご紹介します。

スノーピーク〜全製品永久保証

スノーピークでは、できる限り修理して長く使用してほしいというメーカー側の理念から、全製品に永久保証がついています。そのため、いわゆる「保証書」はついていません。道具との関係を大切にしてほしいというマインドが素晴らしいですね。

オンライン修理受付にも対応しており、日本企業らしいきめ細やかなアフターサービスが充実しています。個人での修理に自信がない方は、このような保証サービスがあると安心ですね。

その5 業者に依頼する

ご自身では修理できないような破損の場合は、テント修理の専門業者に依頼することををおすすめします。修理費用はかかりますが、満足できる仕上がりになるでしょう。
破損修理のほかに部品交換などにも対応してくれるので、気になる場所がある方は相談してみてはいかがでしょうか。

加水分解は修理可能か

経年によりベタついてしまっても、気に入っているテントなら買い替えるよりも修繕して長く使いたいですよね。
しかし、加水分解は経年による劣化のため、修理保証対象外としているメーカーが多いようです。加水分解についての相談は、テント修理専門の業者へ依頼することがおすすめです。

定期ケアに使いたいおすすめのテント用撥水剤

長年テントを使用していると、撥水性能が落ちてきますが、撥水剤を使うと購入した時の性能が戻ってきますよ。撥水剤は刷毛で塗布するタイプもありますが、ここでは扱いが簡単なスプレータイプの製品をご紹介します。

ロゴス:強力防水スプレー

これ1本で防水機能が復活する便利なアイテムです。
フッ素が配合されているので防水・撥水性能が長期間持続し水分のほかに汚れや油も弾きます。繊維1本1本をコーティングする特徴があり通気性に優れているので、透湿性素材にも使うことができますよ。防水機能が弱くなったテントやタープも最適です。

コールマンのリサイクルの取り組み

修理などして大事に使っていても、テントにもいつか寿命はくるもの。もう使えないとはいえ、長年愛用して親しんできたテントを廃棄するのは寂しいものですよね。

コールマンでは、「廃棄物に新たな命を吹き込む」ことをコンセプトに、リサイクルプロジェクト「MFYR」をスタートさせ廃棄削減に取り組んでいます。廃棄されるテント生地が再利用され、バッグやリュックに生まれ変わるのは嬉しいですね。

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